トピックス

【授業報告】H30 九中社鹿児島大会に係る研究授業について

【授業名】平成30年度九州中学校社会科教育研究会鹿児島大会における研究発表に係る研究授業
【日 時】平成30年7月6日
【会 場】延岡市立北川中学校
【授業者】島崎 博英 教諭[延岡市立北川中学校]
【単 元】「解釈を変える・創る」歴史授業
      ~ペリー、日本に来るってよ~
【指導案】会員専用ページに公開予定(後日)
【報 告】
 本授業は、歴史の本質は解釈であるという考えに立脚し、歴史にはさまざまな説明の可能性と選択に対して開かれていることを認識させる方法論としての「解釈批判学習」(児玉2005)の考えをもとに、新たなアプローチで中学校歴史学習を構築していくものであった。授業は小学校での既得の知識によるペリー来航への解釈を、これまでとは別の資料を提示し吟味させていく過程で、新たな解釈を構築させ、歴史の本質にせまっていった。授業冒頭、生徒はペリー来航に対し、「ペリーの強気な交渉態度により、強引に日米和親条約を締結させられた」という解釈をしていた。しかし、大統領の国書からペリーは日本との通商(貿易)も目的としていたが実現しなかったことを知り、自らの解釈に疑問を抱きはじめる。そこで当時の交渉担当であった林復斎の交渉記録やオランダ別段風説書、通航一覧という新たな資料を提示していくことで、生徒の中に、日米和親条約は、日本とペリーが対等に交渉した結果だったという新しい解釈を構築させていくという授業構成がなされていた。新たな資料が提示されるたびに、悩みながらも、新たな解釈を構築していこうとする生徒の姿が非常に印象的であった。さらに、次時以降では、一つの資料のよって歴史的事実の解釈は変わるという歴史の本質を理解し、その見方や考え方をもって現代の社会的事象を見ていくという内容が予定されている。今後の展開が非常に楽しみとなる授業内容であった。

【参考文献】
 ・児玉康弘(2005),「中等歴史教育内容開発研究」風間書房
 ・島崎博英(2017),「中学校歴史学習における解釈批判学習の構成」宮崎大学教育学部社会科教育派遣研究生