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黒土大地に育つ

 宮崎県農業協同組合中央会主催、第44回「ごはんお米とわたし」作文の部において、中学部3年竹下大翔さんが銅賞を受賞しましたのでご報告します。

「お米の力」

西都市立三財中学校 竹下大翔


 僕のこの体は、家族で作ったお米のおかげで大きくなった。僕の家族は農家をしており、おもな作物として、メロンや大根を作っている。その中でも、今まで一度もあきらめずに、ずっと作り続けているものがお米である。お米が育つまでに、たくさんの家族の苦労をそばで見てきたから、お米の大切さは人一倍知っているつもりである。

 まず、田植えをするまでの準備がとても重要で、土壌を整えることは、素人の人が簡単にできることではない。その役割をもつ父は、長年の知識と経験で、とても簡単なことのように進めていく。その姿を見て、恥ずかしくて口にして言えないが、小さい頃からかっこいいと思っていた。田植え時期には、祖母も含めて僕たち全員で、役割を分担しながら手伝う。田植え機に乗っている育苗や肥料を積み込む。空いた苗箱を洗っていく。田植え機で植えられない部分に手で植えるなど役割はたくさんある。普段から、毎日農業をしているわけではない僕は、その作業がたまに重労働に感じてめげそうになる。しかし、ぼくたちの血となり肉となってくれるお米なのだから、その時ばかりは、とてもやる気が出る。長い年月を経て、自分の手で植えた稲が育った後の稲刈りをする時は、いつも大きな達成感を覚える。そうして育ったお米は、ぼくの中ではどこのお米より一番美味しい。そのお米が一番おいしいと感じる瞬間は、部活動の野球が終わって家に帰った後、母が用意してくれているご飯を食べる時である。僕は、帰る前から炊きたてのお米が待っていると思うとワクワクする。帰っていざ食べてみると、疲れた体が一気に元気になるのではないかと思うくらいおいしい。家族で育てたお米なのだから、より一層感じられるのだろう。食べながら、いろいろなことを考えたり、話したりしていくうちに、僕は、「お米は、もちろん体大きくする役割もあるけれど、心も成長させてくれる。」と思った。どんなに部活動で苦しい練習をした後でも、いやなことがあった時でも、お米を食べることでポジティブになれる。以前、試合でエラーをしてしまい、僕のミスで負けてしまった時、食欲も気力も出ない時があった。そんなときに、「とりあえずこれを食べなさい。」と母がおにぎりを作ってくれた。食べながら、いろいろなことを思い出し、涙で味がわからないほど泣いた。しかし、食べているうちに強い勇気がわいてきて、 もっとがんばろうという気になれた。それが、お米の力だと思う。家族で育てたお米なのだから、みんなのパワーもつまっているのだ。だからこそ、大切に愛情込めて育てられたお米の米粒一つも残さずに食べるというのが僕の中のルールである。

 そんなたくさんの思いがつまったお米が毎日食べられる僕は、とても幸せなんだと毎日考える。

 これからも、たくさん困難なことがあると思うが、そういう時はたくさんお米を食べて、またリセットして頑張っていこうと思う。僕は、この家に生まれて、お米を作る環境で育つことができてよかった。