日誌

ツバメさんの奇跡

3階の渡り廊下。

毎年、ツバメさんが巣を作ります。

しかし、一度も、雛が旅立ったことはありません。

もう少しで旅立ち、という時に、カラスさんに襲われてしまうのです。

それでも、ツバメさんは、明道小の3階の渡り廊下が大好き。

今年で、3回目の巣作りをしてくれました。

問題の巣作りの場所

問題のツバメさん。

近景。

食育先生と日常会話。

「今年もツバメさん、巣作りしてますよ。」

「見に行きましょう!」

本当だ。こりずにがんばってますね。

つばめさん、夫婦で、そこに休んでますよ。

食育先生、突然!

フレー!フレー!ツバメさん!!

と、声をかけました。

あ。逃げていっちゃった!

食育先生、めげずに、応援です。

がんばってね!応援してるよ。ツバメさん。

 

その後、ツバメの巣を守ろうと、校長は昼の放送で呼びかけました。

毎年、フンの始末など、6年生が見守ってくれているのです。

校長先生、ぼくたち・わたしたちが、ツバメさんを守るよ!

ありがとう!

観察記録も残しますね。

ありがとう。

網とかで守れないかな・・・。

いろんな子どもたちが、ツバメさんについて、語り始めました。

 

校長先生、どんな風に、カラスさんから襲われるのですか?

ん・・・。巣を食い破って、雛や卵が落ちて、死んじゃってたの。

6年:「どうにか、守らなきゃなあ・・・。

 

そして、ある日。

 

ん?

何?

なんだ???

え!!

それは、ツバメの巣が破壊されて、

雛さんが落ちてきても

雛を守るための、

手作りのクッションでした。

ツバメさん、戻ってきました。

そして。

校長に、「ありがとう」と言わんばかりに、かわいい顔を出して。

ずっと、私を見つめていました。

つばめさん、

6年生の気持ちが・・・

分かるのかな・・・??

 

さて。

その事件は、突然、発生しました。

6年担任先生、血相を変えて、校長に報告。

校長先生、ツバメさんの雛が!雛が!

二人は、急いで、巣に向かいました。

クッションの上に、かわいい、生まれたての雛が、落ちていました。

・・・生きていますか?

・・・はい。ゆすると、一生懸命に動きます。

お目々がパッちりした、かわいい雛が、手足を動かしています。

二人で、子どもに見せずに、「対応」するか。

子どもに見せて、「現実を学ばせるか」悩みました

おそらく

・・・もう、この子は、生き延びられないことでしょう。

ツバメさんは、必死に近くを飛び回り、雛を探している様子。

 

6年担任。朝の時間に、報告をすることを決意しました。

自然のあるがままの姿を見せよう

子どもに、命について、考えさせよう

 

君たちに、見せたいものがある。

担任先生、クッションのまま、ツバメの赤ちゃんを連れてきました。

「実は、今朝、ツバメの雛が一匹、落ちていたのです。」

 

え!!!

 

でも、君たちのクッションのおかげで、まだ生きています。

人だかりができました。

生きてる!

かわいい!

すごい!

先生、育てましょう!

ん・・・でもね、人の手ではえさを食べないと思いますよ。

しばらく様子を見て、対応を考えよう・・・。

教室に、悲惨なムードが漂いました。

みんな、優しい子でした。

雛さんが、どうにか、生きていけないか、

クロームブックで調べていろんなことが報告されたそうです。

 

昼。

どうしてるかな・・・と、

見に行くと。

雛さん、必死に生きようと、動いていました。

強い、雛さん、でした。

 

さて。

子どもも帰り、しばらくした頃。

この物語は、大きなエピローグを迎えることになります。

 

6年担任が校長室に駆け込んできました。

校長先生、雛を巣に返すことに成功しました!

「えー、気をつけてくださいね。高いですから。」

 

「校長先生、巣の中の写真です。」

5匹の兄弟が、雛さんの帰りを歓迎

してくれていました。

 

ステキな、ステキなエピローグ。

 

ところが、まだ、事後談が続きます。

 

翌日の朝、ツバメさん、どうかな?と、観察していると。

ツバメさん、明らかにこれまでと違う行動をとっているのです。

 これ、6年生の窓。

6年生の窓の上に。

一羽の母ツバメさんが止まりました。

そして。

父ツバメさんも、飛んできました。

これまで、この近くを飛ぶことはなかったのです。

2羽の夫婦ツバメさんは、何回も、何回も、6年教室前を飛び回りました。

6年生も、気づいて、大騒ぎになりました。

校長、ベランダから、みんなに叫びました。

 

「ツバメさんが、お礼を言ってるんだよ!」

 

みんな、その事実に納得して、フムフムと、うなずき

そして、満面の笑顔でした。

 

不思議なことは。

 

この全てのストーリーは、

明道館学制三章の看板の真横で起きました。

校長は、学制三章を見ながら、考えてみました。

228年前の教えが、子どもたちを育て。

ツバメさんの、小さな雛の命を救ったとしたら・・・。

そして、ツバメさんが、6年生に、お礼を伝えたとしたら・・・。

 

ツバメさんの奇跡・・・というお話でした。

 

by 校長