6年生の「黙祷」の意味
6年の渡り廊下の「ツバメさんのお家」の物語。
何人もの方から、
「6年生の心の温かさに涙が出ました」
と「嬉しい」感想をお届けいただきました。
しかし。
本日は「6年生の黙祷の意味」をお知らせしなくてはなりません。
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さあ、「重いカーテン」を開けましょう。
朝、7:00。校舎見回り。
渡り廊下、何となく、違和感を感じました。
・・・何だろう、何か、違う・・・。
え?何?
この土の散乱は?
昨年の、「あの衝撃の瞬間」が、頭によぎりました。
この風景、実に、3回目の風景です。
ま、さ、か・・・。
昨年度も、一昨年度も見た、衝撃の風景。
ツバメさんのお家、完全に破砕されていました・・・。
あれだけの、困難を乗り越えてきたのに。
すでに、6匹のツバメの子どもさんの姿は、何もありませんでした。
親鳥の姿も「全く」なく。
理科のプロフェショナル、教頭先生の現場検証。
どうですか?
校長先生、カラスですね。ツバメさんの天敵と言われています。
親ツバメさんの羽でしょうか。
戦った痕跡ではないでしょうか。
・・・校長には、親ツバメが、カラスから狙われた赤ちゃんを必死に守り、
親ツバメも、カラスに攻撃された姿が、浮かびました・・・
校長、教頭で、ツバメさん一家に、手を合わせました。
担任先生にも、現場を見てもらいました。
担任先生。涙が滲んでいました。
「ひどい・・・。」
担任先生、「生命の大切さ」「生きる厳しさ」を学ぶ、貴重な学習契機にしましょう。
ツバメさんは、8つの命をもって、子どもたちに、それを教えてくれるのだと。
気の重い朝です。
間もなく、子どもたちは、「ツバメさん一家の惨劇」と出会うことになります。
その時が近づきました。
何も知らず、いつもの朝を過ごす6年生。
なぜ、校長が、ずっと教室にいるのか、何となく違和感を感じる6年生。
健康観察が、終わり。
担任先生。子どもたちへ、指示を与えました。
「ツバメさんのクッションのところへ移動してください。」
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え?何でですか???
ざわざわが始まりました。
「何だろう」
ある子どもさんが、次の一言を語りました。
「あ、ツバメさん一家が、巣立ったんだよ。」
「そうだね。旅立ちなんだよ。」
・・・子どもたちは、ポジティブに考え「ようとしている」ようでした。
子どもたちの視点です。
ツバメさんのクッションが、見えてきます。
徐々に、土が散らかった様子が、見てきます。
そして、子どもたちは、何が起こったかを、体感するのです。
え!!!!
なぜ??
衝撃に包まれる、6年生。
「何?」
徐々に、事実を知った6年生。
悲鳴が、沈黙に変わっていきます。
一昨年度も、昨年度も、ツバメさんが、
カラスさんに襲われた事実を、
この子どもたちは、知っています。
だれも、何も話さなくても、ここで何が起こったのか。
今、子どもたちは、その光景を想像しているのでしょう。
担任先生、ここまで、何も語りませんでした。
きっと、子どもたちに、何かを「感じて」欲しかったのでしょう。
「とても、残念なことですが。
ツバメさん、今年も、巣立つことはできなかったようです。」
担任先生。涙ながらに、子どもたちに、やっと、語りました。
誰も、何も言いません。
衝撃の強さが、伝わります。
校長が、補足を行いました。
「でもね。きっと、ツバメさん家族、
クッションをプレゼントしてもらったり。
別れた弟を助けてもらったり。
きっと、皆さんに感謝していると思います。」
担任先生が静かに語りかけました。
「ツバメさんご家族に、黙祷を捧げましょう。」
1分間、身動きする者は、いませんでした。
6年生の、悲しみ、苦しみ、怒り、あきらめ・・・。
様々な感情を感じました。
言葉、少なに。
教室へと・・・。
帰っていきました。
小椋佳さんの詩が。
頭をよぎりました。
学校へは、勉強をしに行きます、と答えた後。
何か、嘘をついたような、気がしました。
・・・学校へは、いろんなことをしに行くのです。
by 小椋佳
翌日、3校時の準備時間。
ある男の子が、校長室に緊急訪問。
「校長先生、親ツバメさん、巣のあたりを飛び回ってましたよ!
子ツバメさんを探しているようでしたよ!」
親ツバメさんの無事を、その子は、嬉しそうに、校長に報告してくれました。
校長、渡り廊下へ、「飛んで」向かいました。
渡り廊下は、すでに、クッションはなく。
残骸も、綺麗に、片付けられていました。
・・・どこを探しても、ツバメさんの姿は、見えませんでした。
・・・でも、その子が報告してくれたように。
親ツバメさんは、たくましく生き延びて。
みんなに、また、お礼を伝えに、来てくれたのでしょう。
だとしたら。
来年、春に、「また」、ここに戻ってくるはずです。
来年こそ、子ツバメさんたちが、ここから、旅立つことを。
・・・心より、祈りつつ。
優しき、6年生。
あ、り、が、と、う。
by ツバメさん
by 校長