日誌

ある板書と「わさび」授業の深遠なる関係

子どもの主体的な学びを実現するためにわさび」の授業を実現すること。

都城市教委が都城市内の小中学生に求める授業スタイルです。

 

6年生。

いつもながらの、子どもさんの主体的な学びが展開されています。

算数。

速さと道のりと距離の関係。

とても難しい問題です。

6年生、協働的な学びで、課題に立ち向かいます。

自力で解決する時間。

 

解決の方向性が見えてきた子供達。

立ち上がり、動き始めます。

解決ができた子どもさん同士解法をぶつけ合います。

学習ペアによる協働的な学びが稼働していきます。

さて。

この後、子どもが主体となる授業が展開されていきます。

指名を受けた女子、解法を説明します。

1分で1/4km進みますから、関係図はこうなりますよね。

「はい!」

脇役に徹する担任が、ここで、初めて口を挟みます。

「ここまで、いいですか?皆さん」

「はい!」

多くの子どもさんが、手をあげ、意思表示をします。

一人の学びが、全員で、協働的に進められている瞬間です。

指名女子、多くの子どもさんの賛同を得て。

自信をもって、先に説明を続けます。

求めるのは、10kmにかかる時間ですよね。

それを( )分とします。

担任、遠くから、見つめます。

そこで、担任、一言。

「ここまで、皆さん。いいですか?」

「はい!」

このように、協働的な学びは、スモールステップで、微細な変化を見つめながら、進められます。

 

子どもたちのノートを校長が確認すると。

同様のことが。

しかし、それぞれに、個性をもって

まとめられています。

 

個別最適に学びが進んでいっています。

 

微妙に違う、ノートのまとめ。

しかし、多くの者が同様であるのは、10わる1/4という式にたどり着いているということ。

指名女子、説明を続けます。

上段。1/4を1/4で割ると、1になるのですから。

10kmも1/4で割ると・・・。

 

ここで、スパッと、担任が、女子の説明を止めます。

「そこまで」

「はい、隣の人に、今の説明を、リピートしてみて。」

全員が、隣を向き、女子の説明をリピートします。

協働的な学びが、個別最適な学びへと昇華する瞬間。

全員が、関係図の説明をリピートします。

思考が深まり、定着へと導かれるのです。

この時、一人一人が、主体的な学びに参加しているのです。

それは、熱心に、確実に、リピートされていきます。

記憶にきちんと残る、科学的な学習法が成立する瞬間でもあります。

 

指名女子。

ここで、発表を打ち切られます。

「ありがとう。次バッターに説明を続けてもらいます。」

指名女子は、納得して、次バッターに打席を譲ります。

さあ、誰が指名か。緊張が走ります。

指名を受けた、次バッター。

リピートを繰り返しているので、安定して、バッターボックスに立ちます。

関係図から。

1/4を1/4で割ると、1ですから。

その関係から、10わる1/4を計算します。

10を分数にして、10/1。

 

全員が、集中して、協働的な学びに、主体的に参加しています。

皆が、息を呑む、瞬間

指名女子が続けます。

10/1かける4/1で、40。

答えは、40分となります。

ヒロイン、誕生の瞬間。

「そうです。」「同じです。」

皆の慰労の言葉が飛び交います。

 

このようにして、本日の協働的な学びは、めでたくゴールを迎えました。

 

校長は、ここで、終わるかと、思っていたのです。

 

が。

担任、初めて、前に立ちました。

 

皆さん、よく学習できました。

ところで、一人、違うことを書いていた人がいたのです。

皆さん、わる1/4としましたよね。

 

ある男の子は、逆方向に矢印を書いて。

かける1/4としていたのです。

つまり、式は( )かける1/4ですから。

( )は、10わる1/4で、10かける4。

答え、40分が求められますよね。

「はい」

 

実は、ある男の子、みんなと真逆の関係図を作っていたのです。

担任は、この「微細な変化」に気づいていたのです。

校長は、男の子に、声をかけました。

「認めてもらって、よかったね。」

男の子は、嬉しそうに、うなずきました。

そこで、ちょうど、チャイムがなりました。

 

終わります。

「ありがとうございました。」

 

令和の日本型教育が求める。

主体的、対話的で、深い学び。

それを、協働的な学び・個別最適な学びを通して実現する。

言葉で言うと、とてもカッコよくって、簡単に聞こえますが。

 

実は、

一枚の板書の写真にも、

かくも雄大で、深遠な物語が、

隠されているのです。

 

都城市は、求めています。

 

子どもが主体となる、授業を実現してほしい。

そのためには。

 

:指導者が「脇役」に徹すること。

:指導者が、先を読んだ授業を実現すること。

び:指導者が、子供の「微細な変化」に気づく授業を展開すること。

 

6年生の算数の授業を見ると、いつも、「もっとみていたいな」。

そんな気分にさせられますし。

子供達も「もっと授業を続けたい」と。

発言するのです。

 

by 校長