日誌

子どもが主役の「わさび授業」(実況1)

都城市内で話題になっている。

「子どもが主役となる授業」

そのためには。

「わ:先生脇役」

「さ:先を読む」

「び:微細な変化に気づく」

そんな授業を実現していく必要がある。

 

最近、「明道小5・6年生の授業」が随所で話題になっています。

 

今後の展開が予想できない社会に生きる子どもたちは

「身につけた知識だけでは、解決できない回答」を。

自ら、考え、発見し、解決していかなくてはなりません。

 

そのためには、どんな授業が大切になるのか。

これから、5年生が答えを示します。

 

ある学校の校長先生、授業参観に来られました。

みんな、何となく、緊張気味

校長「心配ないよ、いつもの君たちを見せてあげなさい!」

明道っ子「はーい!」・・・少し元気になってくれました。

 

さあ、担任先生、頼みますよ!

「子どもが主役の授業」スタートです!

担任先生、さらっと板書。

子どもは、指示なく、決まりごと(ノート写)に反応します。

机の上には、約束事の鉛筆2本と赤青ボールペン、消しゴム、定規。

学習の約束事をきちんと守ることが、お勉強の基本ですね。

担任先生。「今日はね。カード取りゲームをしましょう。」

子どもたち・・・???

担任、早速、歩き回ります。

「ここに貼られたカードを、二人で取り合うのです。」

取ったカードが多い方が、勝ちです。

「先生、それ、簡単です。」

「そうかな・・・・・」

子どもたち、担任の挑戦に、すでに、いろいろ、考えているようです。

 

でも、ここは、じっと我慢。

じっくり、個人思考する時間です。

担任、子どもを焦らします。

子どもは、内心、「早くやってみたいよ!」と、意欲を高めます。

 

担任「このカード。実は、仲間分けができます。」

子ども「2で割れる数」と「3で割れる数」に分けられます。

担任「そうだね・・・。」

 

まあ、やってみましょう。

ある子どもさん、指名を受けます。

やった!

ジャンケン!ポン!

さあ、取るよ!

負けませんよ!

全員が注目する中、試合が進みます。

5枚対6枚。

・・・あら、先生が勝っちゃった。

次の人、誰か?・・・はい!はい!

先生、わたし、先に取りたいです。

どうぞ。

試合が進みました。

参観する子どもたち、ぼちぼち、囁き始めました。

「あのさ、このカード・・。こうじゃない?」

あ、先生。また、勝っちゃった!

はは・・・・。

何か、意見がある人、いますか?

さっきから、ウズウズしていた子どもたち、発言を求めます。

男子が、指名を受けました。

さあ、指定席で、説明を始めます。

が・・・我慢できない子どもたち、友達と回答を協議し始めました。

「2で割れるカードとさ、3で割れるカードとさ。」

「両方割れるカードとさ・・・・。」

なるほど・・・。教室ざわつき始めました。

男の子、主役席に到着。

ビデオ撮影の校長先生。

子どもたちが、主体的に動き始めた姿に、熱い視線を投げています。

さあ、やってみましょう。

30、12、24・・・。

この子どもさん。

気づいているようです。

子どもさん、発言します。

「つまり、2で割れる数と・・・」

担任「ストップ!」

 

回答を見つけた子どもさんに。

決して、最後まで、回答を言わせないのが、この担任先生の憎いところです。

主役は、たいてい、途中交代となります。

子どもさん、微笑みながら、次の選手に主役の座を譲ります。

 

担任「次にどのカードを取れば勝てるのか、分かる人?」

担任は、子どもの微細な変化を確認します。「はい!」

分からない人も多いようですね。

では、今日の学習のめあては、何にしますか?

子どもたちは、声を揃えて、今日の目当てを発言します。

「カードゲームで勝とう!」「カードゲームで勝つ方法を見つけよう」

担任は、最も中庸な言葉を板書します。

ここまでのステップで。

子どもは、自ら課題に気づき。

課題を解決する意欲に満ち。

すでに、ワクワクして、回答を得る瞬間を楽しみに待つのです。

さあ、いよいよ、全員が主役になる、

待ちに待った瞬間がやってきました!

担任が、先を読んだレールの上を子どもたちは走り始めます。

 

担任「カードを配るから、ゲーム、やってみましょう。」

子どもさん「わーい!」「負けないよ!」

子どもたち、素早く、ゲーム体制へ。

このステップで、誰とがいいとか、誰とは嫌だとか、そんなムードは微塵もありません。

誰とでも仲良くできる学級を作ることから、この学習は成立しているのです。

「良いお勉強は、学級経営から」と言われる所以です。

さあ、いよいよ、随所で、カードゲームが始まりますよ。

 もう、多くの子どもたちは、ある「仮定(回答)」を自分の中に持っています。

まだ、全く持っていない子も多くいます。

そんな、まだ、不揃いの学習状況の子どもたちが。

協働的な学びをする中で、「子どもが主役」の活動の中で、

自ら「回答」を見つけていくのです。

 

その様子を、ご覧ください。

24から、取りますか。

ふむふむ。

この2人の対決に注目してみましょう。

担任は、笑顔で、見守ります。

どれどれ。

なるほど。

もう、二人は、気づいていますね。

先行の男子君、勝利!

各集団で、協働的な学びが、進められています。

 

女子、勝利!

説明が始まります。

私が、このカードを取ったから。

 こうなって。

つまり、キーカードは、この15だよね。

熱い協議が繰り広げられています。

皆、かなりデッドヒートして、勝利の方程式を見つけ出そうと躍起になっています。

各所で。

微細な変化が起き続けているのです。

この微細な変化の瞬間が、最も、子どもたちの学び、喜び、成長が大きくなる瞬間です。

勝利の方程式に辿り着く者が増えてきました。

なるほどね。

 

なるほどね。

今、子どもたちは、とっても「カオス」な瞬間に立っています。

 

さあ、教師の出番です。

 

「さあ、そろそろ、話し合いを始めようか。」

「答えを説明できる人!」

「はーい!」

ほ、ほー、ここまで増えていましたか。

このクラスの特徴は、ともかく、主体的に語る」子どもたちが育っていること。

「間違えたって、怖くない」

「なぜなら、誰かが助けてくれるで!」

そんな、学習に最適な仲間意識が育っているのです。

間違いを恐れず、みんな、発表に挑むよう、育てられているのです。

ただし、校長は、分かります。

手をピンと挙げている子どもさんと、

手を半分ほど挙げている子どもさんの。

自信の違いが。

これに気づくことが、「微細な変化に気づく」ということなのです。

担任、指名します。

あなたと、あなたで、やってみてください。

わーい!

ジャンケン!

ゲーム、スタート!

これは、熱い戦いになりますね。

一瞬の気の迷いで、勝負は、逆転します。

 

熱い戦いです。さあ!

ところで、今。

担任先生はどこにいるでしょうか?

 

担任は、脇役に徹します。

 

・・・ここにいます。

担任、ここで、試合を止めます。

「さあ、次に何を取ったら良いのでしょう?」

子どもさん、素早く、反応します。

さあ、ゲームの行方は、クラスみんなの知恵に任され始めましたよ。

担任「つまり、どうまとめれば、この試合に勝てるのでしょうか?」

一斉に、子どもたち、反応します。

協働学習がクラス全体に広がり始めた瞬間です。

みんなで、カードを進めます。

さあ、ゴール。

息を呑む展開の中、勝敗がつきました。

何をどう取れば(取らなければ)ゲームに勝てるのか。

担任「もう1組、ゲームに挑んでみましょうか」

希望者、多数。

ゲーム開始!ジャンケン!

なるほど。

 

ある特徴が、顕著になり、カードゲーム終了です。

さあ、ここからが正念場。

担任の立ち位置が変わります。

担任「さあ、このゲーム、どうすれば勝てるのか、説明してもらいましょうか」

 

一気にエネルギーが弾けます。

主体的、対話的で、深い学びが始まる瞬間です。

キーワードは、この5枚のカードだと思います。

担任「はい、そこまで。」

担任「この友達は、次に何を言うつもりなのでしょうか?」

ゴール前に、主役交代です。

一人の子どもに、

全回答をさせないことは、

大切な学習原則です。

このカードは、2でも3でも割れますよね。

担任「ストップ!

今、友達が言ったこと、みんなで、ささやいてください。

「2でも3でも割れる」

なるほどね。

ここまで、分かりましたか?

「はい!」

「先生、まとめます!」

子どもたちから主体的に発言が始まります。

子どもたちの発言は、机の前では行われません。

主役ポジション(黒板前)が、子どもたちの活躍の場なのです。

そして、主役ポジションの子どもは、学級全体と協働学習を進めるのです。

担任は、脇役に徹します。

「2でも、3でも割れるカードを先に取らなくてはならないのです」

担任「今、話してくれたことをもう一度言える人?

「はーい!」

この瞬間。

子どもたちに

「分からないことが、分かる」

微細な化学変化が生じ続けているのです。

 

「皆さん、カードを取っていきますよ。」

 

「2でも3でも割れるカードを先に取ります。」

「これが勝つ方法です。」

 皆さん、どのカードか、分かりますか?

30、24、そして・・・。

こうです。

先にこのカードを取った方が勝ちになります。

ヒーロー、胸を張って。

自席へ戻ります。みんな、大きな拍手で迎えます。

 

担任「さあ、みんな、カードゲームに勝つ方法、分かりましたか」

はーい!

さあ、ここからが、協働的な学びの真骨頂。

友達の学びを自分の学びにしていきます。

誰一人取り残さない学習の始まり、始まり。

担任「さあ、お友達と、

カードゲームに勝つ方法を説明し合って

ください。」

さあ、最も騒がしい時間が始まりました。

皆、自席で「協働的な理解の確認」が始まりました。

まず、2でも3でも割れるカードから取る。これが大切。

身を乗り出して、友達に理解してもらおうと、懸命です。

全員が、自分の強い意志で、めあての回答を仕上げていく瞬間です。

この5枚のカードがキーワード。

全く何も知らなかった子どもたちが。

30分後には、全員が、主体的な学びを通して、同じまとめを行っている。

先生が教えた訳じゃない。

友達との協働的な学びにより、主体的に、自ら近づく。

 

気持ちがいいくらい、みな、まとめを語りあっていますよ。

この授業。

見ている者も、実に気持ちが良いものです。

 

さあ、前半部の授業展開。

以上です。

 

カードゲームに勝とう!という具体的なめあての解決に向けて。

子どもが主役の授業が展開されました。

わ:教師は脇役に徹しました。

さ:教師は先を読んだ授業展開を仕組み子どもたちを回答に導きました。

び:教師は常に微細な子どもの反応・変化に気づき授業にその感動を取り込んでいました。

 

しかし。

この授業、実は、さらに、具体から理論に展開していったのです。

この後の展開は、校長の想像を超えていました。

 

記事が長くなりましたので。

パート2でお話しします。

 

ああ、ここまで長いと。

流石に、「まとめも疲れ」ました。

 

しかし、長文を、ここまで、読んでいただいた、貴方様に、心より、感謝です。

 

明道っ子、こんなに頑張っているのです!

 

by 校長