島浦(しまうら)は宮崎県延岡市沖にあります。延岡市浦城町から北東へ約6㎞、高速艇なら約10分の距離です。現在の町名は「延岡市島浦町」、地元の人のことは親しみをこめて「しまんだ」と呼びます。昔から漁業が盛んな島で、「いわしの舞う島」と呼ばれたほどです。
島の周囲は15㎞、リアス式海岸に囲まれ綺麗な海食トンネルがあります。また、沖合ではオオスリバチサンゴやテーブルサンゴが群生し、綺麗な海が広がっています。
島の歴史は新しく、最も古い記述は「1596年」藤原惺窩(ひじわらのせいか)の記した日記に「3軒程の民家があった」と書かれてあります。
【地下・奥納屋地区】
【白浜地区】
【宇津木地区】
【メキシコ女王の伝承】
今から約100年前のある夏の日のこと、一隻のカツオ船が島浦港に帰ってくるところでした。港まであと5㎞ほどのところで波間にただよう大きな木箱のようなものを見つけたのです。その木箱をみんなで船に引き上げ、切り破ることになりました。
ぽっかりと開いた木箱の穴から、白骨化した人間の不気味な顔がのぞいて見えます。しかし、その頭の部分はすっかり抜け落ちたとはいえ、ふさふさとした金色の髪がまとわりつき、その上には、赤くきれいに光る石や青くすんだ石など、キラキラと輝く不思議な石をいっぱいにちりばめた黄金の冠が輝いていました。
港に帰るまでの間に、この木箱をどうするか、漁夫達で話し合いました。「宝物だけ取り出して、木箱は流してしまおう」「たたりが恐ろしいから、このまま海に流してしまおう。」など、なかなか話し合いはまとまりませんでしたが、宝物の価値があまりに大きすぎ、そしてぶきみであることから、小島の一隅に深い穴を掘り埋めてしまいました。
島では、「メキシコ女王の墓」として語り継がれています。
その後、島ばかりではなく、延岡から宝物をねらって探しに来る人たちがでてきました。それに怒ったメキシコ女王は、幽霊となって日井の浜に出てくるようになったという話も伝えられています。
【ゆりこん柱】
明治20年の正月29日、地下(じげ〈地区の名称〉)からおこった猛火は、島の2地区のほとんどを全焼させました。必死の消火活動もむなしく、火の勢いはおとろえることなく、焼けるにまかせる状態でした。若い男達が漁に出ているときの出来事で、地下や奥納屋の老人達は家財道具や女子どもを乗せて沖に漕ぎ出す他ありませんでした。
このとき、白浜地区では、区長や老人などの残っている人たちが集まって、島野浦神社に一心不乱に祈り続けました。すると、神への祈りが通じたのか、お社の屋根から一羽の真白い鳥が飛び立ち、白浜地区の上空を飛んで小村の丘の柚子の木にしばらく体を休め、真白い翼を2,3回羽ばたかせました。すると、不思議にも火はおとろえ始め、白浜地区はかろうじて火事からまぬがれることができました。
旧暦10月29日の夜になると、火事をまぬがれた白浜地区では、どこからともなくかけ声が起こってきます。
「コレワイサーノ・フン・エーイ」「コレワイサーノ・フン・エーイ」
白浜地区の人達は海岸に集まって、用意されたウラジロ(シダの一種)に火をつけます。裸になった若い男たちは体をひとあぶりした後、たいまつをかざし、全長20mの杉柱をかついで海中につかっていきます。
沖合100mの海中に、大火は消えた時刻を見計らい、柱を立てる行事です。(現在は埋め立てられたため、消防団の幹部のみで岸壁の突端に柱をたてて火災予防の祈願をしています。)
参照:〔郷土島野浦=語りつぐふるさと=(改訂版)渡部誠一郎編著 平成8年〕
現在でもつくられている名物料理です。ここでとれる新鮮な魚を知り尽くして生み出された料理であり、飽きのこない味わいを是非、ご家庭でもつくってみられてはどうでしょうか。ただし、ここに紹介した材料やつくり方は、あくまで目安です。それぞれの家庭で「おふくろの味」といえる材料、つくり方、そして味があります。
【あげみ(てんぷら)】
〈材料(4人前)〉
〇 魚(なんでもよい)・・・(中)10尾
〇 卵・・・・・・・・・・・・・1~2個
〇 小麦粉・・・・・・・・・・・・50g
〇 塩・・・・・・・・・・・・・・10g
〇 砂糖・・・・・・・・・・・・・25g
〇 タンサン(食用重曹)・・・・・少々
〇 水・・・・・・・・・・・カップ1/2
〇 薄口しょうゆ・・・・・・・・・少々
〇 油・・・・・・・・・・・・・・少々
〇 揚げ油・・・・・・・・・・・・適量
〈つくり方〉
① 魚を三枚におろし、腹骨と皮をとり、ミキサーにかける。
② ①をすり鉢にとり、砂糖・小麦粉・卵・水・タンサンを加える。
③ 粘りが出るまでよくすりこむ。
④ ③に塩・薄口しょうゆで味付けする。
⑤ 手に水をつけて④を適量とり、円形に平べったくのばす。
⑥ 油で揚げて、薄いきつね色になったらできあがり。
【たたっこ】
〈材料(4人分)〉
〇 魚(アジなど)・・・・・・・・10尾
〇 しょうが・・・・・・・・・・・1片
〇 みそ・・・・・・・・・・・・・60g
〇 唐辛子・・・・・・・・・・・・1/2個
〇 タマネギ・・・・・・・・・・・1/2個
〈つくり方〉
① 魚を三枚におろし、腹骨と皮を取る。
② ①をまな板の上で、小さく、粘りが出るまで包丁でたたく。
③ ②の中へ、タマネギとしょうがのみじん切り・唐辛子をいれる。
④ ③にみそも加え、よく混ぜ合わせたらできあがり。
参照:〔郷土島野浦=語りつぐふるさと=(改訂版)渡部誠一郎 編著 平成8年〕
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平成5年4月から平成8年3月まで本校に在籍された渡部誠一郎先生(平成28年4月から北川中学校校長)が書編著された「郷土 島野浦=語りつぐふるさと=」と平成24年4月から平成26年3月まで本校に在籍された崎田浩二先生(平成29年4月から久峰中学校教頭)が編著された「しまんだ~語り継がれる島野浦~」、平成29年に塩谷様よりいただいた、島浦空襲の様子を描いた「島物語」の紙芝居を掲載しています。下の「島野浦歴史読本」よりご覧ください。
島野浦歴史読本
名前 | 更新日 | |
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00 島浦空襲(紙芝居).pdf
852
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2022/04/07 |
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1.郷土 島野浦 渡部誠一郎先生 編著.pdf
1338
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2022/04/07 |
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2.島野浦の古地名図 渡部誠一郎先生制作.pdf
773
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2022/04/07 |
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3.しまんだ 﨑田浩二先生 編著.pdf
1225
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2022/04/07 |
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