学校からのお知らせ

読書感想文の紹介①

 本日は雨の降り続く、肌寒い一日となっています。今日から町の読書感想文コンクールに本校代表として参加した皆さんの感想文を紹介していきます。少し長くなりますが、ぜひお読みいただきたいと思います。

 「あっこと僕らが生きた夏」  1年 萩野 成美さん

 私がこの本を読もうと思ったのには二つの理由があります。まず一つ目は、とても単純な理由です。それは、本の手触りが良かったことです。私は、今まで題名や絵で何の本を読むか決めていました。ですが、今回だけは違い、勝手にこの本に手が伸びていました。自分でびっくりしましたが、とてもこの本を気に入りました。そして、もう一つの理由は、夏休みの間に全国高等学校野球選手権大会が始まるからです。全国高等学校野球選手権は、県で勝ち上がった一校の高校が全国へ行き戦い、日本一を決めるというものです。私は父が野球をしているという影響もあり毎年見ていました。それが、この本を読む理由にもなりました。
 この「あっこと僕らが生きた夏」という物語は、野球部のマネージャーである、あっこという女の子からはじまり、本当にあった実話です。あっこという名前は本当の名前ではありません。本当の名前は大﨑耀子さんです。なので、あっこという名前はニックネームになります。あっこは、ごく普通にいる女子高校生でしたが、人一倍野球の好きな女の子でした。ですが、野球をしていたわけではなく、ただ野球が好きという強い気持ちから、親友を誘いマネージャーになろうとしていました。しかし、親からは反対されました。それでも、あっこは親の反対をうちきりマネージャーになりました。そして、野球部のマネージャーとして人生の新たな第一歩を進みました。あっこは、マネージャーとして野球部の男子たちが驚くほど頑張り、両親が「車で送るよ」と言っても断るくらい毎日自転車で学校に通いました。そして、両親の「すぐにやめてしまうだろう」という予想を裏切って、マネージャー道を脇目も振らず、ただまっすぐに走り続けていきました。ですが、悲劇は突然起こりました。その悲劇が起きたのは、1年生の冬、12月ごろでした。突然あっこの首に小さなしこりが現れたのです。それを知ったあっこ、親友のマネージャー、野球部の男子たちはどうなっていくのでしょうか。ここから、どんどん物語が進んでいきます。
 私はこの本を読み終わり、心に残った場面が三つあります。
 まず一つ目は、あっこの病気を知った両親の行動です。あっこの病気は「上咽頭がん」と言われるがんでした。それで、父親は長年自分がたばこを吸い続けてきたことを責めました。また、母親は「泣いてはいけない」と自分に言い聞かせていました。でも、溢れる涙をこらえることができず、何度も頬をぬぐいながら必死に涙をおさえていました。もし、私が母親になったら、涙を抑えることはできるだろうか。がんという病気だったということを伝えるられるだろうか。私は絶対にできないと思います。だからこそ、母親と父親の行動が心に残りました。 
 二つ目は、野球部部員のの優しさと、あっこの前向きな姿です。野球部部員は、あっこが頑張っているなら俺たちもというように、今まで黒星が続いていたのに、あっこがグランドを離れてから嘘のように連勝を重ねていきました。また、自分たちの体で、あっこに「アッコガンバレ」と伝え、私はその姿にとても感動しました。あっこは、自分が病気だということを誰よりも苦しいはずなのに、マネージャーとして体調が良い時はグランドに立っていました。この姿は、とてもすごいです。これは野球が大好きで、マネージャーという仕事に誇りをもっているあっこにしかできないことだと思います。
 最後に三つ目は、今でもあっこの花壇が残っているということです。あっこの花壇というものは、チューリップが植えてあります。これは、野球部全員が「来年の春、一緒に見よう」という願いを込めて植えました。あっこも一緒に植えるつもりでしたが、体調を崩し植えることができませんでした。でも野球部全員は、あっこの気持ちまで、すきまがなくなるほどチューリップを植えました。その花壇とチューリップが今も残っていて、「あっこの花壇」として親しまれていることにとても感動しました。また、あっこはグランドから見守っていると分かり、とても心に残りました。
 私はこの本を通してみて思ったことがあります。それは、あっこのように誰からも愛される人になりたいということです。それと何があっても頑張り、前向きな気持ちを今後の人生に生かしていきたいと思います。