部活動

集中力とは?

 前回、自分のもっている力を最大限に引き出すためには、“強い気持ち”が重要であり、その“強い気持ち”とは何かというと、どんな状況でも“集中することができる力”だと述べました。しかし、“強い気持ち”や“集中力”といっても、抽象的で形がなく曖昧なものなので、なかなかうまく伝えることができません。

 そんな中、東大生に聞いた天才とは何かという記事の中で、その東大生は
「人並み外れた記憶力」と答えていました。その理由として、本当は“集中力の高さ”が一番大事ですが、 “集中力”を比べる術はありません。そこで“記憶力”は集中の度合いが左右するから、“記憶力”が高ければ“集中力”が高いということを表していますというようなことが書いてありました。
 なるほど
、勉強が苦手な生徒でも、好きな歌手の歌詞や、ポケモンのキャラクターなどは簡単に記憶することができます。つまり、興味があることには自然と“集中”して“記憶”するのでしょう。勉強やスポーツもこのように覚えてくれたらと感じる人は多いのではないでしょうか。勉強でも、ただ一夜漬けでテストの点を取るために覚えたことはすぐに忘れてしまいますが、内容に興味をもったり必死で考えて取り組んだりしたことはいつまでも記憶に残ります。“記憶”するためには“集中力”が必要で、その“集中力”を高めるには、その物事に対する興味・関心・意欲が必要だということだと思います。


 また、いろいろと調べていると、集中力を高めるコツとして5つのSというものがありました。それは、

 Simple(シンプルな)
 Small(小さな目標を)
 Single(1つだけ)
 Short(短い時間)
 Smile(楽しみながら)

 このように、なるべくハードルを下げ、集中できる環境を創り出すことが集中力を高めるためには必要であるということです。指導者としてはこのような環境を意識して練習を組み立てたり、試合の中で指示を出したりしなければなりません。

 こういったことを調べていくうちに、今回春高バレーで優勝した下北沢成徳高校の小川先生が以前講演でおっしゃっていたことの意味がよりわかってきました。(小川先生の講演についてはhttp://cms.miyazaki-c.ed.jp/4225/htdocs/index.php?key=jokt89tii-133#_133参照)

 自分の力を最大限に発揮するためには、身体的なコンディションはもちろんですが、“集中力”が大切です。そしてその“集中力”を高めるためには、興味・関心・意欲をもって自分がやっていることに取り組むことが重要です。また、自分が集中しているかどうかということは、自分がこれまでにやってきたことをしっかりと“記憶”しているかどうかにつながっていきます。それを定着させるために、記憶したことを整理したりまとめたりする時間も必要になってきます。

 つまり、“気を強くもつ”ということは、今自分がおかれている状況に“集中する”ことで、“集中する”ということは、これまでの経験や現在の状況について、自分が“記憶”しているものの中からベストな行動を選択し、それを実行することだと思います。

 “気を強くもつ”⇔“集中する”⇔“記憶する”

 
 このような観点から自分の指導を振り返って見ると、選手が自分たちで考える時間を多くとる、目標を明確にしたり練習を楽しませたりするための練習メニューを工夫する、積極的な休養をとる、ミーティングやバレーノートでの振り返りを工夫するなど、まだまだ改善の余地があります。

 “気を強くもつ”ため、“集中力”を高めるため、“記憶力”を高めるために大切なことは、理論的には以上のようなことだと分かりましたが、結局一番は、バレーボールが好きであるという“心”や仲間を思いやる
“心”だと私は今改めて感じています。その気持ちを育てるためにはどのような指導をすればよいのか。私も原点に戻ってもう一度自分の指導を振り返り、選手たちとともに人間力を高めていきたいと思います。
 ※ 赤字は引用