日誌

7/8 早期発見

2校時に3年生の道徳の授業を見に行きました。

題材は教科書にある「卒業文集最後の二行」でした。

以下はあらすじですーーーーーーーー

小学生のころ、クラスに身なりの汚いT子さんがいた。
母を亡くし、二人の弟の世話をしながら、魚の行商をしている父親と貧しい生活をしていた。
小学校6年生のとき、その女の子が私の席の隣になった。
いつも私や周りから「きたない」「くさい」「風呂に入れ」「近寄るな」といじめられていたが、T子さんは泣きもせず、先生にも言わずじっと耐えていた。
彼女の成績は上位だったが、私の方が少し上であった。
国語の漢字のテストのと時に、私はどうしても二つ分からなかった。
ふと隣を見るとT子さんは正解を書いている。
私はT子さんの答案をカンニングした。
テストの結果は、T子さんは一つ間違えて98点、私はただ一人100点満点だった。
T子さんは「さすがイチノヘさんね。おめでとう」と素直に私に言った。
授業が終わると周りの悪童が、T子さんが私の答案をカンニングしていい点数をとったのだろうと騒ぎ出した。
はじめは黙っていた私も、つい調子に乗って「俺の答を見たからだ。見たに決まっている。」と責めてしまった。
その時、彼女は涙とともに「私は見ていない、着てるものは汚いかもしれないが、心は汚くない」と言った。
私はT子さんの初めての涙と言葉に衝撃を受け言葉を失った。
とうとう謝らずじまいで卒業式を迎えた。
T子さんの卒業文集の最後の二行に書かれていた「今一番欲しいのは母ではなく、本当の友達ときれいな服です」という言葉が心に刺さり、涙が止まらなかった。
三十余年が過ぎた今でも、T子さんへの罪業を思い出すたびに忍び泣いてしまう。
私に大いなる悔いを与えてくれた、あの二行を読まなかったら、今の私はどうなっていたか分からない。

 (作 一戸冬彦「心に残るとっておきの話 第2集」潮文社)

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T子さんの心情を考えると、何度読んでも胸が痛くなる話です。

現在のT子さんが幸せに、穏やかに暮らしていることを願ってやみません。

 

今回の教材は、公正,公平な社会を実現するために,いじめを憎み,不公正によって誰かが傷つく状況を正そうとする態度が大切であることに気付かせる内容です。

また、学級内でいじめが起きていないからこそ,いじめを未然に防ぐ意味も込めて,いじめという卑劣な行為を無くすためにはどうしたらよいか、目にしたときにどうすればよいか等を考えさせる機会となりました。

3年生が「公正,公平,社会正義」という道徳的価値についての考えをより一層深めてくれることを期待しています。

 

教師の視点で見た場合、T子さんの服装や家庭の状況を考えると、いじめやからかい等が起こることを十分予測できたはずです。

教員をはじめ、もっと周りの大人がいじめの予防といじめに気付く努力をすべきだったのではないでしょうか。

早く気付くことができていれば、これほどつらい1年間にならなかったのではないかと悔やまれます。 

 早期発見、早期対応の重要性を改めて感じました。