日誌

10/8 共同作用

普段ほとんど何も考えずに指を動かしていますが、指を制御するシステムはわからないことも多いようです。

指を動かす筋肉は方手で29個もあり、この筋肉の動作の強さが10段階(本来はもっと多い)あるとしたら、合計で10の29乗といった膨大な組み合わせを制御する必要があることになります。

これは、現代のスーパーコンピューターを使っても大変なことです。

 

中学校の学習では、脳から神経を使って筋肉に命令を送り、筋肉が動くという内容がありました。

これでいくと、片手を動かす場合、29個の筋肉ごとに目的に合った動作の強さを決め、脳から29個の筋肉に指令が出されることになります。

全身を使って運動をしている場合、制御する筋肉の数はさらに増えます。

膨大な数の筋肉に対して、果たしてそんなことが可能なのでしょうか?

 

最新の研究では、大脳が出す指を動かす指令は29個の筋肉に直接行くのではなく、途中の中継地点までは1つの通路で、そこから29個の筋肉に各指令が行くようになっているのではないかという仮説があります。これを筋シナジー仮説と言います。

つまり、中継地点の中枢神経系に複数の筋肉をグループ化して制御する機能があり、そこで29個をまとめて制御しているのではないかというのです。

脳は複雑な指示を個別に出さず、複雑なコントロールは中継地点に丸投げすることで負荷を軽減しているのではということです。

 

「手」が知らない動きは、もちろん脳で考えて逐一指令をだしながら実行するのですが、それを何度もやることで脳を使わずに素早く効率的に動くことができるようになるのだそうです。

 

※シナジー:「synergy」のことで、人、物、事柄などが複数存在し、それらがお互いに作用し合うことで、機能や効果を高めることを指します。 相乗効果、共同作用といった意味で使われることがあり、一般的には共同、協力して行うことで1+1が2以上の効果を生むような場合に使われます。