日誌

7/3 ロケット

先日H3ロケットの打ち上げが成功しました。
H2ロケットの試験機1号機が1994年に打ち上げを成功させましたので、それから約30年になります。

日本では、水素を燃料とするロケットエンジンの開発が1973年頃から始まりました。

H1ロケットで実用化した後、H2までに約20年かかっています。

一方アメリカでは、1960年代にすでに水素を燃料とするロケットエンジンが使われていました。すごいですね。

H2のロケットエンジンについては、『メタルカラーの時代』シリーズ(著:山根一眞)で、開発者の話を読んだことがあります。

この本で表には出ない技術者の苦労や努力や工夫、そして困難を乗り越えようとする意識と技術力の高さを知ることができ、見方が変わりました。

水素エンジンだけでも、ここには書ききれないほどの技術的ブレークスルーが必要でした。

燃料の液体水素がマイナス250℃以下のため、燃料タンクの断熱に工夫が必要だったり、水素を燃焼させると3000℃にもなるのでそのままではロケットの吹き出し口が溶けてしまうため、燃やす前の液体水素で吹き出し口を冷やしながら燃焼させるようにしたり・・・などの対応が必要だったそうです。

さらに、なるべく軽く作りたいためにボルトナットを使わずに溶接にした部分に亀裂が入って爆発したり・・・。

エンジンを含め、すべて国産の技術で作り上げることを目指したため、実験をしては失敗し不具合を探し対応する、の繰り返しだったそうです。

打ち上げは成功して当たり前のように思ってしまいがちです。
多額の開発費や打ち上げ費用をかけているのですから、それはある意味仕方ありません。

いずれにせよ、ロケットを作る技術的困難のレベルの高さと、それを乗り越えるためにかけた時間と苦労を考えると、技術者の皆さんには頭が下がります。

 

参考--------

下の写真はH2についている液体水素をタンクから噴射口の根元にある燃焼室に送るターボポンプ。設計寿命は2000秒。

右端の円盤を、少し酸素を混ぜて一部燃焼させた液体水素(温度は550℃、215気圧)で回転させます。1分間に4万2300回転(1秒間に705回転)、2万4000馬力(タンカーなみ)

その力で、右側のスクリューのような部分を回転させ、燃料タンクからマイナス228℃の液体水素を275気圧にして燃焼室に送り出します。

もう一つ、液体酸素を送る同様のポンプがあります。

※この写真は種子島宇宙センターに行ったときに撮りました。横幅は1m位だったと思います。