沿革

平成13年度 

 小林市教育委員会は、平成13年4月1日から小林小学校、南小、小林中の3校で1名の加配事務職員を加えて学校事務の共同実施を開始


平成15年度

 「平成16年度から共同実施を全県下で完全実施する」という県教育委員会の方針を受け、学校教育課長を委員長として、校長、教頭、事務職員で構成する共同実施研究プロジェクト会議を設置
 

平成16年度 

 平成16年4月1日、小林市立小中学校共同実施運営要綱が施行され、小林地区(7校)と三松地区(7校)の2地区で共同実施を開始、同年、共同実施執務室の環境整備費が予算化されるとともに、共同実施主任に対する事務委任規則を制定
 

平成17年度

 校長、教頭、教務主任の各代表、専門委員会委員、事務主幹を委員とする学校事務改善委員会を設置して学校管理規則や各種事務処理規程の見直し作業を実施
 

平成18年度 

 平成18年3月20日に小林市と須木村が合併したことを受けて、平成18年4月1日から、須木地区(5校)を加えて3地区で共同実施組織を再編成、3地区の内、小林地区共同実施組織を小林地区スクールサポートセンター(以下「小林地区SSC」と言う。)と改称して、共同実施の取組を強化、組織の構成員は小林小、南小、永久津小、東方小、小林中、永久津中、東方中の事務職員で、小林小に2名の加配事務職員が配置された。17年度までの小林地区共同実施組織の業務内容は、毎月定期的に小林小に集合して、給与・旅費関係事務の相互審査等を中心に行われていたが、平成18年度からの共同実施の目的は、教員が子どもと向き合う時間の確保と教育効果を高めるシステムの構築であること。加配事務職員の配置目的は、「きめ細かな学習指導や学校の情報化」を支援するためであることを組織内で確認した。このことを受けて、教育委員会の担当者と協議を重ねながら、平成18年度の小林地区SSCの事務・業務を、事務局(小林小)で処理するもの、連携校を訪問して処理するもの、共同で処理するものの3つに整理するとともに、併せて事務職員の年間研修計画を策定した。この内容を平成18年度小林地区共同実施組織運営要領案として、5月に開催された小林地区共同実施協議会(組織内の校長、代表教頭、事務職員、教育委員会担当職員で構成)に提案し、承認された。
 主な取組内容は、事務局を中心に行うものとして、学校支援人材情報の収集・提供、校外活動施設利用情報の収集・提供、職場体験受入事業所情報の収集・提供、学級文庫学校間回覧システムの構築、公文書管理システムの構築、地区内学校施設設備集中点検、事務職員未配置校支援、事務職員研修計画など、連携校を訪問して行うものとして、児童生徒情報管理システム導入支援、諸公簿管理事務支援、施設設備安全管理支援、学校の情報化支援など、共同で行うものとして、諸手当認定審査会、年末調整審査会、諸公簿集中点検、実務研修などであった。
 また、平成18年7月には、文科省の研究委託事業「事務の共同実施を活用した教職員配置に関する実践的調査研究」を教育委員会が受託して、小林地区SSCが主体となって研究実践に取り組むこととなった。取組内容は、平成18年度小林地区共同実施組織運営要領に示したものと同様であったが、特に児童生徒への直接的な教育効果が高い学級文庫学校間回覧システムの構築に向けた取組を重点化することとした。 併せて、小林地区SSCの取組内容について、市内教職員への周知を図るため、定期的にSSC通信を発行するとともに、市内教職員や保護者等が一堂に会する「小林市教育フォーラム」の場で発表するなどの啓発活動を行った。
 平成18年度のこれらの取組を通して、市内3地区の共同実施組織がそれぞれの手法で、地区内学校の個々の事務・業務を部分的にサポートするより、ICT等を活用して、市内小中学校全体に効果を及ぼす新たな校務運営システムを構築する方が有効であることが見えてきた。
 このことから、3地区の共同実施組織を一つに統合して、事務局体制を整備することが有効であるとの結論に達し、教育委員会の担当者を含めて、各地区の共同実施組織と新たな枠組みづくりについて、検討協議を重ねた。
 また、システム開発を担当する事務職員の事務負担軽減のため、所属校に加配事務職員を配置するなど、事務職員配置の弾力化を図ることも必要であった。
 

平成19年度

 平成19年4月1日付で「小林市スクールサポートセンター運営要綱」が施行され、市内全小中学校の事務職員を構成員とする共同実施組織が誕生した。
 小林小学校に事務局を置き、センター所長(小林小校長)、事務局長(小林小事務主幹)、事務局次長(三松小事務主幹)、推進委員4名、運営委員14名の組織体制とするとともに、課題別に四つのプロジェクチーム(学校財務、学校旅費、教材教具、SSC広報)を編成して、全事務職員を割り振った。
 また、19年度から加配事務職員が1名増員され、旧三松地区の1名と合わせてSSCに4名配置されたことを受けて、事務局長所属校(小林小)、事務局次長所属校(三松小)、推進委員所属校(小林中)に、それぞれ1名を派遣するとともに、1名をSSC事務局専属とした。
 こうした運営体制のもと、19年度の事業計画として、SSC重点戦略Ⅴを掲げ、文書情報共有、児童生徒情報管理、保護者負担経費総合管理、学級文庫学校間回覧、教育情報共有などのシステム開発や導入に取り組むことを年度当初の小林市SSC総会(市内全校長・事務職員、教育委員会事務局で構成)で提案し、承認された。さらに、教育委員会に専用のサーバーが設置されたことを受けて、SSC推進委員が開発した文書情報共有システムを小林小学校で9月から、小林中学校12月から試行運用して、平成20年3月17日から市内全小中学校での運用を開始した。
 学校集金を一元管理する保護者負担経費総合管理システムについては、ICT関連事業所と共同開発したソフトを活用して、4月から小林小学校で試行運用を開始した。
 SSC文庫学校間回覧システムについては、旧小林地区の4小学校の取組として、4年用と5年生用の図書を新たに市予算で共同購入して、より一層の拡充を図った。
 教育情報共有システムについては、地域イントラネット上で市内小中学校のビデオ教材情報を共有するシステムをSSC推進委員が開発して、9月から運用を開始した。
 また、教育委員会と連携・協働しながら、学校予算の効果的な活用を促進するため、総額裁量制を活用した事業型予算要求システムの導入を図り、教育課程と予算編成の一体化に向けた取組を推進した。併せて、SSC重点戦略や事業型予算要求システムの周知を図るため、SSC通信による広報活動や市内教職員へのアンケート調査及び校長会、教頭会、教務主任会等の会合で説明会を実施するなど、啓発活動を強化した。
 このように小林市SSCの活動が広がる中で、事務局主導のもと、各プロジェクトチームや推進委員会の動きが活発化していった反面、各段階における取組状況等について、事務職員全体で共通理解を図る場が不足する傾向も見られた。

平成20年度

「小林市SSC事務分掌及び諸会議」を総会に提案して、組織内の役割分担を明確にするとともに、年間の運営計画を具体的に示した。併せて、事務職員の資質の向上とSSCシステムの共有化を図るため、教育委員会研修として「学校事務管理運営に関する研修計画」が策定され、SSCのスタッフが中心になって企画・運営にあたることとなった。
SSC文庫学校間回覧システムについては、市内全小学校へ拡充するため、旧三松地区の5年用と6年生用の図書を市予算で共同購入して、学級・学校間の回覧を開始した。
 文書情報共有システムについては、市内小中学校で順調に運用されていたが、他市町村から導入に関する問い合わせ等もあり、メンテナンス体制の充実と機能の拡充を図るため、改めてICT関連事業所と共同開発することとした。
 一方、教育委員会では、事業型予算要求システムの周知徹底を図るとともに、新規に公募事業「特色ある学校づくり推進事業」を実施した。
 この事業にSSCの学校備品の有効活用を図ることを目的とした「視聴覚機器リサイクル推進事業」が採択され、市内小中学校で不具合が生じているCDラジカセ等の一斉点検・修理を行い、各学校に貸与するシステムを構築した。
 また、小林市に限らず、全国的な課題となっている学校給食費未納問題に対処するため、教育委員会とSSC事務局で検討協議しながら、市内各小中学校の学校給食会で構成する小林市小中学校給食会を設立した。本会は、教育長を会長として、事務局をSSCに置き、その事業内容を「徴収困難な給食費債権に係わる法的手続きに関すること」として、3月17日に第1回の理事会を開催した。
 このように、SSCの業務内容が拡充していく中で、SSC事務局の組織体制をより一層強化することは喫緊の課題となった。また、SSCで開発した各種システムを他市町村へ提供するためには、メンテナンスも含めた運用体制を整えることが必須条件であり、県内各地の共同実施組織間の連携強化を図ることも必要であった。

平成21年度

 「SSCシステムの運用状況と本年度の取組」及び「SSC重点戦略Ⅳプラス1」を総会に提案して、SSCシステムの各学校における運用状況及び本年度、重点的に取り組む内容を説明するとともに、年間の運営計画を具体的に示した。また、平成20年度末の人事異動で、小林中の事務職員(SSC推進委員)がSSCの専属スタッフとして小林小に異動することになり、SSC事務局の組織体制が強化された。
 このことを受けて、平成21年度から、兼ねてからの懸案事項であった校内サーバーを活用した児童生徒情報管理システムの開発に取り組み、9月下旬から、小林小、西小林小、三松中で試行運用を開始した。
 SSC文庫学校間回覧システムについては、市内全小学校・全学年で運用することとなり、3月から6月にかけて図書の補修、登録、コーティング、配本などの回覧準備作業に相当の時間を要するようになった。
 文書情報共有システムについては、SOHO事業所と共同開発を進め、地域イントラネット上で公文書を管理するシステムに加えて、校内文書、学校行事、出張情報、休暇情報等の学校内外の情報を総合的に共有するシステム(校務情報共有システム)として、年次的・段階的に機能を付加していくこととした。
 また、小林市小中学校給食会事務局(SSC)の取組として、各学校における給食費滞納者の内、学校での対応が困難であると教育委員会が判断した債務者について、裁判手続き(支払督促申立)を開始することとした。
 さらに、同年度から、小林市の歴史や文化などを学ぶ「こすもす科」が新設されたことを受けて、各学校の指導事例や指導案、提示資料などを地域イントラネット上で市内の教職員が共有するシステムの構築に向けて、小林市教育研究センターとの共同研究を開始した。
  一方、PDCAサイクルによる学校財務マネジメントの考え方についての理解は徐々に深まっていったが、学校予算総額の中で、日常的に教育活動を実施するために必要な経費と学校の裁量で使える経費との区分が曖昧な部分もあり、事業型予算要求システムが有効に機能しない側面も見られた。このため、平成21年度から文部科学省研究委託事業「学校予算の効果的な配分・活用方法に関する調査研究」に教育委員会と連携して取り組み、事業型予算要求システムの評価・検証を行うとともに、経常的な経費と学校裁量の経費の区分を明確にすることとした。
 また、7月に開催された小林市教育フォーラムにおいて、SSCの各種システムについて説明するとともに、本年度開発予定のシステム(校務、備品、図書、児童生徒等)の必要度についてアンケートを実施した。教職員145名の回答を集計した結果、どのシステムについても、8割以上の教職員が必要度は高いと回答した。 
 さらに、8月に開催された全国公立小中学校事務研究大会の分科会において、小林市SSCの取組を発表するとともに、10月に開催された宮崎県公立小中学校事務研究大会の全体会では、校務情報共有システムを紹介しながら、新しい学校運営システムを構築するために、県内各地の共同実施組織の連携強化が必要であることを訴えた。
 平成22年度に向けては、校務情報共有システムの各学校での運用体制の整備及び他市町村への普及促進、支払督促申立に係る運用体制の確立、事業型予算要求システムの充実・深化などが課題であるが、特に平成22年3月の野尻町との合併に伴い、野尻町の共同実施組織を加えた組織運営体制の構築が必要である。

平成22年度

 平成22年3月に野尻町と合併して、新小林市が誕生したが、旧野尻町5校の小中学校にも、SSCシステムをスムーズに導入することができた。
 また、現在運用している各システムについて、各学校での活用を促進するため、バージョンアップや導入サポートに努めた。
<校務情報共有システム>
 操作性の向上を図るとともに、旅行命令書、復命書等が出力できる機能を追加した。
<児童生徒情報管理システム>
 操作性の向上を図るとともに、各小中学校への導入サポートを重点的に進めた。
<学校集金未納対応システム>
 各学校の給食費滞納者への対応として、教育委員会、学校、給食会事務局(SSC)の三者による協議を経て、支払督促申立に移行する体制を確立した。
<事業型予算要求システム>
 事業型予算要求システムの有効性を高めるため、昨年度に引き続き、各学校における経常経費を用途別に分析して、学校割、学級数割、児童生徒数割による配分基準を策定するとともに、同基準(割合)を非経常経費に適用することで、各学校の配分予算の総額を算出する手法を示した。
<SSC文庫学校間回覧システム>
 野尻町との合併もあり、市内全小学校12校の全学年で運用することとなった。
 さらに、新たなシステムの開発を進めた。
<通知票作成サポートシステム>
 「小林市小・中学校特色ある学校づくり推進研究委託事業」として、「通知票作成サポートシステム開発」の研究委託に取り組み、小学校の通知票をパソコン上で編集したり、出力したりするシステムを開発して、小林小学校で試行した。
 このシステムを運用することで、ゴム印や手書きによる転記作業がなくなり、学級担任等の事務負担を大幅に軽減することができた。
 今後、システムのカスタマイズや情報セキュリティの確立など、市内小中学校で運用できる手立てを検討することが必要である。
<学校図書検索システム>
 校内サーバーで学校図書のデータを管理することで、各教室からアクセスして、必要な図書を検索したり、貸出状況を確認したりすることができるシステムを開発した。。
 このシステムを運用することで、日常の授業の中で図書室の活用が図られるとともに、児童生徒の読書への意欲・関心を高めることができる。
 平成23年度に向けては、校務情報共有システムの深化・充実を図るため、教育委員会との連携・協働体制をより一層強化するとともに、各システムの他市町村への普及を促進するため、ICT関連事業所におけるサポート体制を確立していくことが必要である。

平成29年度
 小林市全体で1つの共同実施体制から、3地区での共同実施体制へ変更した。
 また、SSC事務局長は、西諸県地区のブロック長を兼務することとなった。

平成30年度
 平成29年度4月1日から「学校事務の共同実施」が「共同学校事務室」として制度化され、併せて、共同学校事務室を設置している場合、学校事務職員を定数加配できるよう法整備されたことを受け、5月のSSC総会において「共同学校事務室」移行に向けての条件整備を本年度の取組みの重点事項とすることを決議した。これを受け、SSCに「共同学校事務室研究プロジェクトチーム」を設置。共同学校事務室研究の業務と組織体制について研究を行い、その研究を基にSSC推進委員会で協議を重ね、
平成31年4月からの「共同学校事務室」移行に向けて協議内容等を市教育委員会へ報告した。

 平成31年度(令和元年度)
    
小林市の学校事務は、これまでの3地区体制での共同実施から4地区体制での共同学校事務室へと移行し、それにともない、SSC運営要綱の改正が行われた。SSC事務局も、事務局長1名の配置となったため、SSC発足当初のような支援は、不可能な状況となった。細かな事務支援やOJTは、地域の実態に合わせて、共同学校事務室が担っていくことになる中、SSC事務局は、共同学校事務室の支援や、SSC研究会の研修企画が業務の中心になってくる。
 今年度、SSC研修では、市の業務「就学援助」や「財務システム」を中心に共通理解が図られるよう研修を行った。学校事務職員の異動の現状を見ると、基本的な市の業務の研修は、毎年行う必要がある。また、過去プロジェクトで作成した各事務処理マニュアルについても、継続して見直しや紹介が必要である。
 また、「働き方改革」への取組みが求められる中、教員の負担軽減・業務改善に向けての取組みとして、就学援助費の保護者口座振り込みや学校納入金の口座引き落としについて、教育委員会や、共同学校事務室内で協議し、効率化や改善を図った。教員の負担軽減のためだけではなく、事務の効率化や地域との連携等に向けて、共同学校事務室、あるいは、学校事務職員に求められている業務についても継続して検討が必要である。
 SSCのホームページについては、今回の共同学校事務室への移行を機に、現在の状況にあった内容へ更新し、SSCの情報を発信している。
 平成18年度より継続して取り組んできた「SSC文庫」は、本年度より、学校図書館支援センターへ運営移行した。今後も、これまで同様の運営が行われるよう、各学校の事務職員の協力のもと、学校図書館支援センターと連絡調整を行っていく。

令和2年度
 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、教育現場でも、登校困難な職員の自宅勤務、児童生徒の分散登校、行事等の見直しなど、困惑しながらも、新しい取り組みに追われた1年だった。そのような状況の中、小林市スクールサポートセンターでは、教育委員会と協力し、就学援助や、財務会計システム等の研修を開催することができた。
 国の「学校再開に伴う感染症対策・学習保障等に係る支援事業」の予算要求に際しては、小林市教育委員会と情報を共有し、SSC事務局会を開催、情報共有システムを使いながら補助対象品の検討等を行った。また、国の第3次補正予算にも「感染症対策等の学校教育活動継続支援事業」の補助金が計上され、時間的猶予のない中、小林市教育委員会、共同学校事務室長とリーモートでのSSC事務局会を開催し、各学校の補助金申請の支援ができたと感じている。
 今年度、新型コロナウイルス感染症と、GIGAスクール構想、society5.0等色々な条件が重なり、人が集まらなくてもできる会議・研修(リモート会議やオンデマンドでの研修)が、当たり前になってきた。このような環境で実施可能な、共同学校事務の運営、事務の集中処理について考えていく必要がある。また、スピード感をもって処理する必要のある事案が増えてきていると感る。このような状況に対し、SSC事務局は、各学校・共同学校事務室の支援とともに、小林市教育委員会との情報の共有、情報収集を今まで以上に図り対応したいと考えている。