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2020年8月の記事一覧

【授業報告】R2年九中社大分大会に係る研究授業について

【授 業】令和2年度九州中学校社会科教育研究会大分大会における研究発表に係る研究授業
【日 時】令和2年7月14日

【会 場】日之影町立日之影中学校
【授業者】早田 泰大 教諭[日之影町立日之影中学校]

【単 元】地方自治と私たち
      ~日之影の今と向き合い未来を考える~
【指導案】会員専用ページに公開中 
【報 告】
 今回の授業は、社会科を契機とした学びの構築に挑んだ授業であった。その中心となるのが、社会科と総合的な学習の時間(以下、総学)のクロスカリキュラムである。社会科と総学は育成する資質や能力は違えど、課題解決的な学習を行う部分や社会参画など、社会科における公民的資質の育成など重なる部分は多いと考えられる。
 日之影中は、昨年度から総学でふるさとの課題と向き合い、その解決策を探究する「ひのかげ近未来会議」に取り組んでおり、生徒たちは本授業までに町の課題解決のアイデアを創造していた。早田教諭は、それらのアイデアを社会科の授業に組み込み、より探究させるべく、年間を通してのクロスカリキュラムを組んでいる。
 具体的には、総学で生徒たちが考えた解決のアイデアに、社会科学習で働かせる社会的な見方や考え方である「地方自治」と「地方財政」の2つの概念を加えることで、それぞれの課題に対する理解や解決策をより深めさせていくというものである。
 前時に引き続き、授業の序盤では、生徒たちは自分たちの解決のアイデアが実現可能かどうか総学の際には見られなかった「地方財政」という視点を踏まえながら吟味を行う姿が見られた。その中で自然と財源を確保できれば、よりアイデアを膨らますことができると考えるようになっていた。そこで提示されたのが「地方債や地方交付金」
、「クラウドファンディング」、「ゼロ予算」という3つの財源確保の方法である。授業者の発問により、生徒たちは自分たちの解決策にあった財源確保の方法を選択していった。そこに、授業者はあえて「地方自治」の見方や考え方についても言及し、自分たちの選択した財源確保の方法は「地方自治」の視点から考えるとどうなのかという新たな問いを生ませ、より深い学びを目指した。
 また本授業では、深い学びを実現するためにジグソー法などの協働的な学習が積極的に組み込まれてあった。生徒自身がタブレット端末の操作しながら、グループでプレゼンする姿など、GIGAスクール構想を意識した場面も見られた。
 社会科と総学のクラスカリキュラムという、これまで連携がしやすいと思われながらも、なかなか先行事例が生まれなかった部分の試金石となりうる実り多い授業実践であった。(五ヶ瀬中等 佐土瀬)