学校長あいさつ

令和6年度 宮崎県立高千穂高等学校入学式式辞

 神代の姿を今もとどめる山紫水明の地高千穂に、美しく咲き誇っていた桜もいつしか葉桜となり、明るい春の日差しの中に若葉の緑が一層鮮やかに映えるこの佳き日に、ご来賓各位のご臨席のもと、多くの保護者の皆様方のご出席を賜リ、令和6年度宮崎県立高千穂高等学校第77回入学式を挙行できますことを心より感謝申し上げます。

 ただいま入学を許可されました92名の新入生の皆さん、入学おめでとう。一人一人の名前が読み上げられた時の返事、そして高千穂高校の一員となった皆さんの今の表情から、これから始まる高校生活への期待と決意が感じられ、頼もしい限りです。ようこそ、高千穂高校へ。在校生、職員一同、皆さんを心から歓迎します。

 本校は、大正6年に西臼杵郡立農学校として創立され、今年で創立107年目を迎える県内屈指の伝統校です。これまでの卒業生は2万3千人超を数え、高千穂高校らしさは、時代とともに少しずつ変化しながら長きにわたり脈々と受け継がれてきました。

 2020年、新型コロナウイルスが世界中を席巻し、社会全体の生活や行動が突如、様々な制限を受けるようになりました。それは歴史と伝統を大事に守ってきた高千穂高校にあっても同様でしたが、環境の厳しさを豊かさに変えてきたこの地の先人たちのDNAを受け継ぐ令和の高千穂高校生達は、それにひるむことなく知恵を出し合い工夫をし、人と人との繋がりを大事にしながら新たな歴史を創り出しました。

 新入生の皆さん、皆さんが入学したこの高千穂高校は、みなさんのお父さんお母さんはもちろん、おじいさん、おばあさん、ひいおじいさんやひいおばあさんやそのまたご両親の時代から続く歴史と伝統を大切に守りながら、生徒達が自分たちのアイデアや工夫で新しいもの創リ出せる「令和の高千穂高校」です。

 生徒会を中心とする服装容儀規定の見直し。思い出を写真に残したいとの生徒の声に応え生徒会が生徒総会を開いて全校生徒で協議し自分たちで規則を定めて可能にした学校行事でのスマートフォン使用。購買部がない不便さを、課題研究のテーマにし、地元のパン屋さん・唐揚げ屋さんにご協力いただき、交渉して昼休みに学校に来てもらっての校内マルシェ。全校生徒による剣道部の全国大会出場応援。どれも、後ろに座っている2·3年生を含む令和の高千穂高校生が自分たちで方法を考えルールを決め、自由な発想で創り上げていったものです。 

 建築家の青木淳氏が著書「原っぱと遊園地」の中で、建築の考え方を大きく2つに分けて「原っぱ」と「遊園地」に喩えています。「遊園地」は、訪れる者にとって至れり尽くせりの環境ではあるが、始めに想定された楽しみ以上のものを得ることはできない。一方、「原っぱ」は、そこに集まってきた人たちによって楽しみが編み出され、自分たちで遊びやルールを決めていく。「原っぱ」にはそこで何かを創り上げていく楽しみが無限にある、と。

 令和の高千穂高校がみなさんにとって、夢と目標に向かって学ぶところであると同時に、みなさんの「原っぱ」となることを願っています。

 本日、新入生の皆さんは同じスタートラインに立っています。高千穂高校は皆さんが志をもって挑戦しようとすれば、その気持ちに十分に応えられる様々な機会が準備されています。すぐそばで必要な時にサポートをしてくれる先生方が待っています。自ら積極的に手を上げ、与えられた機会を前向きにとらえ、自分の掲げた目標に向かって、高千穂高校という「原っぱ」を存分に楽しみ、目一杯、活かしてください。あなたの可能性を最大限に伸ばし、あなたが将来果たすべき自分の一生涯の使命をみつけられる充実した3年間になることを心から願っています。

 最後に高いところからですが、保護者の皆様に申し上げます。皆様のかけがえのないお子様を、本日より確かにお預かりしました。私ども職員一同、愛情を持って誠心誠意、お子様の成長と充実した学校生活のために力を尽くす所存でございます。これからの3年間で、地域で社会で活躍できる信頼される大人へと成長させるために、保護者の皆様と教職員が、子どもの成長のために心を一つにすることが、何よりも大切であると考えております。本校の教育方針を御理解いただき、御協力、御支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 それでは、希望に燃え、意欲にあふれた新入生の皆さん。皆さんを心から歓迎し、皆さんの大いなる活躍と、誇り高き本校の伝統に自由で新しい輝きを加えてくれることを心より祈念して、式辞といたします。


令和6年4月10日
宮崎県立高千穂高等学校
校長 長友美紀

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