日誌

延岡高校SSH MS科1年生 「探究すること」 講話

 4月22日(月)に、延岡高校 メディカルサイエンス科1年生(2クラス、82人)「探究するということ」 というテーマで講話をしました。

 

   講話の最後に、「大学では何を学ぶのか(高校生の君たちへ)」と題したレポートを配付しました。

 

〇大学生になったら、どんな生活をするのでしょうか?

高校生の今、想像してみたことはありますか?

親元を離れて一人暮らしをして、今まで会ったことのないような友達と語り合ったり、見たこともないようなお店や街に出かけたり・・・と、自由で楽しい生活が待っていると、胸躍らせていることでしょう。

 

〇大学生のことを「学生」と言いますよね。高校生までは「生徒」と呼ばれていました。

学生と生徒とは、どう違うのでしょうか。

生徒とは教えを受けて実行する人で、学生とは自立的・主体的に学ぶ人なんだそうです。

つまり、大学生になったら、先生から教えられる存在から、自ら何かを学ぶという姿勢に変わらなければならないということですね。とても大きな変化が待っています!

 

〇大学入試が変わり始めましたよね。

実は、大学入試よりももっと大きく変わるのが大学での教育と言われています。

皆さんが大学生になった時は、今までとは大きく違った大学教育になっているのです。

それは「学生」の意味をさらに深化させて、「主体的に、答えのない問題に答えを見出す」ことに主眼が置かれた教育になっているはずです。

 

〇今までのように、先生が教えてくれることを覚えたり学んだりするだけでは済まなくなります。テストも、暗記した知識を問うだけのものではなくなりますし、体験や対話を通して自分の意見が言えることが求められるようになります。

でも、「自分で考える」力を身に付けるには、大学生になってからでは遅すぎます。

 

〇最近は、SNSが普及して、本や新聞という「活字」をあまり読まない人が多くなりました。大学生でも本を読む人が少なくなっているそうです。

読書は、生きる力や生きる楽しみを見つけるには、間違いなく大きな力になります。

大学生になったら「是非、読書する楽しみ」を覚えてほしいと思うのです。

 

〇藤原正彦さんは、「国家の品格」というベストセラーの著者としても有名な方です。

専門は数学者ですが、歴史や文学などにも深い教養をお持ちです。

その藤原さんが、お茶の水女子大学で学生たちと一緒に続けられた読書ゼミの様子を書かれたのがこの「名著講義」(文春文庫)です。

学生たちに本の読み方を語られています。

これらの本を読んだ学生たちが劇的に変わっていく姿が、いきいきと描かれています。

 

〇この中で紹介されている本は次の11冊です。

 「武士道」                    (新渡戸稲造)

 「余は如何にして基督信徒となりし乎」  (内村鑑三)

 「学問のすすめ」                (福沢諭吉)

 「新版 きけわだつみのこえ」        (日本戦没学生記念会 編)

 「逝きし世の面影」                   (渡辺京二)

 「武家の女性」                      (山川菊栄)

 「代表的日本人」                    (内村鑑三)

 「山びこ学校」                       (無着成恭 編)

 「忘れられた日本人」                 (宮本常一)

 「東京に暮らす」                     (キャサリン・サンソム)

 「福翁自伝」                         (福沢諭吉)

 

〇タイトルを見ただけで、とてもカタくて難しそう、と思いましたか。

確かに、社会や国語の教科書に出てくるような本ばかりですね。

でも、この「名著講義」は、実際の読書ゼミでの授業を、そのまま再録した構成になっています。だから、藤原先生と学生たちとのやりとりが、会話の形で書かれています。

とても読みやすいのです。是非、手に取って読んでみて下さい。

 

〇この11冊の本を読むのは大変ですが、「名著講義」1冊であれば大丈夫です。

是非読んでみて下さい。

大学生になってからでは、遅過ぎるのです。

高校生の今こそ、読書の楽しさを覚えるキッカケをつくるチャンスです。

 それは、将来まちがいなく、あなたの力になることと信じます。

 文春文庫 2012.5.10刊 /初出は2009.12刊行

                 (文春文庫 2012.5.10刊 /初出は2009.12刊行)

                                                                                                                     (トータルコーディネーター  水永)