【校長室】最終章

 校長としての一年間が過ぎた。2学期くらいからであろうか、校長としての日常にも慣れ、落ち着いて職務を果たす日が続いた。立場上様々な人との出会いがあり、挨拶を交わす機会も増えた。年度初めにコロナ感染症が五類に移行し、徐々にマスクを外す人が目立ちはじめた。人間の脳は優れており、目元だけで、マスクの下に隠れている鼻や口の形等を想像し、勝手に相手の顔立ちを作り上げてしまう。その結果、マスクを取ると別人と判断してしまうことも多々あり、地域で会っても素通りしてしまうことも少なからずあった。そのため、およそ2倍の人を覚える必要があり、正直苦労した。さすがに最近では、顔も名前もずいぶん覚えることができ、当たり前のように日常会話をすることができるようになった。

 さて、卒業式、異動内示、県立高校入試合格発表、修了式、校内人事、離任式等々、この年度末は予想以上の慌ただしい日々が続き、気持ちの整理がつかぬまま、令和6年度を迎えた。8名の教職員をお送りし、新たに7名の方々をお迎えした。全国的な少子高齢化減少は、この高千穂町にも大きな影響を与え、生徒数の減少や私立中学校への転出のあおりを受け、学級数は変わらないものの、教職員数は令和5年度より減ってしまい、先生方は負担増となってしまった。私は今年度で役職定年となる。人生の節目、セカンドライフをどう楽しむか。やりたいことがあり、夢を描くだけでワクワクするが、まずは最終年度、校長としての責任を果たすべく、教職員一同、現実を真摯に受け止め、気持ちを切り替えて、みんなで力を合わせて学校運営に取り組んでいきたい。幸運にも、本町の小中学校6校の校長先生方は全員留任である。心強い同士とともに令和6年度を乗り切っていく所存である。

第31代校長 金丸智弘