【校長室】COMPETITION

 第75回西臼杵地区中学校総合体育大会が終了し、団体競技7つの優勝を筆頭に、例年以上のすばらしい結果を残した。本地区の中学校数は5校。都市部のように県大会への出場権を得るまでの試合数はさほど多くはなく、むしろ、比較的楽に感じられるかもしれない。しかし、出場する選手にとって、試合数はあまり関係ないようである。大会当日に最高の結果が出るよう調整をしても、所詮は中学生。上手くいかないことが多い。その不調を補う時間はなく、試合本番中に何らかの手立てを打たねばならないし、それが成功しなければ、「敗北」という結果が待ち受けている。特に、一発決勝の競技において、勝利と敗北の割合は五分と五分。勝ちやすさは負けやすさでもある。本地区の生徒はそれを知っている。だから、前評判で不利な場合は、態度面(声出しや元気さ等)にも全力を注ぐ。技術的に有利なチームは、勝って当たり前というプレッシャーに潰されそうになることもよく目にする。そもそも、中体連の大会は、「学校生活の延長」とされ、決められたルールの中で節度と気遣いのある行動ができるようになるための「教育の場」である。「勝負の世界は厳しいからこそ、心身ともに成長させる」ことができるし、「教育的配慮によって成長を促す」こともできる。中体連の大会はどちらの対応でも生徒にとっては、成長できる最高の機会であることに間違いない。「勝つこと」は、多くの生徒にとって目標の一つで、優勝した生徒や県大会出場を決めた生徒には、心から「おめでとう」と言ってあげたい。本気で練習に打ち込み、厳しい練習を乗り越えて勝つことができた生徒にとっては忘れられない大会の一つになったはずである。個人差はあると思うが、その成果を出すことができた大会は心にしっかりと刻まれるもの。それは応援してくれた保護者も指導者も同じである。そういう私も、およそ10年前まで部活動指導に勤しんでいた。受け持った部が優勝した時のことを思うと言葉で表現することができないくらいの感情がよみがえる。と同時によもやの敗北も苦い思い出として、心に焼き付いている。ある陸上競技大会でも同様の光景を目の当たりにした。当日棄権者が出たため、その種目は予選なしの一発決勝に変更。優勝を期待された選手はまさかの失格。本来ならば標準記録を突破するほどの実力者。予選があれば、そのタイムでも県大会出場は間違いなかったとのこと。自身も周囲も勝利を信じて、これから長い夏が続くだろうと全国まで視野に入れていたレース。強豪校の選手である。その後の心のケアを考えると胸が痛む。これまで、数々のレースで優勝していたかもしれないが、この時は、「敗北」という2文字を結果として与えられた。厳しいが、これが勝負の世界の現実である。「勝利」という最高の喜びの陰には、それと同じ、いやそれ以上の「敗北」という悔しさがある。それを忘れてはいけない。同情するとかではない。そういうことを考えられる生徒になってほしい。そういう気持ちがさらに人としての成長に繋がるものだと私は思う。

 7月6日(土)から始まる県中学校総合体育大会。今年度は分散開催で、本校生徒が出場する競技は、7月26日(金)まで続く。長丁場であるが、可能な限り足を運んで応援したい。本校の生徒が参加する競技が多いということは、校長として誇らしいことであり、とても楽しみである。これからの試合における結果一つ一つが中学校部活動の一区切りとなる。さらに続くか、終わるか。中学生が本気で取り組んできたからこそ得られた様々な思いは、かけがえのないもので、その時の涙の価値は何事にも変えられない財産である。このような経験を大切にしながら、さらに成長してほしいと願う。