SSH トピックス
SSH沖縄研修実施報告
12月17日から19日の2泊3日で本校理数科2年生8名(希望者)が参加し、これまで取り組んできた科学的探究活動をさらに深化させることを目的として、沖縄県内の高等学校および沖縄科学技術大学院大学(OIST)と連携した研修・交流事業を実施しました。本研修では、研究発表や意見交換を通して多様な視点・視座を獲得し、今後の探究活動の精度向上や学習意欲の向上を図りました。
【1日目】12月17日(水)
会場:沖縄県立球陽高等学校
初日は、開会行事およびアイスブレイクから始まり、生徒同士が互いの緊張をほぐしながら交流を深めました。
開会行事・アイスブレイク
生徒相互発表(英語によるポスター発表)
各校の生徒が、日頃の探究活動の成果を英語でポスター発表しました。質疑応答では、研究内容の妥当性や今後の発展性について活発な意見交換が行われ、研究を多角的に捉える力を養う機会となりました。
生徒間交流会・校内探究活動見学
球陽高校の探究活動の取組を見学しながら、研究テーマや手法、学校での学びについて意見交換を行いました。
宿泊は球陽高校内セミナーハウスを利用し、学校の枠を越えた交流が行われました。
【2日目】12月18日(木)
会場:沖縄科学技術大学院大学(OIST)
2日目は、世界最先端の研究が行われているOISTを訪問しました。
開会行事・OIST紹介
キャリアトーク
グローバルな研究機関で働く意義や、多様な進路・キャリアの可能性についてお話を伺い、生徒にとって将来を具体的に考える契機となりました。
キャンパスツアー
研究施設や国際色豊かな学習環境を見学し、研究者の働く姿を間近で感じることができました。また、実際の研究現場を見学し、探究活動と大学・大学院での研究とのつながりを実感する時間となりました。
生徒研究発表・質疑応答
本校生徒が、自身の探究テーマについて英語で発表し、OIST関係者に多くの助言をいただきました。オールイングリッシュで3ターム行われ、生徒たちは緊張で序盤ぎこちない雰囲気がありましたが、最後は堂々と英語で質疑応答までこなしていました。
【3日目】12月19日(金)
会場:沖縄県立向陽高等学校
最終日は、これまでの研修の成果を共有し合う場として、生徒主体の交流活動を行いました。
開会行事・アイスブレイク
生徒相互発表(ポスター発表)
球陽高校とOISTの2日間でいただいたアドバイスをもとに堂々と研究発表をする様子がありました。向陽高校の発表では1年生のアイディアや熱意に驚きながら自分たちの研究に対して更なる意欲が喚起されました。
生徒間交流会
研究内容だけでなく、宮﨑や沖縄両県の課題や進路観、将来の目標についても語り合い、互いに刺激を受ける機会となりました。
閉会行事・記念撮影
研修を終えて
本研修を通して、生徒は自らの研究を外部に発信し、専門的な視点から助言を受けることで、探究活動を客観的に見直す力を身に付けました。また、国際的な研究機関や他校生徒との交流を通して、将来の進路や社会との関わりについて主体的に考える貴重な機会となりました。今後もSSH事業の一環として、このような実践的・発展的な学びの場を大切にしていきます。
東大ラボツアー報告
12月11日~12日にかけて東京大学 柏キャンパスに「東大ラボツアー」の名の下、泉ヶ丘の 1年生 20名が行ってきました。今回のツアーは、生徒たちが最先端の研究に触れることで「もっと知りたい!」という探究心を育てること、そして困難に粘り強く挑戦するレジリエンスを身につけることを目的に行いました。大学進学をゴールではなく通過点と捉え、学び続けた成果を社会に還元していく意欲を育むことも大きな狙いです。とにかく「ワクワク」が止まらない知的探究のツアーになりました。
【1日目】
まずは東京大学の先生方による特別講義を受けました。
講義1「ナノ世界を可視化する放射線科学」雨宮慶幸 名誉教授
放射光の仕組みやノーベル賞研究の紹介を通じて、宇宙の研究と素粒子の研究がつながる壮大なスケールを学びました。先生からは「知的好奇心を満たしてほしい」「心を磨き、自分の良さを生かしてほしい」という熱いメッセージもいただき、生徒たちは大きな刺激を受けました。
講義2「脳のシミュレーション ~人間のように考える人工知能を目指して~」小林亮太 准教授
中学校で習う数学を使った機械学習の基礎から、脳を数理モデル化する研究までをわかりやすく解説していただきました。講義後には「AIじゃんけんマシン」に挑戦するゲームもあり、会場は大盛り上がり! 生徒たちは楽しみながらAIの仕組みを体験的に理解しました。最後には泉ヶ丘高校の校歌を披露し、先生方から「まっすぐな歌声に元気をもらった」とのお言葉をいただきました。
座談会 脇参議院議員、雨宮名誉教授、迫園在京義友会会長
雨宮教授にもお越しいただき、本校OBである脇参議院議員に、都城・宮崎・日本のこれからについて広い視野から語ってもらいました。迫園氏からは、宮崎の偉人であるビタミンの父・高木兼寛の話を伺いました。
【2日目】
翌日は研究所を巡るツアーと体験型ワークショップが行われました。
午前中は、原子や分子レベルで物質の性質を探る物性研究所を見学しました。
①低温液化室ではMRIやリニアモーターカーに使われる超伝導現象など、身近な技術と最先端研究のつながりを学びました。また、液体ヘリウムや液体窒素の管理を見学し、資源を再利用する重要性を理解しました。
②国際超強磁場科学研究施設では世界最高レベルの磁場を作り出す装置を見学。強磁場によって物質に新しい状態が生まれることを知り、極限環境での研究に驚きました。
③極限コヒーレント光科学研究センターでは「太陽より強い光」を作り出す超短パルスレーザーの技術を紹介していただきました。電子の動きを観測する最先端研究に触れ、高校で学ぶ物理や化学が未来につながることを実感しました。
午後は、宇宙線研究所でワークショップ。「重力波望遠鏡を組み立て、音楽を聴こう!」というユニークな体験をしました。光の干渉を使って鏡の振動を音楽に変えるデモを通じて、重力波観測の仕組みを楽しく理解。さらに、宇宙線研究所が世界で唯一「重力波・光・粒子」など複数の方法で宇宙の謎に挑んでいることを学びました。2016年の重力波初検出が新しい宇宙の扉を開いたことや、暗黒物質などの最先端テーマについても理解を深めました。
成果と今後の展望
このツアーを通じて、生徒たちは「自分の探究活動が大学や社会につながっている」という実感を得ました。雨宮先生の「知的好奇心を大切に」という言葉や、研究現場で目にした極限技術(絶対零度、超強磁場、超短パルスレーザー、重力波観測)は、生徒たちの視野を大きく広げました。今回の経験は、困難に挑む力を育てるだけでなく、「学び続け、社会に貢献する意欲」を形にしていく大きな一歩となったことでしょう。今後も学校での探究活動にこの体験を活かし、生徒一人ひとりが未来に向けて成長していくことを期待します。
フィールドワーク(企業見学)に行って参りました!
本日は、1年理数科のフィールドワーク(企業見学)を実施しました。天候にも恵まれ、絶好のフィールドワーク日和となりました。
1社目はヤマエ食品工業株式会社様です。
ヤマエ食品様では、都城に根差した食品製造企業としての取り組みについてご説明いただきました。店頭向けの商品だけでなく、業務用として大規模に出荷される商品も多く、地域で培われた技術が幅広い分野で活かされていることを学びました。また、研究室に入り、商品開発や品質管理に関わる取り組みを間近で見学することができました。年間およそ100アイテムにも及ぶ商品を生み出す発想力や、その背景にある試行錯誤に触れ、生徒たちは「探究活動にも活かせるのではないか」と意欲を高めていました。地域に根差しながら世界各国へ商品を展開する企業の姿に、刺激とともに大きな感動を覚える見学となりました。
2社目は霧島ホールディングス株式会社様です。
霧島ホールディングス様では、地元経済を支える焼酎づくりについて、微生物による発酵と蒸留の工程を通して学びました。発酵と腐敗の違いについての説明を受け、科学的管理のもとで発酵を進めることで、地域の産業や経済を支える焼酎が生み出されていることに、実験の正確性再認識したのではないでしょうか。
こちらでも研究室の見学を行い、普段は見ることのできない研究の現場に触れることで、生徒たちの知的好奇心が大いに刺激されました。麹を実際に食べる体験も行い、知識としてだけでなく、体験を伴って焼酎づくりを学ぶことができました。
地域貢献に重きを置き研究とものづくりを続ける企業の姿に、生徒たちは強い憧れと感動を抱いていました。
3社目は高千穂シラス株式会社様です。
高千穂シラス様では、現地の地層を前にシラスの成り立ちについて解説を受け、身近な資材に長い地質学的歴史があることに、生徒たちは驚きと関心を示しました。
続く掘削現場、乾燥工程、粒度選別工程の見学では、大規模な動力を必要としない掘削や天日乾燥など、環境への負荷が小さい生産方法を実感しました。さらに、農家の閑散期に作業を委ねて地域雇用を生む仕組みについて学び、地場産業の循環性への理解を深めました。
大学の先生による映像解説や企業のご説明で知識を補いながら、実験による消臭効果の確認や壁材加工の体験も行い、シラスを多方面から体感することができました。来年度のSSRでは、シラスを研究テーマにしたいという声も複数上がっており、今後、高校生ならではの視点を生かした興味深い研究へと発展していくことが期待されます。
今回のフィールドワークでは、三社の皆さまに大変丁寧なご対応と貴重な学びの機会を提供していただきました。生徒たちにとって、地域の産業や技術を深く知るたいへん有意義な時間となりました。
ヤマエ食品工業株式会社様、霧島ホールディングス株式会社様、高千穂シラス株式会社様、本当にありがとうございました。
SSH通信 第17号 発行
ダウンロードはこちら 17_都城泉ヶ丘SSH通信071210 .pdf
SRMミニ探究発表会が開催されました
本校では、11月20日(木)6・7限に、理数科1年生を対象とした「令和7年度ミニ探究発表会」を開催しました。本発表会は、学校設定科目(SRM)の一環として取り組んできたミニ探究の成果を共有し、次年度から本格的に始まる「スーパーサイエンスリサーチ(SSR)」への導入となる重要な行事です。また、ポスター発表という形式を通して、生徒一人ひとりの発表力・表現力の向上を目指しています。
【発表会の概要】
日時:令和7年11月20日(木) 6・7限
場所:宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校 大会議室
対象:理数科1年生 82名(16グループ)
※中学生(2・3年生)もオブザーバーとして参加しました。
分野:物理・化学・数学・生物(各4班)
発表形式:ポスター発表(8分発表+2分質疑)
生徒たちは、設定されたテーマについて、調査・実験・分析を行い、その成果をポスターとしてまとめました。当日は多くの班が視覚的に工夫された資料を用意し、審査員や聞き手からの問いにも自分の言葉で丁寧に答える姿が見られました。
発表は4分野が同時進行で行われ、A〜Dの班に分かれて時間をずらしながら発表を実施しました。各回の間には質疑応答や評価、移動時間を確保し、スムーズに進行しました。生徒は発表者としてだけでなく、聞き手としても積極的に質問を行い、互いの研究内容を理解し合う貴重な機会となりました。
大会議室にはパネルを活用してポスターが掲示され、研究発表会さながらの雰囲気が作られました。発表を聞きながら評価用紙に記入し、終了後に form を用いて入力するなど、ICTを活用した評価方法も取り入れています。
今回のミニ探究発表会は、1年生にとって「問いを立て、調べ、まとめ、伝える」探究活動の第一歩となる大変有意義な時間となりました。今後、SSRでさらに深まる探究活動に向けて、今回の経験を生かしてほしいと思います。
今後も、本校では主体的に学ぶ生徒の育成に力を入れてまいります。
科学の甲子園宮崎県予選に出場しました
11月9日、都城泉ヶ丘高校から5チーム31人が「科学の甲子園宮崎県予選」に出場しました。理数科だけでなく、学年・クラスを越えて理科・数学好きの生徒が集まり、全国大会出場をめざして挑戦しました。
科学の甲子園は、物理・化学・生物・地学・数学・情報の6分野について、筆記競技と実技競技の総合得点を競う大会です。筆記競技は「一人でじっくり解いてもよし、6人全員で相談しながら解いてもよし」というルールで、個々の力とチームワークの両方が問われるところが大きな魅力です。
実技競技は、約1か月前に競技内容が提示されます。今年度は
① 手の感触だけで内容(カプセルの色・場所)を仲間に正確に伝える
② 注射器の空気圧を利用したマジックハンドを作成する
という2つの課題がポイントでした。生徒たちは1か月間、放課後や朝課外を使って、試作品づくりや記録の取り方の工夫など、試行錯誤を重ねてきました。
本校からは5チーム31人がエントリーし、1学期から校内選考会を繰り返しながらメンバーや役割を決定しました。その後も、筆記の演習や実技の練習を重ねる中で、問題の解き方だけでなく、「どう伝えれば仲間に分かりやすいか」「どう役割分担すれば一番力を出し切れるか」といった、チームとしての戦略も磨いていきました。
大会当日、生徒たちは緊張の面持ちで競技に臨みました。筆記競技を終えると、いよいよ実技競技。限られた時間の中での作業に、時間が足りなくなりそうな班もありましたが、工夫を重ねて着実に加点を積み重ね、満点を獲得した班も生まれました。
午後からは、全チームが一堂に会して参加するマニュファクチャリング競技「駆け抜けろ!ペーパーバランス対決」が行われました。紙を用いた装置で距離を競う競技で、午前中とは異なり、他校・他チームの様子を全員で参観できる形式でした。記録が伸びそうなときには自然と大きな拍手や歓声が起こり、全員で距離をカウントしながら、会場全体が大いに盛り上がりました。
結果として、本校Bチームが3位入賞となり、惜しくも全国大会への出場はかないませんでした。全国出場を目標に、1学期から真剣に取り組んできただけに、競技後の生徒たちの表情には悔しさもにじんでいました。しかし同時に、「来年こそは全国への切符をつかみたい」という前向きな思いも強く芽生えています。
年々参加者も増え、盛り上がりを見せている都城泉ヶ丘高校の科学の甲子園チーム。今回得た経験と悔しさを力に変え、次年度以降も「6人で考える科学の面白さ」に挑み続けます。
SSH通信 第16号 発行
ダウンロードはこちら 16_都城泉ヶ丘SSH通信071110 .pdf
理数科講演会+サイエンスカフェ開催(10/17)
10月17日(金)に九州大学 理学研究院の教授で、国際宇宙惑星環境研究センターのセンター長をされている吉川顕正先生をお招きして、「宇宙に於ける爆発現象と宇宙天気科学の発展」という演題もとで講演会を行いました。
講演では、太陽フレアの仕組みやそれが地球のオーロラ現象とどのように関わっているか、さらに太陽の質量や黒点のでき方など、私たちの身近な太陽の中に秘められたダイナミックな現象について、わかりやすくお話しいただきました。
中でも印象的だったのは、「放射層から放たれた光が光球に届くまでに数万年もの時間がかかる」というお話でした。太陽の内部で生まれた光が、長い時間をかけて外へとたどり着き、そしてわずか8分で地球へ届く。そのスケールの大きさに、生徒たちは驚きと感動の表情を浮かべていました。今回の講演は、生徒たちが科学の奥深さと未知の世界への好奇心を改めて実感する貴重な機会となってと思います。
また、講演会のあとには「サイエンスカフェ」を実施しました。サイエンスカフェには、男女半数ずつの約20名が参加し、最初は緊張した様子も見られましたが、「せっかくの機会だから聞いてみたい!」という生徒たちの熱意が伝わってくる時間となりました。
生徒からの質問は、講演で抱いた疑問にとどまらず、「農学部や工学部と理学部の違いは何ですか」「理学部では具体的にどのようなことを学ぶのですか」「そもそも“学ぶ”ってどういうことだと思いますか」「研究していて、いちばんやりがいを感じる瞬間はいつですか」「研究を続けるうえで大変なことは何ですか」など、学部選びや学問そのものの意味を問い直すようなものが多く見られました。多くの生徒が、他の生徒の質問にも大きくうなずきながら、真剣な表情で聞き入っていたのが印象的でした。
また、中には自分たちが現在取り組んでいる研究についてアドバイスを求める生徒もおり、先生もそれぞれの質問に対して、専門的な内容もかみくだきながら、時にはご自身の高校時代や研究活動のエピソードも交えて丁寧に答えてくださいました。質問が途切れることはなく、サイエンスカフェは最終的に約2時間にわたって続きました。終了後、先生からも「高校生とここまでじっくり話すことができて、とても楽しかった」との感想もいただき、生徒にとっても、研究者の生の声に触れ、自分の進路や学び方を見つめ直す貴重な機会となりました。
普段の学校生活の中では、なかなか身近に感じにくい「理学部」という進路や、「研究する」「学ぶ」という行為そのものについて、今回のサイエンスカフェを通して少し距離が縮まったのではないかと思います。この体験をきっかけに、理系・文系にとらわれず、大学での学びや研究の世界に興味を持ち、自分の将来について考えを深めていってくれればうれしく思います。
SSH通信 第15号 発行
第14号も、こちらの不手際で掲載できていませんでしたので、併せて掲載いたします。
ダウンロードはこちら 15_都城泉ヶ丘SSH通信071010 .pdf
ダウンロードはこちら 14_都城泉ヶ丘SSH通信070910 .pdf
SSH発表会 泉ヶ丘「探究の日」(10/1)
10月1日(水)、学校全体が探究に染まる「SSH発表会」が開催されました。SSH指定校になり2年目を迎え、1期生の高校2年生、2期生の1年生が、現在取り組んでいる活動について、発表や審査を行う場となりました。また、附属中学校も同時に発表会を行うことで、本校SSH事業における新たな行事として、発展させていきたいと思います。
SSR中間発表会(理数科2年生)
理数科2年生は、週3時間の学校設定科目「SSR(スーパー・サイエンス・リサーチ)」の研究成果を発表しました。81名の生徒が、物理、化学、生物、地学、数学、情報の6分野に分かれ、自ら決めたテーマについて研究してきました。多くの実験を繰り返し、失敗してはまた繰り返し、の連続で、まだまだ途中段階ではありますが、現時点での成果を、自身の言葉で発表しました。参観者は高校1年生。市内の中学校から入学してきた生徒達が、泉ヶ丘の科学研究に触れる機会となりました。「全部、見た~い!」と言いながら、ポスター見学の時間に自分の興味のある6つのポスターを決め、ポスターセッションに参加しました。専門性の高い研究内容、洗練されたポスター、何よりハキハキと発表し、質疑応答もこなす先輩の姿を見て、1年後の自分たちをイメージしたことでしょう。現在高校1年生は、週4時間の学校設定科目「SRM(サイエンス・リサーチ・メソッド)」で、物理・化学・生物・数学に分かれてミニ探究を始めました。ミニ探究は短期間で研究→ポスター・論文作成→発表までを行い、一通りの研究の流れを学ぶプログラムです。今回のポスターセッションに参加した彼らが、どんなポスターを作り、どんな発表をするのかが楽しみです!
郷土探究中間発表会①(普通科2年)
普通科2年生は、週2時間の「理数探究(通称:郷土探究)」の中間発表を行いました。地域課題解決型の人文探究です。都城市のバックアップを受けながら、例年よりもデータや統計に力点を置いた探究活動を行っています。「JR吉都線利用促進」「人口増加に向けて」「国スポ・障スポ」「国際交流」「中心市街地活性化」「歴史資料活用」「地域医療体制」「教員不足解消」の8分野に分かれ、それぞれの探究の途中経過を、スライドにて発表しました。聞き手は都城市役所の方々。各分野に関わる部署の方にご来校いただき、探究の進捗と今後の流れについて、有意義なアドバイスを受ける時間でもあります。今後の探究が深まるよう、期待しています。都城市役所の皆様、JRの方々、ご協力ありがとうございました。
パスタブリッジ審査会(普通科1年)
普通科1年生は、週2時間の「理数探究基礎(通称:りすたん)」の1単元、「マニュファクチャリング」で研究、制作した「パスタブリッジ」の審査会を行いました。パスタブリッジとは、決められた本数のパスタと材料(グルーガン等)を用い、より強度の強い橋を作るというもの。例年は1回しか審査会を行わず(行えず、壊れますから)単元終了となりましたが、本校SSHは「レジリエンス(折れない心、立ち上がる姿勢)」を掲げています。一度試技を行い、さらに改善を加えての本日の審査会では、各班ともより研究が深まり、試技の記録を上回りました。審査会では、ペットボトル(重り)何本まで耐えられるか、という競技だけではなく、トラス構造やハニカム構造等、「どのような構造が強いのか」という仮説、そして「なぜこのような橋を作ったのか」「どういう工夫を加えたのか」というスライド発表も行います。「ものづくり」にとどまらない、原理の理解も大きな学びに繋がると期待しています。最高記録はペットボトル11本(約5.5㎏)でした。
自然科学探究(附属中学校3年)
附属中3年生は、週2単位の「総合的な学習の時間」内、自然科学探究(通称:SKT)の研究成果を発表しました。附属中学校では1年次から科学系探究活動を行います。1人1研究です。今回は、2年生から継続して、自身の興味関心のある事柄、事象について、各自が研究を行ってきた成果を発表する機会でした。最終的には論文にまとめるものですが、今回初めてこの時期に、高校生とともに発表会に参加しました。ポスター形式も高校生のものと見紛うほどの立派なものを制作していましたよ。聞き手は附属中1年生と2年生、未来の自分もここに立ち、堂々と発表する姿がイメージできたことでしょう。加えて、高校理数科1年生、附属中学から上がってきた直属の先輩も、アドバイザーとして参加してくれました。先輩がいる緊張感の中、しっかりとした口調、身振り手振りで、自身の研究を相手に届けたい、伝えたいという、思いの溢れた素晴らしい発表でした。先輩からのアドバイスや指摘を受けた経験が、高校でのSSRに繋がっていきます。SSHプログラムでは、こうした「縦の繋がり」も大事にしていきます。
次年度は、全校生徒がSSHプログラムを受けた生徒達になります。高校3年生は、代表班による最終発表を全校生徒の前で行う予定です(プレゼン発表)。高校3年生の質の高い発表を聞いた上で、今年度同様、各分野に分かれての発表会・審査会を企画しています。本校の探究・研究がさらに進化できるよう、プログラム開発を行っていきます。