SSH トピックス
SRMミニ探究発表会が開催されました
本校では、11月20日(木)6・7限に、理数科1年生を対象とした「令和7年度ミニ探究発表会」を開催しました。本発表会は、学校設定科目(SRM)の一環として取り組んできたミニ探究の成果を共有し、次年度から本格的に始まる「スーパーサイエンスリサーチ(SSR)」への導入となる重要な行事です。また、ポスター発表という形式を通して、生徒一人ひとりの発表力・表現力の向上を目指しています。
【発表会の概要】
日時:令和7年11月20日(木) 6・7限
場所:宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校 大会議室
対象:理数科1年生 82名(16グループ)
※中学生(2・3年生)もオブザーバーとして参加しました。
分野:物理・化学・数学・生物(各4班)
発表形式:ポスター発表(8分発表+2分質疑)
生徒たちは、設定されたテーマについて、調査・実験・分析を行い、その成果をポスターとしてまとめました。当日は多くの班が視覚的に工夫された資料を用意し、審査員や聞き手からの問いにも自分の言葉で丁寧に答える姿が見られました。
発表は4分野が同時進行で行われ、A〜Dの班に分かれて時間をずらしながら発表を実施しました。各回の間には質疑応答や評価、移動時間を確保し、スムーズに進行しました。生徒は発表者としてだけでなく、聞き手としても積極的に質問を行い、互いの研究内容を理解し合う貴重な機会となりました。
大会議室にはパネルを活用してポスターが掲示され、研究発表会さながらの雰囲気が作られました。発表を聞きながら評価用紙に記入し、終了後に foam を用いて入力するなど、ICTを活用した評価方法も取り入れています。
今回のミニ探究発表会は、1年生にとって「問いを立て、調べ、まとめ、伝える」探究活動の第一歩となる大変有意義な時間となりました。今後、SSRでさらに深まる探究活動に向けて、今回の経験を生かしてほしいと思います。
今後も、本校では主体的に学ぶ生徒の育成に力を入れてまいります。
科学の甲子園宮崎県予選に出場しました
11月9日、都城泉ヶ丘高校から5チーム31人が「科学の甲子園宮崎県予選」に出場しました。理数科だけでなく、学年・クラスを越えて理科・数学好きの生徒が集まり、全国大会出場をめざして挑戦しました。
科学の甲子園は、物理・化学・生物・地学・数学・情報の6分野について、筆記競技と実技競技の総合得点を競う大会です。筆記競技は「一人でじっくり解いてもよし、6人全員で相談しながら解いてもよし」というルールで、個々の力とチームワークの両方が問われるところが大きな魅力です。
実技競技は、約1か月前に競技内容が提示されます。今年度は
① 手の感触だけで内容(カプセルの色・場所)を仲間に正確に伝える
② 注射器の空気圧を利用したマジックハンドを作成する
という2つの課題がポイントでした。生徒たちは1か月間、放課後や朝課外を使って、試作品づくりや記録の取り方の工夫など、試行錯誤を重ねてきました。
本校からは5チーム31人がエントリーし、1学期から校内選考会を繰り返しながらメンバーや役割を決定しました。その後も、筆記の演習や実技の練習を重ねる中で、問題の解き方だけでなく、「どう伝えれば仲間に分かりやすいか」「どう役割分担すれば一番力を出し切れるか」といった、チームとしての戦略も磨いていきました。
大会当日、生徒たちは緊張の面持ちで競技に臨みました。筆記競技を終えると、いよいよ実技競技。限られた時間の中での作業に、時間が足りなくなりそうな班もありましたが、工夫を重ねて着実に加点を積み重ね、満点を獲得した班も生まれました。
午後からは、全チームが一堂に会して参加するマニュファクチャリング競技「駆け抜けろ!ペーパーバランス対決」が行われました。紙を用いた装置で距離を競う競技で、午前中とは異なり、他校・他チームの様子を全員で参観できる形式でした。記録が伸びそうなときには自然と大きな拍手や歓声が起こり、全員で距離をカウントしながら、会場全体が大いに盛り上がりました。
結果として、本校Bチームが3位入賞となり、惜しくも全国大会への出場はかないませんでした。全国出場を目標に、1学期から真剣に取り組んできただけに、競技後の生徒たちの表情には悔しさもにじんでいました。しかし同時に、「来年こそは全国への切符をつかみたい」という前向きな思いも強く芽生えています。
年々参加者も増え、盛り上がりを見せている都城泉ヶ丘高校の科学の甲子園チーム。今回得た経験と悔しさを力に変え、次年度以降も「6人で考える科学の面白さ」に挑み続けます。
SSH通信 第16号 発行
ダウンロードはこちら 16_都城泉ヶ丘SSH通信071110 .pdf
理数科講演会+サイエンスカフェ開催(10/17)
10月17日(金)に九州大学 理学研究院の教授で、国際宇宙惑星環境研究センターのセンター長をされている吉川顕正先生をお招きして、「宇宙に於ける爆発現象と宇宙天気科学の発展」という演題もとで講演会を行いました。
講演では、太陽フレアの仕組みやそれが地球のオーロラ現象とどのように関わっているか、さらに太陽の質量や黒点のでき方など、私たちの身近な太陽の中に秘められたダイナミックな現象について、わかりやすくお話しいただきました。
中でも印象的だったのは、「放射層から放たれた光が光球に届くまでに数万年もの時間がかかる」というお話でした。太陽の内部で生まれた光が、長い時間をかけて外へとたどり着き、そしてわずか8分で地球へ届く。そのスケールの大きさに、生徒たちは驚きと感動の表情を浮かべていました。今回の講演は、生徒たちが科学の奥深さと未知の世界への好奇心を改めて実感する貴重な機会となってと思います。
また、講演会のあとには「サイエンスカフェ」を実施しました。サイエンスカフェには、男女半数ずつの約20名が参加し、最初は緊張した様子も見られましたが、「せっかくの機会だから聞いてみたい!」という生徒たちの熱意が伝わってくる時間となりました。
生徒からの質問は、講演で抱いた疑問にとどまらず、「農学部や工学部と理学部の違いは何ですか」「理学部では具体的にどのようなことを学ぶのですか」「そもそも“学ぶ”ってどういうことだと思いますか」「研究していて、いちばんやりがいを感じる瞬間はいつですか」「研究を続けるうえで大変なことは何ですか」など、学部選びや学問そのものの意味を問い直すようなものが多く見られました。多くの生徒が、他の生徒の質問にも大きくうなずきながら、真剣な表情で聞き入っていたのが印象的でした。
また、中には自分たちが現在取り組んでいる研究についてアドバイスを求める生徒もおり、先生もそれぞれの質問に対して、専門的な内容もかみくだきながら、時にはご自身の高校時代や研究活動のエピソードも交えて丁寧に答えてくださいました。質問が途切れることはなく、サイエンスカフェは最終的に約2時間にわたって続きました。終了後、先生からも「高校生とここまでじっくり話すことができて、とても楽しかった」との感想もいただき、生徒にとっても、研究者の生の声に触れ、自分の進路や学び方を見つめ直す貴重な機会となりました。
普段の学校生活の中では、なかなか身近に感じにくい「理学部」という進路や、「研究する」「学ぶ」という行為そのものについて、今回のサイエンスカフェを通して少し距離が縮まったのではないかと思います。この体験をきっかけに、理系・文系にとらわれず、大学での学びや研究の世界に興味を持ち、自分の将来について考えを深めていってくれればうれしく思います。
SSH通信 第15号 発行
第14号も、こちらの不手際で掲載できていませんでしたので、併せて掲載いたします。
ダウンロードはこちら 15_都城泉ヶ丘SSH通信071010 .pdf
ダウンロードはこちら 14_都城泉ヶ丘SSH通信070910 .pdf
SSH発表会 泉ヶ丘「探究の日」(10/1)
10月1日(水)、学校全体が探究に染まる「SSH発表会」が開催されました。SSH指定校になり2年目を迎え、1期生の高校2年生、2期生の1年生が、現在取り組んでいる活動について、発表や審査を行う場となりました。また、附属中学校も同時に発表会を行うことで、本校SSH事業における新たな行事として、発展させていきたいと思います。
SSR中間発表会(理数科2年生)
理数科2年生は、週3時間の学校設定科目「SSR(スーパー・サイエンス・リサーチ)」の研究成果を発表しました。81名の生徒が、物理、化学、生物、地学、数学、情報の6分野に分かれ、自ら決めたテーマについて研究してきました。多くの実験を繰り返し、失敗してはまた繰り返し、の連続で、まだまだ途中段階ではありますが、現時点での成果を、自身の言葉で発表しました。参観者は高校1年生。市内の中学校から入学してきた生徒達が、泉ヶ丘の科学研究に触れる機会となりました。「全部、見た~い!」と言いながら、ポスター見学の時間に自分の興味のある6つのポスターを決め、ポスターセッションに参加しました。専門性の高い研究内容、洗練されたポスター、何よりハキハキと発表し、質疑応答もこなす先輩の姿を見て、1年後の自分たちをイメージしたことでしょう。現在高校1年生は、週4時間の学校設定科目「SRM(サイエンス・リサーチ・メソッド)」で、物理・化学・生物・数学に分かれてミニ探究を始めました。ミニ探究は短期間で研究→ポスター・論文作成→発表までを行い、一通りの研究の流れを学ぶプログラムです。今回のポスターセッションに参加した彼らが、どんなポスターを作り、どんな発表をするのかが楽しみです!
郷土探究中間発表会①(普通科2年)
普通科2年生は、週2時間の「理数探究(通称:郷土探究)」の中間発表を行いました。地域課題解決型の人文探究です。都城市のバックアップを受けながら、例年よりもデータや統計に力点を置いた探究活動を行っています。「JR吉都線利用促進」「人口増加に向けて」「国スポ・障スポ」「国際交流」「中心市街地活性化」「歴史資料活用」「地域医療体制」「教員不足解消」の8分野に分かれ、それぞれの探究の途中経過を、スライドにて発表しました。聞き手は都城市役所の方々。各分野に関わる部署の方にご来校いただき、探究の進捗と今後の流れについて、有意義なアドバイスを受ける時間でもあります。今後の探究が深まるよう、期待しています。都城市役所の皆様、JRの方々、ご協力ありがとうございました。
パスタブリッジ審査会(普通科1年)
普通科1年生は、週2時間の「理数探究基礎(通称:りすたん)」の1単元、「マニュファクチャリング」で研究、制作した「パスタブリッジ」の審査会を行いました。パスタブリッジとは、決められた本数のパスタと材料(グルーガン等)を用い、より強度の強い橋を作るというもの。例年は1回しか審査会を行わず(行えず、壊れますから)単元終了となりましたが、本校SSHは「レジリエンス(折れない心、立ち上がる姿勢)」を掲げています。一度試技を行い、さらに改善を加えての本日の審査会では、各班ともより研究が深まり、試技の記録を上回りました。審査会では、ペットボトル(重り)何本まで耐えられるか、という競技だけではなく、トラス構造やハニカム構造等、「どのような構造が強いのか」という仮説、そして「なぜこのような橋を作ったのか」「どういう工夫を加えたのか」というスライド発表も行います。「ものづくり」にとどまらない、原理の理解も大きな学びに繋がると期待しています。最高記録はペットボトル11本(約5.5㎏)でした。
自然科学探究(附属中学校3年)
附属中3年生は、週2単位の「総合的な学習の時間」内、自然科学探究(通称:SKT)の研究成果を発表しました。附属中学校では1年次から科学系探究活動を行います。1人1研究です。今回は、2年生から継続して、自身の興味関心のある事柄、事象について、各自が研究を行ってきた成果を発表する機会でした。最終的には論文にまとめるものですが、今回初めてこの時期に、高校生とともに発表会に参加しました。ポスター形式も高校生のものと見紛うほどの立派なものを制作していましたよ。聞き手は附属中1年生と2年生、未来の自分もここに立ち、堂々と発表する姿がイメージできたことでしょう。加えて、高校理数科1年生、附属中学から上がってきた直属の先輩も、アドバイザーとして参加してくれました。先輩がいる緊張感の中、しっかりとした口調、身振り手振りで、自身の研究を相手に届けたい、伝えたいという、思いの溢れた素晴らしい発表でした。先輩からのアドバイスや指摘を受けた経験が、高校でのSSRに繋がっていきます。SSHプログラムでは、こうした「縦の繋がり」も大事にしていきます。
次年度は、全校生徒がSSHプログラムを受けた生徒達になります。高校3年生は、代表班による最終発表を全校生徒の前で行う予定です(プレゼン発表)。高校3年生の質の高い発表を聞いた上で、今年度同様、各分野に分かれての発表会・審査会を企画しています。本校の探究・研究がさらに進化できるよう、プログラム開発を行っていきます。
SSH生徒研究発表会in神戸国際展示場
8月5日(火)~8月7日(木)、学校の代表として「BZ反応における二層構造の原因究明」班(大山 祥、田村 紘大、永野 凜太、那須 崇史、日髙 葵)が発表しました。
初日6日(水)は9:00よりポスター発表が始まり,途中1時間の昼食休憩を挟みながらも15:00まで発表が続くというハードなスケジュール。その間、本校の研究に興味を持ってくださった他校の生徒や先生方へポスター発表を行い、質問を受け続け、審査の行われるコアタイムでは審査員の先生2名と質疑応答を行い、かなり突っ込んだ質問もあり、必死に返答をする生徒達の姿が印象的でした。審査員の先生方からはお褒めの言葉もいただくことができ、自分たちの研究に自信を持てたようでした。また、同じBZ反応を研究しているという他校との出会いもあり、お互い知った者同士で深い話に花が咲いたようでした。
もちろん他校の研究発表を聞く側に回って他校との交流を深めることができ、多種多様な研究の数々に科学的な好奇心を刺激される大変良い機会となりました。また、発表力の差によって見学者を集めているところもあり、自分たちのプレゼンテーションスキルの見直す機会にもなりました。
2日目は全体会でポスター発表の審査で選出された代表12校のプレゼンテーションが行われました。どの研究も着眼点が素晴らしく、行動力も兼ね備えており、研究へ非常に熱意のある研究ばかりでした。発表においても、質疑応答においても、どの発表校も、内容は難解であってもわかりやすく伝えることができており、興味をもって聞くことができ、あっという間の時間でした。
この2日間を通して、全国から集まった高校生達が本気で取り組んだ研究に触れる場となり、大変良い機会となりました。研究においてテーマ設定が大切であると感じています。今回聞いた研究の中には幼い頃の疑問を突き詰めて、10年間の観察の末に発表に至った研究もありました。きっと、日常の中に研究のテーマはたくさんころがっているのだろうと思います。
その中になぜと疑問をもてるようアンテナを高くできるか。
その疑問に探究心をもって突き詰めていけるか。
仮説通りにいかなくてもレジリエンスを発揮して粘り強く研究を続けられるか。
このあたりを今後の泉ヶ丘生に期待したいです。
中国・四国・九州地区 理数科高等学校課題研究発表大会 in 伊予西条
8月20日・21日に愛媛県西条市で開催された「第26回 中国・四国・九州地区 理数科高等学校課題研究発表大会」に、宮崎県の代表として、本校理数科3年「チドメグサと止血効果の有無」班が参加しました。この研究班は、10月に実施された分野別(物理・化学・生物・地学・数学)課題研究発表会および校内課題研究発表会で代表に選出され、さらに3月に行われた宮崎県課題研究発表会を経て、今回の大会出場が決定しました。
福岡からは新幹線で岡山へ、さらに瀬戸大橋を渡って四国へと向かいました。天候にも恵まれ、電車から望む瀬戸内海の景色はたいへん美しく、旅の気分を高めてくれました。
【1日目】
会場到着後、すぐにポスター発表の準備に取りかかりました。会場に掲示された他校のポスターを見ると、緊張感が高まります。まずポスターセッション前半は、他校の発表を参観しました。本校の生徒は、こうした場面では緊張から積極的に質問できないこともありますが、今回は自然に会話が生まれ、参加生徒たちは和やかな雰囲気の中で他校の生徒と交流していました。同じ理数系学科、同じように探究活動に取り組んできた仲間として、共通の関心が交流を後押ししていたように感じます。彼女たちの高いコミュニケーション力が光る場面でした。
ポスター参観の後は、本校の発表の順番となりました。ポスター発表の中では審査員である大学の先生によるポスター審査が行われるのですが、その順番が1番目にあたっており、慣れる間もなく緊張したままポスター審査を受けました。前日までに質疑応答の準備をしっかり行っていたこともあり、緊張しつつも落ち着いて発表を終えることができました。
【2日目】
2日目は、各県の代表16班によるプレゼンテーション発表を参観しました。ユニークなテーマの研究が多く、発表を聞くうちに「なるほど」と納得させられる内容ばかりでした。どの班も自らの研究において用語や視点を丁寧に定義づけており、深い理解と考察が感じられました。また、大学や研究機関と連携し、施設の利用や機器の貸与などの支援を受けて研究を進めている様子が印象的でした。本校でも12月に2年生が各大学で実験合宿を行う予定ですが、今後は大学のみならず企業などとの連携によって、より一層研究を深めていければと感じました。
各県の代表ということもあり、それぞれの地域ならではの特色も見られたのも面白いところでしたが、研究機器を自作したり、何度もデータを取り直して粘り強く解析を行ったりと、生徒たちが研究にかけてきた想いと時間が伝わってくるような研究発表でした。
最後に、審査員の先生からは次のような言葉がありました。
「仮説通りに進まなくても、思うようなデータが得られなくても、その“かすみ”を一つずつ取り除いていく過程にこそ、研究の面白さがあります。
どうか、自分の研究を思いきり楽しんでください。」
これから探究活動を進めていく生徒の皆さんにも、自らの好奇心や探究心を最大限に高めて研究を楽しんでほしいと思います。
今回参加した生徒たちは、自分たちの研究について「客観性を持った視点」や「見通しのある計画性」が不足していたと反省を述べていました。これらの視点は研究に限らず、今後さまざまな場面で必要となる重要な力です。それに気づくことができたことも、今回の大会参加の大きな成果だと感じました。
SSH通信 第13号 発行
ダウンロードはこちら 13_都城泉ヶ丘SSH通信070810 .pdf
理数科1年+附属中2年 サイエンス合宿(7/22-25)
今年度も7月22日(火)から25日(金)までの3泊4日でサイエンス合宿(参加者:高校理数科1年生82名、附属中学校2年生40名)が霧島ジオパークをフィールドとして実施されました。今年度のサイエンス合宿は霧島連山の新燃岳噴火の影響でプログラムを一部変更して実施されました。
目的
霧島ジオパークでのフィールドワークを通して、「本物」に触れることで、五感で捉え、心が動かされるような体験をし、探究心を高めるとともに探究プロセスの獲得と次年度繋がる地元発信の「科学の種」を獲得する。
◆1日目(7月22日 火曜日)晴れ
三ノ宮峡(えびの市)・天体観測(御池青少年自然の家)
サイエンス合宿の初日は、5月に実施したフィールドワークと関連づけながら、授業を通して火山活動によって形成された景観や地形について学びました。「どのような点に注目すれば地形の成り立ちが見えてくるのか?」という“観察眼”を養い、既に得た知識と照らし合わせながら地形の歴史を考察する活動を行いました。生徒たちは、観察すべきポイントを見つけることに苦戦しながらも、自らの気づきにたどり着いたときには目を輝かせており、学びの充実度がうかがえました。夜には、満天の星空のもと天体観測を実施しました。たちばな天文台からお越しいただいた蓑部樹生様による解説では、「生徒一人ひとりも太陽のようにエネルギーを持っている」という励ましの言葉が印象的で、生徒たちはその言葉に背中を押されるように、さらに目を輝かせていました。
◆2日目(7月23日 水曜日)
享保用水路(えびの市)晴れ
朝から、宮﨑大学農学部准教授竹下伸一氏の指導の下「享保用水路がなぜ迂回しているのか?」という問いを持ち、用水路周辺の地理的要因や歴史的背景をもとに考察を行いました。生徒達からは「話を聞いた後は見る目が変わる」「身近なところに火山活動の恩恵があることが知れた」などの声が聞こえ、充実したフィールドワークになったようです。夕方からは火起こし体験と野外炊飯、まとめ学習を行いました。
◆3日目(7月24日 木曜日)くもり・雨
この日から附属中学2年生40名が班に加わり、霧島ジオパークアドバイザーの奥村健一郎氏の案内の下、御池周辺の植生や地層についてフィールドワークを行いました。あいにくの雨の中、生徒達はカッパを羽織りキーワード探しや問い作りを行いました。夕方からは火起こし体験②と野外炊飯、まとめ学習を行いました。生徒達は初めてみる山ヒルに驚いていたり、改めて植生の分布やイチイガシの植林についても新たな気づきがあったようです。
◆4日目(7月25日 金曜日)雨
最終日は4日間のまとめとして御池青少年自然の家でポスター発表会を実施しました。4会場で実施し、「ベスト問い賞」、「ベスト仮説賞」、「ベストデザイン賞」、「ベスト発表賞」が決定し、その中から最優秀賞「ベストオブ探究者賞」を生徒達の審査で決定しました。このサイエンス合宿は本校での探究活動のスタートに位置づけられています。2年生で実施されるSSR(スーパー・サイエンス・リサーチ)での探究(研究)活動に活かされることを期待しています。
※↓ベストオブ探究者8班のポスター↓
第2回SSH実験教室
今年度のSSH実験教室では、小学生まで対象を広げ、小学生向けの講座では水やシャボン玉の不思議について、中学生向けの講座では半導体について、それぞれの実験教室を行いました。
今回の実験教室では、本校の高校生1・2年生19名がTA(ティーチングアシスタント)として参加し、大学生のTAとともに実験のサポートを務めました。高校生たちは事前に配布された資料をもとに学習し、宮崎大学工学部の先生からの指導を受けながら、子どもたち一人ひとりにわかりやすく教えるために丁寧に対応しました実験教室の中では、小学生は水やシャボン玉の不思議な性質に大興奮!一方、中学生は半導体についての実験や計算を通じて、工学の世界をより深く学ぶことができました。
実験終了後には、エンジニアリングカフェを開催。実験を通じて仲良くなったメンバーと一緒にケーキを囲みながら、学校や将来の進路についての話に花が咲きました。小学生・中学生・高校生・大学生の4つの世代が一緒にテーブルを囲む貴重な機会はなかなかありません。中には、小学生が大学生に「大学ってどんなところですか?」と質問する微笑ましい場面もありました。
アンケート結果によると、参加した児童・生徒の満足度は98%!また、児童からは「もっと理系のことを深く知りたい」「いろいろな実験をやってみたい」「将来は工学系に進みたい」など、ワクワクした気持ちや今後への意欲をたくさん聞くことができました。何より、児童・生徒共に「もっとたくさんの人と話がしたい」という声が多く、異世代との交流を通じてお互いにたくさんの刺激を受けたようです。
参加してくださった皆さま、ありがとうございました。都城泉ヶ丘高校は、地域の科学技術人材育成校として、今後も子どもたちが夢を見つけ、それを育む機会をたくさん作っていきたいと考えています。
MSECフォーラム開催 本校生も参加(7/17)
7/17(木)、今年も県内の高校生が一堂に会して探究活動の成果を発表し合う「MSEC(みやざきSDGs教育コンソーシアム)フォーラム」が開催されました。
このフォーラムは、各校で行われている探究活動の発表を合同で行うことで、生徒同士が互いに刺激を受け合い、学びをさらに深めていくことを目的に、毎年夏に実施されています。
今年は、県内19校から約1200名の生徒が参加し、活気あふれる発表の場となりました。研究テーマは地域創生、科学、人文、スポーツなど多岐に及びます。本校からも8チーム26名の生徒が参加し、それぞれがポスターセッションで日頃の探究の成果を堂々と発表しました。
他校の生徒との交流や質疑応答を通して、多くの学びや新たな気づきを得る貴重な機会となりました。
SSH通信 第12号 発行
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理数科1年SRM サイエンス合宿事前学習②(7/9)
7月8日(火)のSRM(サイエンス・リサーチ・メソッド)では、宮崎大学農学部 准教授の竹下伸一氏をお迎えし、「地質が造る水路の景色~高千穂・えびの・都城~」をテーマにご講義いただきました。
授業では、宮崎県北部の高千穂からえびの・都城に至る山間地域において、火山活動によって形成された地形と、それに適応した人々の暮らし、水資源の活用(用水路)について、ユーモアを交えながらわかりやすく解説していただきました。
高千穂地域は、阿蘇山の火砕流によって形成された「火砕流台地」に集落が築かれ、水の乏しい地形に対応するため、谷を迂回して水を導く長距離かつ複雑な「山復用水路」が発達しました。これらは地域の協働により維持されており、明治以降の測量技術の発展により水田の拡大が進み、現在では世界農業遺産にも認定されています。
一方、えびの・都城地域は、霧島火山群の噴火によって形成されたシラス台地が広がっていることや、高千穂地域と火山は異なるが火山性の地質や地形という共通項があることを説明いただきました。
学術的な知見が入ることで、生徒達は視野が広がり、霧島ジオパークをまた別な角度から見ることができるようになりました。
なお、理数科1年生は7月22日からサイエンス合宿に参加します。本日の授業で得た学びをもとに、現地で「本物」に触れ、自らの探究の芽を見つけてくれることを期待しています。
SSH講演会〈東京大学 四本裕子先生〉7/3(木)
7月3日、MJホールにて東京大学大学院総合文化研究科教授四本裕子氏をお招きし、「なぜ科学者になったのか?」と題したSSH講演が行われました。講師は宮崎県出身で、都城市や宮崎市で幼少期を過ごされ、東京大学文化Ⅲ類へ進学し、現在は科学者として心理学や脳科学の研究を続けながら、多くの学生とともに日々探究を続けています。
講演では、講師自身が受験や進路で悩んだ経験、大学で出会った面白い研究との出会い、そして研究に夢中になっていった過程が率直な語り口で紹介されました。
特に印象的だったのは「色とは何か」「聞こえるとはどういうことか」といった私たちの感覚と脳の仕組みに関するお話で、光や音といった物理的刺激が、どのように私たちの“見えた”“聞こえた”という感覚に変わっていくのか、科学的なアプローチを交えて分かりやすく解説してくださいました。
また、個人差や性差にまつわる科学的データを紹介しながら、「人は一人ひとり異なる」という多様性の尊重や、ジェンダーバイアスにとらわれない進路選択の大切さについても語られました。自らの道を選び、探究する楽しさを熱く語る姿に、生徒たちは強く心を動かされた様子でした。
最後の質疑応答では、「語学が苦手でも留学できますか?」「耳鳴りは脳のせい?」「文系理系に分ける意味は?」といった率直な質問に対し、講師は丁寧に、かつユーモアを交えて回答。会場は笑いに包まれつつも、科学の奥深さと身近さを実感できるひとときとなりました。
科学に限らず、「好き」「面白い」と感じる気持ちを大切にし、周囲の価値観にとらわれずに進んでほしいという講師からのメッセージは、生徒一人ひとりの胸にしっかり届いたことでしょう。
講演後、学校に戻ってのサイエンスカフェ(座談会)では、生徒ひとりひとりの質問に丁寧にお答えいただき、生徒にとって非常にためになる時間を過ごせました。
四本 裕子(よつもと ゆうこ)先生 プロフィール
東京大学大学院総合文化研究科 教授。本校SSH運営指導委員。
宮崎県生まれ。宮崎県立宮崎西高等学校卒業後、東京大学文科III類に進学。東京大学文学部、東京大学大学院人文社会系研究科を経て米国ブランダイス大学大学院でPh.D.(Psychology)を取得。ボストン大学およびハーバード大学医学部リサーチフェロー,慶應義塾大学特任准教授, 東京大学准教授を経て2022年より現職。専門は認知神経科学,知覚心理学。
理数科1年 サイエンス合宿事前学習①(7/1)
本校では、霧島ジオパークを中心に、九州南部の豊かな自然環境を学ぶ授業を行っています。本日は宮崎県環境保全アドバイザー・霧島ジオパークガイド養成講座アドバイザーの奥村健一郎氏に「霧島火山の最南端に位置する火口湖“御池”の自然について考察する」というテーマで講義をいただきました。講義では、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界に位置する宮崎・都城地域の地質や地形について学びました。
私たちの暮らす地域は、長い年月をかけてプレートの移動や火山活動によって形づくられてきました。新燃岳や高千穂峰などの火山、シラス台地、そして霧島連山のカルデラなど、地質的に非常に特徴ある地域です。
講義では、過去の大規模噴火や地層の成り立ちに触れながら、地震・火山と人の暮らしの関わりについて理解を深めました。自然の営みを知ることは、地域の魅力を再発見し、災害への備えを考えるきっかけにもなります。
後半は私たちが暮らす九州は、地球という丸い惑星の「どこに位置するか」によって、気候や自然環境が決まっていることや、このような環境が、豊かな動植物を育み、私たちの生活を支えていること、さらに、火山活動も私たちの環境に深く関わっており、霧島連山などでの噴火は、時に自然を一変させる力を持ち、植物や動物の生態系にも影響を与えるが、その一方で、火山活動によってできた森や土壌が、新たな命を育む場にもなっていることを学びました。生徒たちには、地球の成り立ちや自然の仕組みを学び、未来を考えるきっかけにしてほしいと思います。
SSH講演会 開催のお知らせ
7月3日(木)14:40~15:40、都城市総合文化ホール(MJホール)大ホールにて、第4回SSH講演会を開催します。今回の講師は東京大学大学院総合文化研究科 教授、本校SSH運営指導委員でもある四本裕子先生です。演題は「なぜ科学者になったのか?〜宮崎県出身の研究者からみた科学とキャリア構築」となっています。
保護者、学校関係者の方は来場・聴講可能です。是非会場に足をお運びください。
SSH通信 第11号 発行
SSH通信第11号を発行しました。
今回の内容は、
①理数科1年 霧島ジオパークフィールドワーク
②普通科2年 理数探究(郷土探究)市長講演会
の2点です。
併せて7/3(木)SSH講演会と、7/24(木)実験教室の案内も載せています。
※詳しくはHPでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
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普通科2年「郷土探究」分野別講演会開催 (6/4)
普通科2年生対象「理数探究(通称:郷土探究)」にて、市役所各部署担当者をお招きし、「分野別講演会」を開催しました。
今年度は8分野に分かれて探究を行います。関係する都城市役所各担当部署のから2年間、生徒のサポートをしていただく担当者に来校いただき、それぞれの分野の抱える課題や、現行の取組等、ご説明いただきました。
生徒のために丁寧な資料を事前にお送りいただき、生徒も予習をした状態でお話を伺ったことで、事後の質疑応答も有意義なものになりました。生徒目線の「疑問」が、実はこれまでも取り組まれている事実であることや、実際成果が見えつつある取組であることを知ったりと、探究活動のスタートに当たり、大切な「事実・現状」を知ることができました。
今後は「思いつき」だけではない、「根拠に基づいた」アイディアを検討するために、実地調査やデータ収集を行っていきます。そのきっかけとなる大切な1日でした。
自分事として市政に関わる一員として、最終的には都城市に採用していただける提案ができると良いですね。
本日の講演内容を踏まえ、これから探究活動を進めていきたいと思います。ご参加いただいた都城市役所の皆様、ご協力ありがとうございました。
次回10月1日の「中間発表①」で、探究の途中経過を報告させていただきます。
第2回SSH実験教室 WITH 宮崎大学工学部 集まれ!アマテラスガールズプロジェクト 7月24日(木)開催決定!
今回は、小学生のみなさんにも参加してもらえるように対象を広げて、2つの講座で楽しい実験教室を行います。
宮崎大学工学部の先生たちの指導のもと、大学生や高校生と一緒にワクワクしながら実験してみませんか?
実験のあとは、ケーキを食べながらエンジニアリングカフェも開催します。大学生や高校生に気軽にいろいろ質問して、交流を深めましょう!
みなさんの参加をお待ちしています!