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令和5年度 第13回卒業式「式辞」

春の到来を感じる弥生の今日の佳き日に、学校評議員の皆様をはじめ多くの御来賓の方々の御臨席を賜り、令和5年度宮崎県立日南振徳高等学校 第13回卒業証書授与式を挙行できますことを、心から感謝申し上げます。

卒業証書を授与された154名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。また、この3年間人生の中で最も多感で著しい成長期にあるお子様を見守ってこられた保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。本校教育に対するこれまでの多大なる御理解と御協力に、全教職員を代表し衷心よりお礼申し上げます。

卒業生の皆さんにとっての高校生活は、新型コロナウイルスの影響により授業や学校行事、部活動の制限を受けることが多々ありました。しかしながら、昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を受け、学校の日常が戻ってきました。失われた3年間の中で、学校のパソコンやデジタル技術を駆使した機材が導入されるとともに、生徒全員がタブレットを使った授業が展開できるようになり、新たに発展し生まれてきたものも数多くあります。

そのような中、生徒自身の主体的な取組によって、バレーボール部やヨット部のインターハイ出場をはじめ、多くの部活動ですばらしい活躍をしてくれました。また、各学科における日頃の学習の成果として、全国農業クラブ鑑定競技での最優秀賞やエコ電気自動車レース大会の特別賞、ものづくりコンテストの優良賞、そして、商業研究発表大会や情報処理競技大会、介護技術コンテストなどにおいて好成績を収めることができました。一人ひとりのたゆまぬ努力によって、「専門性を備え、生き抜く力を身に付けた、社会に貢献できる人材の育成」という本校の教育目標を見事に成し遂げてくれたと思っています。

京セラの創業者として知られる稲盛和夫氏は、人生で一番大事なものは何かと聞かれ、「一つは、どんな環境においても真面目に一生懸命に生きること。自分が自分を褒めるとすれば、どんな環境であろうと不平不満を言わず、慢心せず、目の前に与えられた仕事に、それがどんな些細な仕事でも、全身全霊で打ち込み努力してきたこと。もう一つは、利他の心。皆を幸せにしてあげたいと強く意識し、生きていくこと。」と答えています。これは、本校の校訓「潔己、至道、振徳」の中の至道(人の行うべき最高の道)にあたります。他を利する優しい思いやりの心があれば、きっと自分の周りに多くの人が集まり、自分を支えてくれるものと確信しています。そして、家族のため、会社のため、地域社会のため、ひいては国のために懸命に努力しながら生きていくことが、自分の人生を少しずつ形づくっていくことと思います。

もう一つ、卒業生に伝えたいことがあります。人生の選択に後悔しない方法です。まずは大人の話を聞くこと。多くの経験をしてきた大人の話を聞き、自分の選択の材料にしてください。ロック・バンド緑黄色社会の長屋晴子さんは、「先生に言われたとおりにしていたら今の自分はいません。ただ、先生に反発する必要はなく、一つの意見として聞き、自分で判断した方がいいということです。自分で考える力を付けることが大事です。」と言っています。これからの未来を創るのは皆さんです。予測困難な時代だからこそ、自分で決断する勇気を持って未来に突き進んで欲しいと思います。

新年に入り日本は能登半島地震に見舞われ、令和6年は大変厳しいスタートとなりました。一方、世界に目を向けるとパレスチナガザ地区で起こった軍事衝突やロシアによるウクライナ侵攻など厳しい情勢が依然として続いています。私たちは時として悲しみを直視して前へ進まなければなりません。他人に左右されず、今自分には何ができるかを考えられる人になって欲しいと願っています。

結びになりますが、卒業生の皆さんが、これからの長い人生、自信と誇りを持って自らを磨き続け、社会で活躍することを祈念し、式辞といたします。

 令和6年3月1日 

 宮崎県立日南振徳高等学校長