大会報告

演劇専門部より

第73回宮崎県高等学校演劇研究大会 大会報告

第73回宮崎県高等学校演劇県大会(報告)

令和2年11月7日(土)~11月8日(日)に、三股町文化会館のご協力で、本年度も無事に県大会を実施することが出来ました。

コロナ下での大会開催であるため、県大会出場校には、厳密なコロナ感染対策・健康観察記録をお願いした上での開催でした。

高校総合文化祭は無観客でしたが、この時期は、コロナ感染率がやや下がっていたこともあり、一般観客を入れて開催することが出来ました。
通常の開催に加え、一般観客のコロナ対策・入場管理まで執り行って頂いた、三股町文化会館に、心から御礼申し上げます。

大会成績は、以下の通り。
最優秀賞1校のみが、熊本県で開催された九州大会に出場。

最優秀賞   『まいごの まいごの』 都城商業高校 (生徒創作)
優秀賞1席 『この橋で いつか』 宮崎東高校・通信制(顧問創作)
優秀賞2席 『いとの食堂』    佐土原高校(生徒創作)
優良賞   都農高校、宮崎南高校、宮崎日大高校
創作脚本賞 『ひなた荘より、春を待つ君へ』(生徒創作)
舞台美術賞 該当なし

都城商業←都城商業高校(生徒創作)
 『まいごの迷子の』






宮崎東 
 宮崎東高校・通信制→
(野村由美作)
 ひとり芝居
 『この橋で、いつか』
佐土原

 

←佐土原高校(生徒創作)
  『いとの食堂』



宮崎南 
  
  宮崎南高校(生徒創作)→
    ☆創作脚本賞
 『ひなた荘より、
  春を待つへ』            


都農高校 
←都農高校(既成)
  『クィーンの身代金』


 *都農高校は、令和2年度をもって閉校  
  となりました。



宮崎日大
   
  宮崎日大高校(生徒創作)→
    『自画像』






〈県大会審査員〉
 あべゆう (こふく劇場・俳優。現在休団中)
 村田遼太郎(劇団いかがなものか・俳優。)
審査員

文化を育む土壌


                                  専門部会長 段 正一郎(延岡高等学校 校長)

 昔話を好むのは、年を取った証拠ですが、実際年を取ったのだから、もういいのです。昔話をします。
 私が教員になったのは昭和54年で、国語の教員だという理由だけで、有無を言わさず演劇部の顧問にさせられました。当時の演劇部の顧問会は、酒飲みの巣窟でした。泊まりがけの演劇講習会やコンクールの懇親会では、酒癖の悪い顧問が東京から呼んだ高名な審査員にからんだり、深夜までお互いの劇を批判しあったりと、大荒れになるのが常でした。
 そんな飲み会を嫌がる人もいましたが、でも私は、いい年をした大人の先輩教員が、いつまでも万年書生のような議論をしている光景は嫌いではありませんでした。また、そんな酒飲みは、毎年渾身のお芝居を持ってきました。最近は、飲み会に出る人も少なくなりましたし、飲んでもスマートな酔い方をする人ばかりになりました。
 文化の反対概念は、利便性とか効率だと私は考えています。荘子でしたか、混沌にお礼をしようとして穴を開けていったら、混沌が死んでしまったという話がありましたが、私たちは文化を育てようと唱えながら、一方では文化を殺そうとしているのかもしれません。演劇を始め、部員数の減少を生徒減に帰する理屈があるとするなら、それは違うと思います。学校も含めて、私たちの社会のどこかに、文化の育成を阻む要素があるのだと、私は思っています。
 さて、今年も佐土原高校が5年連続で県代表になりました。ここ数年の中では、最もいい作品だったと私は思います。佐土原高校の健闘を称えつつ、演劇専門部の隆盛のためには、どこかに佐土原高校を凌ぐ作品を作って欲しいという思いもあります。