2014年9月の記事一覧

わくわく学習応援隊発足式

 昨日、17時から荒谷小体育館で「わくわく学習応援隊発足式」が行われました。
 本校は、総合的な学習の時間(わくわく学習)のテーマを諸塚村の基幹産業である林業に焦点を当て、「ウッジョブ諸塚」として、再発見、貢献・発信などを学習内容として学習しています。この林業を中心とした「わくわく学習」をダイナミックに学習を展開するために、林業に深く精通されている方々に子どもたちの学習の支援者になっていただきたく、このような発足式を開催しました。今回、役場の方々(本校PTAの方)や地元企業の方、宮崎県東臼杵農林振興局の方々にお越しいただき、子どもたちの学習内容やこれからの林業についての夢を聞いていただきました。
 
     【林業に精通されている5名の方々にお越しいただきました】
 
 まずは1・2年生のわくわく学習の内容の説明を1・2年生の担任の先生が行いました。1・2年生は今年度「しいたけについて」学習を進めていきます。1学期にはしいたけ博士である本校PTAの方にも授業をしていただいています。しいたけをテーマにした理由は、諸塚村の特産物であることと、しいたけのこまうち以外、子どもたちはしいたけに関わっていないという現状からだそうです。
【2学期は椎茸のお世話や収穫をします】
 
 次に3・4年生です。3・4年生は、1学期に当時の耳川広域森林組合(諸塚)の所長さんから授業をしていただいています。その授業を受けて、地域の方々の思いや工夫・知恵を学びたいと考えているようです。具体的な内容としては、体験学習で見学した林業で使われる機械をおもちゃとして製作する、植え付けの時の工夫を学ぶ(植え付けのポイントや苗木袋の工夫等)そうです。
 
【発達段階に応じて学習内容が変化します】
 
 最後に5・6年生です。5・6年生は、1学期林業について多くのことを学びました。そして、次に林業を発展させるために自分たちにできることを考え、発表しました。
 5年生は、木で作ったヘアピン・しおり・松葉杖・シーソー等を製作したいという意見がでていました。また、木の香りの消臭剤も作ってみたいというおもしろいアイディアもありました。その他には、地球温暖化についての内容を木の絵本にして保育所生に読み聞かせをしたいという意見もありました。
 
【商品開発、おもしろいアイディアです】  【木で作った絵本、見てみたいなぁ】
 
 6年生では、林業をより発展させるために木がもたらす医学的な効果をパンフレットにしたい・木材の自給率を上げていくために産直住宅のよさをパンフレットにしたい、林業のやりがいがいっぱいつまったポスターを作成したい等の意見が発表されました。
 
【産直住宅、もっとたくさんの人に知ってほしい】【木材がもたらす医学的な効果を知りたい】
 
【林業をする上でのモチベーションとなるやりがい、みんなに伝えたい】
 
 子どもたちがまとめたこれらの意見について、実際に実現可能かどうかを、わくわく学習応援隊の方々に尋ねてみることになりました。しかし、なかなか手が挙がりません。「『尋ねる力』も大切なんだよ」と校長先生が子どもたちに声をかけると、手が挙がり始めました。
 以下は質問と回答です。
 
【質問】
 ○ 絵本の表紙を木で作りたいのですが、加工してできますか?
【解答】
 ○ できます。木は生きているので、割れないように工夫する必要があります。木工の専門  
  家がいるので、その方に習って作るといいと思います。
  ○ 原本があればできます。
【質問】
 ○ 木の医学的な効果はどのようにしたら分かりますか?
【解答】
 ○ 接着剤等を使って家を作るとシックハウス症候群を起こすこともありますが、木造でしっ
  かり作ると健康にいいです。ヒノキは殺菌成分がありますし、木は音を吸収します。また、
  柱1本でビール瓶3本分の水分も吸収しますし、空気が乾燥している時には水分を放出し
  ます。
 
【質問】
 ○ シーソーは誰に協力していただけばよいでしょうか
【解答】
 ○ すぐできると思います。ただ、作成したい時期を知らせることと、前もって設計図を作成
  しておく等の準備をしてください。
 
【質問】
 ○ 林業のやりがいは何ですか?
【解答】
 ○ 人材が必要です。プロセッサー等の機械を操縦するには資格が必要です。諸塚のため
  に何ができるかということを念頭に置いて、人材を生かす、知恵を出し合い実現すること 
  が必要です。
 ○ 「木が大きくなること」が1つのやりがいです。木が大きくなったということは、それだけ二
  酸化炭素を吸収したということです。それは地球温暖化を防ぐことにつながっています。
  また、木の根っこができれば土砂崩れを防止しますし、木が育つことにより水もきれいに
  なります。このような生活の恵みを感じることでやりがいを感じます。
   2つ目は「人材が育つこと」です。森は林業に携わる方々のチームワークによって育てら
  れています。それらの方々への感謝の気持ちがあります。
 
【質問】
 ○ 商品づくりで有力な情報が得られる場所はどこですか?
【解答】
 ○ 西郷の林業科学館で木工教室が開催されています。また、買い物をしている時に、意
  識して商品を見るようにしてください。希望として、プラスチックや鉄でできているものを木 
  で作るという挑戦をしていただきたいです。
 
【質問】
 ○ 商品づくりをするためにはどこに行けばいいですか?
【解答】
 ○ みなさんで地元の企業にきてください。そこで、専門家が教えます。
 
【質問】
 ○ 木の絵本の表紙にプリントはできますか?
【解答】
 ○ できます。諸塚村役場の名札は木で作られていて、これは木にプリントしたものです。
 
 子どもたちは率直な質問を応援隊の方々にぶつけ、応援隊の方々からは心強い回答をいただきました。大切なのは、何のためにするかということです。目的を意識し、受け身ではなく自分から取り組む姿勢をもって取り組みましょう。
 
 わくわく学習応援隊の皆様、お忙しい中、本校の子どもたちのためにお越しくださりありがとうございました。今回の発足式で、子どもたちは学習の見通しがもてたと思います。職員ではアドバイスできないようなことを、分かりやすくていねいにご指導くださり、大変有意義な会となりました。ありがとうございました。
 また、本日は発足式に出席できなかったわくわく学習応援隊の方からは、これからの学習に活用できる本を、それぞれの子どもたちにご用意くださいました。そのお気持ちが大変嬉しく思いました。ありがとうございました。
 
 最後に、PTA会長さんから「世界農業遺産について」の話がありました。
 現在、西臼杵(高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町)と椎葉村と諸塚村は高千穂郷・椎葉山世界農業遺産推進協議会を結成し、伝統的な農林業と文化を未来につなぐため、世界農業遺産認定を目指す活動を行っているそうです。全国で7つの地域がこのような活動を行っているそうで、9月8日に1次審査があったそうです。そして、諸塚村は見事1次通過したとのことでした。そして、本校のわくわく学習がこの活動の後押しになりますとお話をしてくださいました。諸塚村のため、林業の発展のために取り組んでいる子どもたち。この言葉をいただいてきっと喜んでいることと思います。
 
【諸塚村の取組、子どもたちも初めて知ったのではないでしょうか】