【校長室】第78回卒業式校長式辞
式辞
厳しい冬の寒さが続く中にも、確かな春の息吹が感じられる今日の佳き日、栄えある卒業証書を授与いたしました67名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今日の日を待ち望んでおられた保護者やご家族の皆様におかれましては、慈しみ、大切に育ててこられたお子様の、立派に成長された姿に感慨もひとしおのことと拝察いたします。義務教育9年間もの長きにわたり、お子様の修学を支え、励ましてこられたことに、深く敬意を表しますとともに、本校教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。
また、公私ともにご多用の中、高千穂副町長 藤本昭人(ふじもとあきと)様、高千穂町教育委員会 教育委員佐藤幸男(さとうゆきお)様をはじめ、本校ゆかりのご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに第78回卒業式を盛大に挙行できますことは、この上ない喜びであります。卒業生の門出に花を添え、お祝いいただき、高いところからではございますが、衷心より感謝申し上げます。
卒業生の皆さんは、これまで学習や学校行事、生徒会活動、部活動等に熱心に取り組んできました。3名の3年生が力走し、見事優勝を果たした宮崎県中学校新人女子駅伝。宮崎県ワールドアスリート2名が所属する女子バレー部は、宮崎県と鹿児島県の対抗戦で、5位に入賞する活躍をみせました。体育大会では、各団長がオリジナルに富んだパフォーマンスを披露し、紅葉祭では、合唱で3年生らしい美しいハーモニーを聴かせてくれました。高千穂町の観光名所を紹介したオリジナルの学年劇では観客を魅了しました。高千穂プロジェクトでは、「高千穂に貢献しよう」というテーマで、高千穂町が抱える課題を一つでも解決しようと多くのアイデアを発表しました。様々な場面における皆さんの大活躍に、無限の可能性を何度も感じました。もちろん、必ずしも順風満帆な日ばかりではなかったと思います。時には悩み、時には苦しみながらも、くじけることなく過ごしてきた3年間のさまざまな思い出は、皆さんの心にしっかりと刻まれていることでしょう。
そういう皆さんは、私が校長として送り出す最後の卒業生であります。私はこの1年、教師生活30年を振り返りながら、皆さんと共に学校生活を送ってきましたが、皆さんの活躍や成長は何よりの楽しみでありました。最高学年として、多くの実績と感動を残してくれた皆さんは、私にとって「一生の宝物」であります。皆さんが残してくれたものは、後方に控える後輩たちが校訓である「伝統の力」として、さらに高千穂中学校の発展に邁進してくれると信じています。
さて、皆さんがこれから迎える未来は、デジタル化、IT化など、産業技術の著しい発展、そして多様な価値観が溢れる時代であります。そのような社会を背景に、本日、夢や希望に胸を膨らませ、決意を新たに羽ばたいていく皆さんに、二つのことについて話をさせていただきます。
一つ目は、「人間力」を高めてほしいということです。創造性、コミュニケーション能力、公共心、相互啓発力、柔軟性など、「人間力」には様々な要素が含まれます。変化の激しい昨今、世界の情勢や経済は不安定を極めています。今日(きょう)までの正解が、明日には不正解となることさえある時代の中で、その都度新しい答えを生み出すことが求められています。また、人種、国籍、性別、文化といった、異なる価値観が混在する多様性の中で生きていく時代であります。より多くの人と良好な対人関係を構築し、互いの知識や技術を共有しながら、共に課題を解決していく力が必要です。「人間力」の高い人は、相手の立場や文化に配慮し、柔軟かつ適切な対応をとることができます。これは人間ならではの能力です。これからの社会を生き抜いていくためには、この「人間力」が必ず力を発揮します。
二つ目は、人から大切にされる存在から「人を大切にする存在」になってほしいということです。さんは、これまで「高千穂の宝」として、大切に育てられてきました。大切に育てられ、また、他者を大切にする優しさのある皆さんの存在は確かな意味があり、誰かにとって価値ある存在に間違いありません。これから、ますますAIの技術が進歩するでしょうが、人間だからこそ、もち合わせているもの、その一つがこの「人を大切にする」という優しさです。相手が何を感じているのかを感じ、理解するとともに、その相手に対して、自分はどうするべきなのか、どうあるべきなのかを考え、主体的に行動することができる力です。周囲に流されることなく、「人を大切にする」ということを軸として判断し、行動してください。人を大切にするということは、問題解決の手段にもなり得るからです。
けれど、時にはつい、いやな感情を抱いたり、他者と衝突したりすることもあるでしょう。でも大丈夫です。100%完全な人はいません。振り返り、改善点があれば直していけばいいのです。今年1月、アジア人として初めてアメリカの野球殿堂入りを果たしたイチロー氏は、満票選出ではなかったことに対して、直後の会見で、次のようことを話されました。「1票足りないというのはすごくよかったと思います。いろんなことが足りない、人って。それを自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生だと思うんですよね。不完全であるというのはいいなって。生きていく上で、不完全だから進もうとできるわけで、そういうことを改めて考えさせられる。見つめ合える。そこに向き合えるというのはよかったなと思います。」と。
保護者の皆様、3年間本校の教育活動に対し、ご理解と温かいご支援、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。お子様は、本校での学校生活を経て、心身ともにたくましく成長されました。これからも、お子様の輝ける前途を温かく見守っていただき、時には励まし、支えてくださいますよう、心から願っております。
私事ではございますが、教職生活の集大成を、校長として2年間高千穂中学校で過ごせましたこと、皆さんとの出会い、学び会えたことは、私の人生にとってかけがえのない時間でありました。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。
この高千穂の地は、まもなく桜やおがたまの花が咲き、命の躍動する新たな季節を迎えます。卒業生の皆さん、皆さんの「存在」そのものが、周囲に勇気と希望を与えることがあるということを決して忘れないでください。そして、自信と誇りをもち、さらなる高みを目指して学び続けてください。必ず巡る自然の強さに思いをはせつつ、力強くこの学び舎を巣立つ皆さんの限りない前途に幸多からんことを祈念いたしますとともに、夢あふれる未来を祝福して、式辞といたします。
高千穂町立高千穂中学校 第31代校長 金丸智弘
令和7年度グランドデザイン
令和7年度生徒会スローガン
〒882-1101
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井939番地6
TEL 0982-72-4121
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〇 荒天時に関するお願い
大雨や台風、大雪その他様々な事象により生徒の身の危険があると判断される場合は、たとえ休校などの措置連絡がなくても、無理に登校させたりすることのないようにお願いいたします。学校との連絡が通じる時間帯に、連絡していただければ柔軟に対応していきますのでご理解ください。まず、お子様の身の安全を確保することを最優先した対応をよろしくお願いいたします。
【地震発生時の登下校マニュアル】
◎ 南海トラフ地震の発生が心配される中、本マニュアルをもとに各学級でどのように行動すればよいのか。各家庭での決まりや約束などを決めておくことなどを確認しました。各家庭におかれましても、万が一の場合にどのようにすればよいのかを話し合ったり、決めたりする機会にしてもらいたいと思っています。なお、本マニュアル(データ)は、マチコミメールで送付いたしますので、ご確認ください。