【校長室】CRISIS MANAGEMENT
令和7年1月13日(月)21時19分頃、スマートフォンから、けたたましい音量で緊急地震速報が流された。日向灘を震源とするマグニチュード6.9(速報値)、震度5弱の地震が発生したというものであった。宮崎市の自宅にいる妻と実家にいる両親に連絡をし、無事を確認。関東に住む3人の子供たちにもその旨連絡をした。昨年8月8日(木)16時42分頃に、発生したマグニチュード7.1(速報値)、震度6弱の地震は、授業日であれば、下校中の時間帯。夏休み期間中だったため、生徒への直接的な被害はなかったが、校長会で情報を共有し、登下校中に地震を含む自然災害に遭遇した場合の避難、いわゆる「命を守る行動」について、再確認と生徒への指導及び保護者への啓発を図った。
今回の地震では、海岸線付近で津波警報が出され、避難指示が出された地区もあった。翌日朝のニュースでは、高台に避難する方々の映像が映し出されていたが、避難所の開設が遅れ、高台の施設近くで右往左往する姿も見られた。それだけ、住民の避難が早かったと考えれば、「命を守る行動」がしっかりと身に付いてきたとも捉えることができ、危機意識の向上がなされているという喜ばしい現象でもある。
私の勤務する高千穂中学校は、中山間地域である。標高300m以上の地域にあるため、津波の心配はほぼ皆無に等しい。しかし、近年の自然災害では、中山間地域における土砂災害により、多くの人的被害が発生している。国が公表する土砂災害危険箇所はおよそ、52万箇所あるものの、防災施設の整備率は20%代と低い水準であると耳にする。本校の南西側は、観光で有名な高千穂峡のほぼ真上に位置しており、断崖絶壁のため、災害時に山をくだるという避難方法の選択肢はない。中山間地域は集落の多くが山腹斜面及び谷沿いにあり、土砂災害危険箇所に指定されている地域がほとんどであり、本校も例外ではない。
毎年、避難訓練を実施しながら、「本当にこれで良いのか」と不安があるのも事実である。災害時には孤立しやすい地域。避難後の集合場所は、現段階では、校庭ではなく、さらに高台の避難所へ避難するように共通理解を図っているものの、本当にそれでよいのか。というのも、高台へ移動するための県道への動線は2通り。しかもその県道には、4階建ての集合住宅が数棟建っている。地震発生時の初期対応訓練(揺れへの対応)での基本行動は、「どこにいても、どのような状況でも『上から物が落ちてこない』 『横から物が倒れてこない』『物が移動してこない』場所に素早く身を寄せて安全を確保し、揺れがおさまってから避難すること」が鉄則であるが、揺れが収まるまでの時間や高台への移動時にも危険が待ち構えているのである。東日本大震災の発生時、避難訓練度どおりに避難をしたものの、避難所近辺が危険であることを察知し、さらに高台へ避難をするという「想定外を想定」した結果、99.8の生存率を誇った「釜石の奇跡」。いったいどの避難方法が「命を守る行動」になるのか。地震発生時は、防災無線等の機器が使用不能になることも十分想定される。情報を受け取った人が順次行動に移していかなければ犠牲者は減らない。「釜石の奇跡」を起こすきっかけとなった岩手県釜石市鵜住居地区居住の皆さんは、地震発生後すぐに高台にある避難所に避難を始めたと聞く。避難の途中地域住民と協力しながら、小・中学校の児童・生徒にも声をかけながらひたすら高台へ避難したとのこと。
1月13日(月)の地震発生直後は、町役場の災害対策室から、何度も何度も「注意や命を守る行動をとるように」という放送がなされた。県内でも有数の高齢者の多い高千穂町であるからこそ、地域全体で「一人の犠牲者も出さないため」の行動がいかに大切か。全国各地で毎年頻発する大雨や地震災害を決して他人事とせず、いざという時のためにやはり訓練は必要である。テレビで災害地や避難所の様子を見たり聞いたりするだけでは本当の大変さは決してわかるものではない。教職員、生徒一人一人が、災害に対する緊張感を維持しながら、これからも「一人の犠牲者も出さない」危機管理に努めるために、再度地震発生時の避難方法等の見直しに取り組んでいるところである。
令和7年度グランドデザイン
令和7年度生徒会スローガン
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〇 荒天時に関するお願い
大雨や台風、大雪その他様々な事象により生徒の身の危険があると判断される場合は、たとえ休校などの措置連絡がなくても、無理に登校させたりすることのないようにお願いいたします。学校との連絡が通じる時間帯に、連絡していただければ柔軟に対応していきますのでご理解ください。まず、お子様の身の安全を確保することを最優先した対応をよろしくお願いいたします。
【地震発生時の登下校マニュアル】
◎ 南海トラフ地震の発生が心配される中、本マニュアルをもとに各学級でどのように行動すればよいのか。各家庭での決まりや約束などを決めておくことなどを確認しました。各家庭におかれましても、万が一の場合にどのようにすればよいのかを話し合ったり、決めたりする機会にしてもらいたいと思っています。なお、本マニュアル(データ)は、マチコミメールで送付いたしますので、ご確認ください。