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令和6年度 第16回入学式「式辞」

満開の桜もいつしか新緑となり、吹き抜ける爽やかな春風に生命の息吹を感じるこの佳き日に、PTA会長並びに日南市立中学校長の皆様の御臨席を賜り、第16回入学式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びであります。

ただ今、入学を許可されました145名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは名実ともに、この宮崎県立日南振徳高等学校の生徒となりました。その晴れ晴れとした気持ちを大切にしながら3年間の高校生活を送って欲しいと思います。また、お子様の成長を見守り、励まし、この日を楽しみにして来られた保護者の皆様方にも、本校職員を代表いたしまして、心よりお祝いを申し上げます。

新型コロナウイルスにより世界が一変し、私たちの生活様式も大きく変わりしましたが、5類感染症移行後は日常の生活を取り戻し、ほぼ全ての学校行事を滞りなく実施してまいりました。本年度も新入生が心待ちにしている高校生活をしっかりとサポートしていきたいと考えております。

さて、本校は県南地区において農業・工業・商業、そして福祉に関する専門教育を担ってきた3つの高校を統合・再編した総合制専門高校です。飫肥藩の藩校「振徳堂」の精神を教育理念として受け継ぐとともに、「広く社会に貢献し、心豊かで思いやりのある生徒の育成を目指す学校であれ」という県民からの期待を背負い、今年で16年目を迎えました。かつて、「振徳堂」で学んだ若者たちが読んでいたとされる書物のうちの「論語」、「礼記」、「孟子」の教えから引用した校訓、「潔己・至道・振徳」の下で学んだ卒業生は2,400名を超え、県内外において産業や経済を支える人材として活躍しています。

本校は、社会で活躍するために必要な知識や技術・技能を身に付けさせる教育に力を入れています。しかしながら、社会に出て仕事をするためには、知識や技術だけではなく、周囲に対する思いやりやコミュニケーション能力も大切になってきます。変化の著しい現代社会は予測困難な課題が山積しています。その解決には、様々な情報を集め、比較し、他者と議論を交わすことが必要となりますので、高校ではぜひ学校行事や部活動等にも積極的に参加し、集団生活に相応しい言動を身に付けて欲しいと思います。

今、学校現場では、新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、DXハイスクールという文部科学省の事業で急速にデジタル化が進み、タブレットやオンラインで授業ができるようになりました。しかし、デジタル化すれば何でもできると思ってはいけません。デジタルに関わる技術者はそれ相応の幅広い知識と技能が求められます。スマートフォン一つにしても、相手を傷つけない最低限のマナーが私たちには求められます。世の中のほとんどのミスや事故はヒューマンエラーだと言われています。人間力で物事を前に進めていく「アナログ力」を決して忘れてはいけません。

1月29日に亡くなられた元アサヒビール会長の福地茂雄さんは、「小さな歯車は組織を動かす原動力であり、組織は大きな歯車と小さな歯車がうまく噛み合った時、円滑に動く」と言っています。つまり、一つとして不要な歯車はないということです。学校や社会でも同じことが言えると思います。自分の利益だけを考えずに、どうか友だちや家族、ひいては隣に座っている人を気遣い、他人の幸せを願う「利他の心」を持って生活して欲しいと思います。

最後になりますが、ここにいる生徒たちは、将来の日本を支える宝です。私たち教職員は、145名の新入生を責任を持って育ててまいります。ご家庭におかれましては、ぜひとも本校の教育方針をご理解いただきますとともに、これからの社会を担う貴重な人材として育てていくため、学校と連携しながらご協力を賜りますようお願い申し上げます。新入生一人ひとりの進路実現に向け、3年後に、成長した姿で社会に送り出すことをお約束し、式辞といたします。

 令和6年4月10日 日南振徳高等学校長