「田の神」(たのかみ、たのかんさあ)
○「田の神」(たのかみ) (小林市堤 松元の上、柏木の上、楠牟礼、東前内待塚)
              (小林市水流迫 下ノ平、野間の前)

 田の神信仰は全国的な広がりをもつ民俗信仰の一つで、五穀豊穣と収穫の神とされています。南九州では田の神は「田の神さあ」(たのかんさあ)と呼ばれ、田の脇に鎮座している独特の石像文化です。
 記録に残る古い田の神は、鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田町にある宝永二年(1705年)と刻まれたものとされていますが、小林市には享保五年(1720年)の像が残っていることから、薩摩で始まった田の神信仰がこの年代に諸県地方に伝わったものといわれています。
 三松地区では6体の田の神像が確認されていますが、像の型は農民型が2体、神官型が3体、仏像型1体となっています。
 諸県地方の田の神は霧島の方向を向いているものも多く、霧島信仰との結びつきをうかがうこともできます。

 
(写真:松元の上の田の神。弘化三年(1846年)七月一日建立。右が田の神、中が地蔵幢、左は馬頭観音。農民型の田の神で、右肩頭後にしゃもじを振り上げる形。右脇に枡を抱える。)