#図書館の日常
高2国語単元関連コーナーから広がる世界
高校2年生の現代文および古典は、文学の王道ともいう作品が取り上げられています。
今回は、現代文…夏目漱石『こころ』、古典…紫式部『源氏物語 桐壺』。
教科書ではそれぞれ作品の一部のみが取り上げられているわけですが、ここを入り口として作品を丸ごと読む機会に
してほしいものです。
それぞれの展示コーナーで収集した資料は、作品そのものはもちろん、作家に関する資料、作品が生まれた時代背景
がわかる資料のほかに、『源氏物語』に関しては、「色」(色彩)に関する資料、王朝文化がわかる有識故実便覧、複
数の訳者の現代語訳小説などを。また、『こころ』に関しては、初版が出版された復刻版(レプリカ)を、文豪たちを
集めた多角的な資料、漱石の他の作品などを展示しています。
また、文庫限定ですが、近現代の作家の小説を別置しました。便覧を参考に、明治大正中期の文学系統図も掲示して
います。国語の観点からだけでなく、日本史あるいは公民(現在は公共)的観点から文学が生み出された意図を考える
機会にもなります。
本との出会いは、人さまざまですが、学校で使う教科書からの出会いはとても大きいのではないかと考えます。
特に現代を生きる10代にとって、近現代の作家はもちろん古典世界など、取り巻く世界の違いにイメージがわかない
ことも多々あることでしょう。でも、だからこそ時を経て今があることに気づく機会と捉えてほしいし、わからないな
りに文章全体の美しさを知る機会であってほしいものです。