日誌

日々徒然

10/9 秋茄子

メモ帳から
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二宮金次郎は、初夏に茄子の漬け物を食べて、

「おかしい。秋茄子の味がする!」

と驚愕し、冷夏が来ることをさとった。

すぐに農民に稲を抜き、稗や粟に植え替えるように言った。

その年は金次郎の予想通り冷夏となり、その後数年続く天保の大飢饉の始まりとなったが、彼の村は一人の餓死者も出さなかった。

夏茄子と秋茄子の違いは、農民なら誰でも気付く。

ということは、当時の農民達も茄子の味が違うことに気付いていたはずである。

ただ、それをメッセージとして受け取ったかどうか、そして何らかの行動に移したかどうかに大きな違いがあったのではないか。

また、金次郎はこの大きな決断を茄子の味だけに頼ったわけではない。彼の日記にはこんなことも書かれている。

「なぜ今年、菊の花がこの時期に咲き始めたのか」

「なぜ今年、芋の根の伸びがこんなにも遅いのか」

「なぜ今年、川の水のかさが例年と異なるのか」

特殊な能力を発揮するどころか、むしろ少し注意をすれば誰でも気がつけるような地道な現実観察、これこそが彼の大きな決断の根拠になっていた。

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