日誌

2024年12月の記事一覧

12/3 探究心

昔の話ですが、ある時、アメリカのロケットの制御に使われていたICが一斉に不具合を起こしたそうです。
原因はICの内部で生じた錆で、それが原因で回路が焼き切れていました。

ところが、よく調べてみると、同じ回路に同等品の日本製ICを使っていたロケットでは一つも不具合は出ていませんでした。
アメリカで作られたICだけの不具合だったのです。

勿論どの国のIC工場でも、作業員は手を洗ったり、専用の全身を覆う服に着替えたり、全身の埃を吹き飛ばしたりして、目に見えない程の小さなごみでさえ一切持ち込まない状態にしてからクリーンルームで作業をします。

ではなぜ、日本製だけに不具合が出なかったのでしょうか。

それは、日本のメーカーだけが、女性の口紅に含まれる油脂分が蒸発して回路に付着しサビの原因になるということを突き止めていたからです。
日本のメーカーは、ICを製造する部屋にお化粧して入ることを禁じていたおかげで不具合を出さずに済みました。

一方、そのような対策をしていなかったアメリカ製は、製造後、ある一定期間が経つと一斉に断線してしまったのでした。

1980年代に日本がIC等の半導体の世界一の製造国になるまでには、原因が分からない不良品の大量発生により良品率が下がる現象にたびたび悩まされ、それを製造現場の努力で克服してきました。

例えば何か月もかかって、衣服に付着している微量塩分や、空気中に含まれる微量塩分が原因であることを実験を何度も繰り返して発見し、それを除去する方法(体から飛沫が出ない服の開発や工場内に取り入れる空気をきれいにするフィルターなど)を開発しました。

また、近くの高速道路を通過するトラックの振動が原因であることを突き止め、工場の周りに大きなお濠を作って解決するなど、技術者の探究心と涙ぐましい努力の積み重ねがあったのです。

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12/2 スタック

12月1日の駅伝大会では、中学生が走るコースに先回りして写真を撮っていました。

中学生の最後の走者は、11区で、スタート地点は山麓線沿いの消防団の建物前でした。

近くまで行ってみると、近くの農道は路肩駐車が連なっています。

農作業の邪魔になると申し訳ないと思った私は、近くに実家の田んぼがあったので、入口の斜面に駐車して歩いて撮影に行きました。

撮影を終えた後に戻ってきて車のエンジンを掛け、出ようとしましたがタイヤがスリップして前に進みません。

「やばい」

降りて前輪を見てみると、斜面の泥が朝露でしめっていたためスリップしていたのでした。

「しもたあ・・・」

と思いつつ、近くの小石をたくさん拾ってきて前輪に噛ませ再スタートしてみます。少しは前に進むのですが、抜け出せません。

「いっとっしっから、実家からトラクターを持っくいか、天気が良かで、じだが乾っとを待っちょっからでよかろ・・・」

「うんにゃ、いっき戻らんと閉会式の写真が撮れんが・・・・!」

と思いを巡らせていたその時、一人の男性(Aさん80代)がこちらに向かって歩いてきます。

「くいまをへらけたっじゃろ、いまBさんがトラクターをもっくっで、だいじょっじゃが」

と叫んでいました。

二人で車の状況を見ていると、Bさんがトラクターに乗ってこられました。

「こんトラクタをどけつなぐいけ?」

「うんにゃ、うしとから押せばいごっとじゃねけ」

と二人で話しています。

わたしも、後から押せば抜け出せそうな感触があったので「うしとから押してもらえば、たぶんだいじょっじゃひが」と伝え、二人に押してもらうことにしました。

 

おかげさまで、無事にスタックから抜け出す事ができました。

 

まさか自分の車がスタックするなどとは考えてもいませんでした。

危機管理がたりないなあ~と反省しきりでした。

 

しかし、周りの家も遠かったので、誰も気付かないないだろうなと思っていたら、思いがけず助けに来てくださり正直驚きました。

家からちらっと見えただけだと思うのですが、すぐに助けに来てくださったお二人には感謝しかありません。

しかもトラクターまで出してくださるとは。

 

人の優しさに触れ、心が暖かくなった1日でした。

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