東大ラボツアー報告

12月11日~12日にかけて東京大学 柏キャンパスに「東大ラボツアー」の名の下、泉ヶ丘の 1年生 20名が行ってきました。今回のツアーは、生徒たちが最先端の研究に触れることで「もっと知りたい!」という探究心を育てること、そして困難に粘り強く挑戦するレジリエンスを身につけることを目的に行いました。大学進学をゴールではなく通過点と捉え、学び続けた成果を社会に還元していく意欲を育むことも大きな狙いです。とにかく「ワクワク」が止まらない知的探究のツアーになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【1日目】
まずは東京大学の先生方による特別講義を受けました。
講義1「ナノ世界を可視化する放射線科学」雨宮慶幸 名誉教授
放射光の仕組みノーベル賞研究の紹介を通じて、宇宙の研究と素粒子の研究がつながる壮大なスケールを学びました。先生からは「知的好奇心を満たしてほしい」「心を磨き、自分の良さを生かしてほしい」という熱いメッセージもいただき、生徒たちは大きな刺激を受けました。
講義2「脳のシミュレーション ~人間のように考える人工知能を目指して~」小林亮太 准教授
中学校で習う数学を使った機械学習の基礎から、脳を数理モデル化する研究までをわかりやすく解説していただきました。講義後には「AIじゃんけんマシン」に挑戦するゲームもあり、会場は大盛り上がり! 生徒たちは楽しみながらAIの仕組みを体験的に理解しました。最後には泉ヶ丘高校の校歌を披露し、先生方から「まっすぐな歌声に元気をもらった」とのお言葉をいただきました。

 

座談会 脇参議院議員、雨宮名誉教授、迫園在京義友会

雨宮教授にもお越しいただき、本校OBである脇参議院議員に、都城・宮崎・日本のこれからについて広い視野から語ってもらいました。迫園氏からは、宮崎の偉人であるビタミンの父・高木兼寛の話を伺いました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2日目】
翌日は研究所を巡るツアー体験型ワークショップが行われました。
午前中は、原子や分子レベルで物質の性質を探る物性研究所を見学しました。
低温液化室ではMRIやリニアモーターカーに使われる超伝導現象など、身近な技術と最先端研究のつながりを学びました。また、液体ヘリウムや液体窒素の管理を見学し、資源を再利用する重要性を理解しました。
国際超強磁場科学研究施設では世界最高レベルの磁場を作り出す装置を見学。強磁場によって物質に新しい状態が生まれることを知り、極限環境での研究に驚きました。
極限コヒーレント光科学研究センターでは「太陽より強い光を作り出す超短パルスレーザーの技術を紹介していただきました。電子の動きを観測する最先端研究に触れ、高校で学ぶ物理や化学が未来につながることを実感しました。
午後は、宇宙線研究所でワークショップ。「重力波望遠鏡を組み立て、音楽を聴こう!」というユニークな体験をしました。光の干渉を使って鏡の振動を音楽に変えるデモを通じて、重力波観測の仕組みを楽しく理解。さらに、宇宙線研究所が世界で唯一「重力波・光・粒子」など複数の方法で宇宙の謎に挑んでいることを学びました。2016年の重力波初検出が新しい宇宙の扉を開いたことや、暗黒物質などの最先端テーマについても理解を深めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成果と今後の展望
このツアーを通じて、生徒たちは「自分の探究活動が大学や社会につながっている」という実感を得ました。雨宮先生の「知的好奇心を大切にという言葉や、研究現場で目にした極限技術(絶対零度、超強磁場、超短パルスレーザー、重力波観測)は、生徒たちの視野を大きく広げました。今回の経験は、困難に挑む力を育てるだけでなく、「学び続け、社会に貢献する意欲」を形にしていく大きな一歩となったことでしょう。今後も学校での探究活動にこの体験を活かし、生徒一人ひとりが未来に向けて成長していくことを期待します。