生徒の皆さん、2学期は充実した学校生活を過ごせたでしょうか。
2学期始業式では、体育祭や文化祭などの学校行事や新人大会等の各種大会に精一杯頑張って欲しいと言いました。先ほど、多くの生徒の活躍を表彰しましたが、特に日本学校農業クラブ全国大会における農業鑑定競技会において最優秀賞を獲得した山﨑さんの表彰は格別なものでした。そして、生徒諸君の学校行事に取り組む姿勢や迫力に感動した2学期でもありました。また、就職試験・進学試験にはしっかりと準備をして臨むように話しましたが、内定・合格が現在のところ95%で、あとは結果待ちとなっています。2年生も年が明けるといよいよ進路実現に向けた取組が始まりますので、しっかりと準備をして欲しいと思っています。
今日は、校長先生のことについて少しお話ししたいと思います。現在、見てのとおり松葉杖を突いておりますが、膝を捻ってしまいました。傷病名から言うと変形性膝関節症。ラグビーの後遺症からくるスポーツ障害で膝関節の変形速度はかなり速く、治療方法は人工関節置換法しかないと診断されているところです。校長先生から部活動をしている生徒へ一言。無理はいいけど無茶はしないほうがいいと思います。今58歳ですが、人生80年とすれば、余命はあと22年です。1年1年、1日1日、1分1分を大切に生きなければならないと痛感しているところです。時間は命です。
次に、「自分の生い立ちと性格等」について少しお話します。
父は身体障害者、82歳で他界しています。家庭は非常に貧しく、幼少の頃はカラーテレビもなく、お米がないときには唐芋を食べて生活していました。そして、兄との死別。不良少年だった兄と障害者だった父との取っ組み合いには衝撃を受けました。当時中学生だった私は、「これでも学校に行かなくてはいけないのか」と心中穏やかではありませんでした。交通事故による突然の死。とにかく、「今に見てろ!」という心境でした。決して友達は多くありません。ただ、一人で居れる力はあります。
不安や弱さは誰しも持っています。当然、私も持っています。それを自己認識・自己開示できるかが大事だと思っています。そして、私はそれができる性格です。何が言いたいかというと強く生きることも当然必要です。しかしながら、自分の弱さを自己認識できることも強さの一つではないかと思います。我慢することも大事ですが、自分の気持ちに蓋をするだけでなく、「泣ける場所がある」、「怒る場所がある」、「相談できる人が居る」、このことも生きていく上では非常に大切なことだと思います。
私は、父が死ぬ前に人生80年生きてきた感想を聞いてみました。すると、父は「80年はあっという間だった」と言いました。そして、「争いはいかん」、「みんな仲良く」と言い残して亡くなりました。80年生きてきた人にしか分からない心境を聞くことができ、感謝の気持ちでいっぱいでした。皆さんも、両親をはじめとする家族の教えにはしっかりと耳を傾けて欲しいと思っています。
最後になりますが、冬休みを元気に過ごし、新年を迎えるにあたり、新たな目標を立てて3学期を迎えて欲しいと思います。
先ほど、第13期生徒会の解任式及び第14期生徒会の任命式が行われました。松井諒介会長他13期生徒会の皆さん、本校の自治活動の中心として活動していただき、ありがとうございました。また、新たに任命された第14期生徒会の皆さんにおかれましては、甲斐心和会長を中心に日南振徳高校の更なる発展を目指して精一杯頑張って欲しいと思います。
皆さん、今日から2学期です。この1ヶ月、充実した夏休みが過ごせたでしょうか。1学期終業式では、「命を大切にしましょう。」とお話しましたが、こうして皆さんと元気に再会でき大変うれしく思います。
さて、2学期は、体育大会や文化祭など様々な行事が催されます。部活動も1・2年生が中心となって新人大会等が行われます。勉強も大切ですが、二度と戻らない青春時代を大いに謳歌して欲しいと思います。
また、3年生にとっては人生の節目と言える就職試験・進学試験が待ち受けています。後悔することなく、しっかりと準備をして、自分の持っている力を出し切って欲しいと思います。皆さんの2学期の活躍を大いに期待しています。
ところで、夏の甲子園大会では慶応高校と仙台育英高校が決勝戦を戦いましたが、この2校は全員が正選手で補欠がいませんでした。相手の投手やその時の戦法によってスターティングメンバーを変えたり、戦況によってメンバーを入れ替えるなど、アルプススタンドの部員も含め選手全員で戦っていた印象を受けました。もう一つは、監督のサインが絶対ではないと言うこと。状況によっては、監督のサインを無視し自分で判断したプレーを選択するところに、選手の主体性が生かされているチームだと感じました。また、それを許容する監督の器の大きさを見ることができました。主体性をもつことは、これからの社会を生きる上において大変重要なことだと思います。生徒の皆さんも失敗を恐れず、自信を持って生活して欲しいと思います。
最後に、校長先生が先輩の先生からいただいた言葉を紹介して始業式の挨拶といたします。
「再び帰らぬ時なれば、このひとときに命燃やさん」
今回、1学期終業式が新型コロナウイルスの感染防止対策のため、1日早いオンラインでの終業式となりましたが、ご理解いただきたいと思います。7月20日に予定しておりましたクラスマッチについては、2学期に延期することとなりましたのでお知らせしておきます。
さて、先ほど全国大会に出場する部活動の壮行式を行いましたが、1学期には、部活動をはじめとする色々な活躍がありました。運動部では、ヨット部、バレーボール部、レスリング部、野球部、文化部では、ワープロ部、コンピュータ部、吹奏楽部、各学科においては、ものづくりコンテスト電気工事部門、農業クラブ連盟大会等、多くの生徒が活躍しました。全国大会へ出場する部活動については、さらなる活躍を期待しているところです。
さて、校長先生が1学期の始業式で3つのことを話しましたが、覚えているでしょうか?
一つめは、「やればできる」という話をしました。自分でできないと思えば100%できなくなります。あきらめないことで、夢に近づくと言う話をしたと思います。
二つめは、「優しさと思いやりが大切」という話をしました。「情けは人の為ならず」という言葉があります。この諺は、「情けをかけてはその人のためにはならない。」という意味ではあ りません。その反対で、人に対して情けをかければ、巡り巡って自分に恩恵 ががくるという意味で、人には常に優しく親切にしたほうがいいということです。いじめや、SNSでの誹謗中傷はもってのほかという話をしました。
三つめは、「具体的な目標を決めましょう」という話をしました「夢なき者に理想なし」、「理想なき者に計画なし」、「計画なき者に実行なし」、「実行なき者に成功なし」と幕末の藩士 吉田松陰は言いました。目標を決めることで、今やらなければならないことが明確になると言う話をしたと思います。皆さんは、いくつ実践できたでしょうか。ひとつでも多く実践できるように意識しながら生活して欲しいと思います。
それでは、終業式にあたりあと2つお話しします。
皆さんも知っている「振徳堂」。約190年前に、飫肥藩主の命令で開設された学校です。安井滄洲やその息子・安井息軒が先生となり、明治の外交官・小村寿太郎を輩出しました。その安井息軒は、三計と言って「一日の計は朝にあり。一年の計は春(元旦)にあり。一生の計は少壮にあり。」という言葉を残しました。一生の計は少壮にあり。(若い10代、20代にあると言っています)そうです。自分のキャリアプランを考えるのは今なんです。3年生はもちろんのこと、1年生、2年生も、自分の将来を考えることは、早ければ早いほうが良いと思います。この夏、自分の将来を考える「充実した夏休み」にして欲しいと思います。
最後に、いのちを大切にすること。私たちのいのちは、病気、事故、事件、いじめ等、いろんな形で奪われる可能性があります。自分の命、他人の命、生ある全てのものに感謝し尊重し、日々生活して欲しいと思います。
暑い夏が続きますが、健康に気をつけて充実した夏休みを送ってください。元気な姿で、始業式に再開できることを楽しみにしています。
今日は、自分のキャリアを踏まえながら4つの話をしたいと思います。
一つめは、「やればできる」ということ。私は小さい頃から勉強が苦手で、小学校の時は勉強がでまったくできませんでした。しかしながら、兄の死やラグビーとの出会いによって少しずつ考え方に変化が現れるようになりました。負けず嫌いだったということも影響しているかもしれません。「できない」ではなく「できる」という考えを持ち、逆算して今何ができるのかという発想が大切かもしれません。
二つめは、優しさと思いやりが大切だということ。中国の孔子という人は、この世で一番大切なのは「恕」だと言っています。恕とは、優しさや思いやりのことであり、いじめはもってのほか。携帯電話の時代でメールなどで相手に配慮を欠く行為など、冗談のつもりでも相手は傷ついているケースは意外と多いと思います。隣の友だちは笑っているけど、心では泣いているかもしれない。そういうことに気づく生徒になってほしいと思います。右も左もわからない1年生が入学してきますが、上級生として優しさや思いやりをもって新入生を迎えてほしいと思います。
三つめは、具体的な目標を決めてほしいと思います。例えば、「就職先を1か月以内に決める」とか「中間テストで5番内に入る」、「総体で優勝してインターハイに行く」等、具体的な目標を決めることで、今何をしなければならないかが明確になってくると思います。
四つめは、成人になっている生徒は投票に行きましょう。社会の担い手であるという意識を持って積極的に社会に参画してほしいと思います。
令和5年度を迎えるにあたり、皆さんとこうして出会えたことを光栄に思っています。1年間、共に頑張っていきましょう。
満開の桜もいつしか新緑となり、吹き抜ける爽やかな春風に生命の息吹を感じるこの佳き日に、PTA会長・副会長、日南市立中学校長の皆様の御臨席のもと、第15回入学式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びであります。
入学を許可されました165名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは名実ともに、この宮崎県立日南振徳高等学校の生徒となりました。その晴れ晴れとした気持ちを大切にしながら3年間の高校生活を送ってほしいと思います。また、お子様の成長を見守り励まされ、この日を楽しみにして来られた保護者の皆様方にも、本校職員を代表いたしまして、心よりお祝いを申し上げます。
過去3年、新型コロナウイルスにより世界が一変し、私たちの生活様式も大きく変わりしました。しかし、昨年度は感染防止対策を図りながら、ほぼ全ての学校行事を実施してまいりました。本年度も感染対策に取り組みながら、心待ちにしている高校生活をしっかりとサポートしていきたいと考えております。
さて、本校は県南地区において農業・工業・商業・福祉に関する専門教育を担ってきた3つの高校を統合・再編した総合制専門高校です。飫肥藩の藩校「振徳堂」の精神を教育理念として受け継ぐとともに、「人の人たる道の修業に努め、広く社会に貢献し、心豊かで思いやりのある生徒の育成を目指す学校であれ」という県民からの期待を背負い、今年で15年目を迎えました。かつて、「振徳堂」で学んだ若者たちが読んでいたとされる書物のうちの「論語」、「礼記」、「孟子」から引用した校訓、「潔己・至道・振徳」の下で学んだ卒業生は2,300名を超え、県内外において産業を支える人材として幅広い職種・業種で活躍しています。
本校は産業現場で活躍するために必要な知識や技術・技能を身に付けさせる教育に力を入れています。しかしながら、社会に出て仕事をするためには、知識や技術・技能だけではなく、周囲に対する思いやりやコミュニケーション力も大切です。変化の著しい現代社会は正解のない課題が山積しています。その解決には、様々な情報を集積し比較し、他者と議論を交わすことが必要となりますので、学校行事や部活動等にも積極的に参加し、集団生活に相応しい言動を身につけてほしいと思います。もちろん、複数の目標を持つと大変忙しくなりますが、個人には受け入れる量に差がありますので、他人と比較せずに自分のペースで取り組むとよいでしょう。調子が良いときは喜びすぎず、調子が悪いときは落ち込みすぎず、「ゆらがずとらわれない」ことが大切です。この状態をスポーツ界ではフロー状態と言います。
昨年、2年連続で沢村賞を獲得したオリックスバファローズの山本由伸投手は、皆さんも知っているように日本球界を代表するエースピッチャーです。彼は、どんなときもイライラはしないそうです。「うまくいかない自分にイライラするのは、それをやっていない自分が悪いだけ。」と言っています。山本投手のパフォーマンスを支える要因は、成功に向けた周到な準備と味方がエラーしても「ゆらがない心」だということです。皆さんも、物事に一喜一憂せず、自分の果たすべき役割をしっかりと果たせる生徒になってほしいと思います。そして、努力を惜しまず大人に感動を与えられる生徒になってほしいと願っています。
最後になりましたが、ここにいる生徒たちは、将来の日本を支える宝です。私たち教職員は、165名の新入生を責任を持って育ててまいります。ご家庭におかれましては、ぜひとも本校の教育方針をご理解いただきますとともに、これからの社会を担う貴重な人材として育てていくため、学校と連携しながらご協力を賜りますようお願い申し上げます。新入生一人ひとりの進路実現に向け、3年後に、成長した姿で社会に送り出すことをお約束し、式辞といたします。
令和5年4月10日
宮崎県立日南振徳高等学校
校長 若林 繁幸