部活動

2016年4月の記事一覧

鶏卵

昨年度は九州大会ですべての試合が終わりましたが、3日には高原中に呼んでいただいて、今年度初めての練習試合に参加しました。参加校は、高原中・日向学院中・本郷中の4校でした。この時期はとても忙しい時期であると同時に、2年生と3年生の間、1年生と2年生の間ということで、意識の違いがプレーに現れる一日となりました。

開始式で、本郷中のB先生から、部活で考えていくと、新チーム結成・新年・年度初めの3つの変わる時期があり、そこで大切になるのがコミュニケーション力であるという話がありました。まさに榎原中でもそのことをずっといい続けていることなので、とてもありがたいお話でした。
 
 これまでたくさんの悔しい思いをしたり、宮崎県代表として九州大会を経験させていただいたりしましたが、年度が変わり、8人の意識がどのように変化しているのか。そんなことを期待しながら始まった午前の部は、久しぶりに見る最悪な状況でした。何をやってもうまくいかず、すべてが弱気なプレーで練習してきたことや指示したことはできず、ひたすら個人バレーをやっていました。雰囲気もどんどん暗くなっていき、結果も高原中に2敗、日向学院中に1敗、本郷中に2敗の全敗でした。あまりにもひどい状態だったので、午前の終わりに、その一番の原因であるセッターを久しぶりに叱咤しました。
 キャプテンとエースが万全ではない現在の榎原中は、それ以外の6名がミスをいかになくす、そしてどうやって攻めるのかが重要になってきます。その中で最も必要なことがまさにこのコミュニケーションなのです。そしてその中心となるのがチームのすべてのボールをつなぐ要であるセッターです。

セッターの⑦は、身長はありませんが、運動能力が高く、とても真面目です。常にボールを追い続けないといけないセッターには大切な能力で、中学校からセッターを始めたにもかかわらず、3か月程度で榎原中の複雑なトスをしっかりと上げる技術を身につけました。その後、ブロックやサーブ、レシーブなどもどんどん成長していったのですが、肝心なゲームコントロールについてはずっと停滞しています。これだけ技術が身につけば、いろいろと余裕も出てくるはずなのですが、なかなか積極的なトス回しをすることができません。前述のように、心技体のうち、技術と運動能力はあるのですが、セッターはそれだけでは務まりません。むしろこの心が一番大切なのです。

⑦は学校でも、学習はもちろんのこと、すべてのことに一生懸命取り組むことができます。そしてその彼に足りないことを教えてくれているのがバレーボールです。先日読んだ全日本女子監督の真鍋監督の本(チームのスイッチを入れる。カリスマじゃなくてもできる組織を変える55の戦略)の中に、セッターに必要なことは観察力と洞察力だと書いてありました。また、全日本女子セッターの中道さんはセッターについて、以下のように言っていました。

 セッターはコートの中では監督的な役割も担う責任のあるポジションですから、やりがいはあります。セッターとして不可欠なのは、メンタル面の強さ。基本的な技術はもちろんですが、相手の裏をかかなければならないので、正直すぎてもダメ(笑)。心の強さが不可欠だと思っています。でも、東レに入って「感情表現しないとスパイカーに気持ちが伝わらない」と教えられたので、今はかなり“熱い人間”になったと思います(笑)。
 ※“一流選手が教える女子バレーボール”より引用

 ⑦の雰囲気が榎原中の雰囲気なので、少なくともコートの中では自分を変えて、セッターというポジションにプライドをもってチームを引っ張ってほしいと思います。

 というわけで、午前中は全敗でどうなることかと思った午後でしたが、午後からは伝えるべき事はすべて午前中に伝えたので、自分たちでしっかりやるように伝えました。するとようやく雰囲気もよくなり、すべてのセットで試合を作ることができました。結果も、高原中に1勝1敗、日向学院中に2勝、本郷中に1勝1敗でした。

そして練習試合の最後に全体で話をさせていただく場を頂いたので、次のような話をしました。


 鶏が先か、卵が先か(この意味についてはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B6%8F%E3%81%8C%E5%85%88%E3%81%8B%E3%80%81%E5%8D%B5%E3%81%8C%E5%85%88%E3%81%8B参照)

 
この言葉を今日の榎原中に置き換えて、雰囲気がよいから結果(内容)がよいのか、結果(内容)がよいから雰囲気がよいのか。後者の場合は、次には一切つながらない、その場限りの、ラッキーみたいなものです。しかし前者であった場合は、たとえそれがどんな結果になろうとも、次につなげることができます。特に中学生は、チームの雰囲気で勝敗が決まることが多くあります。良い雰囲気とは、ただ決まり切ったことを大きな声で言うのではなく、自分の思いや気持ちのこもった言葉が飛び交うよう、コミュニケーションがしっかりととれている状態のことをいいます。ぜひ毎日雰囲気のよい練習をしてください。

この日集まった4チームは県のトップを目指せるチームだと思います。ぜひ夏の大会で対戦することを願っています。

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