2015年7月の記事一覧
自主性を育てるには
昨日(9日)はKIRISHIMAツワブキ武道館で行われたスポーツ指導者グローアップ事業に参加させていただきました。今年は、木村沙織選手や荒木絵里香選手、大山加奈選手などたくさんの全日本代表選手を輩出している、東京都下北沢成徳高等学校女子バレーボール部監督の小川良樹先生を講師としてお迎えしての講演でした。
講演の演題は「将来を見据え、自主性を尊重した指導法」で、小川先生の経験に基づいた体験談が主な内容でした。小川先生はこの「自主性」について、“勝ちたい、日本一になりたい、うまくなりたいという気持ちから自然と出てくる”とおしゃっていました。また、“指導法や信念として特に意識していることはなく、毎日これで正しいのかと迷いながら指導を続けている。”とのことでした。
小川先生は、中学生の頃からバレーボールをプレーすることよりも、むしろ監督目線でバレーボールを見ることのほうに興味があり、様々な練習を見学し、たくさんの本などで得た名監督の考え方などを元に練習メニューをずっと考えていたそうです。そして19歳で成徳学園(現下北沢成徳高等学校)のコーチになり、27歳で監督に就任しますが、はじめの頃は、熱意は誰にも負けない、自分が勝ちたい、自分があこがれる指導者に追いつきたいというような、いわゆる熱い指導をされていたそうです。
しかし、32才のときに、ある中学バレーの監督に言われた一言がきっかけとなり、他の強豪校に勝つには同じような指導をしていても勝てないと考え、それまでの指導者主導のやり方から選手主導のやり方に変えていったそうです。その間、苦しみながら我慢の指導を続けた結果、その2年後にインターハイで優勝し、2002年には高校3冠達成、2013年には春高バレー優勝など輝かしい成績を残しています。
この経験から、どうやったら選手が意欲的に取り組めるメニューを組めるかが一番の自分の役割となり、選手の気持ちや状況を考えるとともに、練習メニューの意図をしっかりと伝えるようにしているそうです。そうやって考え抜かれた練習メニューは、ボールを使った練習はもちろんですが、走り込みや筋力トレーニング、そして体幹トレーニングと多岐にわたっています。そのすべてでしっかりと記録を取ることで、自分を追い込んだり、自分の成長を感じることができるようにしているとのことです。
最後には自身の苦い経験なども踏まえながら、“勝つことは当然の目標ではあるけれども、チームの目的としては、チームのメンバーがチームの一員であることが楽しい、安心感がある、一緒にバレーをしている時間が幸せ(やりがいがある)ことが最も望ましい。罰から逃れるためや褒められるためというような外部からの刺激ではなく、自分で自分のスイッチを入れることが大切だ。そしてそのためには、当然時間がかかる。指導というものは待たないとだめだ。”とおしゃっていました。途中あったVTRの中でも、木村選手が「自分で考えなきゃ強くなれないということを小川先生に教えてもらった」と述べていました。
生で拝見した小川先生は、話し方もとても穏やかでユーモアもあり、テレビで見た感じよりもっと温かく、服装がとてもおしゃれだったということが印象に残っています。本などで先生の考えを知りとても感銘を受けていたので、今回は本当に貴重な経験となりました。
榎原中の選手達は毎日一生懸命頑張っています。私も彼らと同じ榎原中学校男子バレーボール部の一員として、指導者として少しでもレベルアップして、彼らと一緒にチームを成長させていきたいと改めて感じました。小川先生、本当にありがとうございました。
講演の演題は「将来を見据え、自主性を尊重した指導法」で、小川先生の経験に基づいた体験談が主な内容でした。小川先生はこの「自主性」について、“勝ちたい、日本一になりたい、うまくなりたいという気持ちから自然と出てくる”とおしゃっていました。また、“指導法や信念として特に意識していることはなく、毎日これで正しいのかと迷いながら指導を続けている。”とのことでした。
小川先生は、中学生の頃からバレーボールをプレーすることよりも、むしろ監督目線でバレーボールを見ることのほうに興味があり、様々な練習を見学し、たくさんの本などで得た名監督の考え方などを元に練習メニューをずっと考えていたそうです。そして19歳で成徳学園(現下北沢成徳高等学校)のコーチになり、27歳で監督に就任しますが、はじめの頃は、熱意は誰にも負けない、自分が勝ちたい、自分があこがれる指導者に追いつきたいというような、いわゆる熱い指導をされていたそうです。
しかし、32才のときに、ある中学バレーの監督に言われた一言がきっかけとなり、他の強豪校に勝つには同じような指導をしていても勝てないと考え、それまでの指導者主導のやり方から選手主導のやり方に変えていったそうです。その間、苦しみながら我慢の指導を続けた結果、その2年後にインターハイで優勝し、2002年には高校3冠達成、2013年には春高バレー優勝など輝かしい成績を残しています。
この経験から、どうやったら選手が意欲的に取り組めるメニューを組めるかが一番の自分の役割となり、選手の気持ちや状況を考えるとともに、練習メニューの意図をしっかりと伝えるようにしているそうです。そうやって考え抜かれた練習メニューは、ボールを使った練習はもちろんですが、走り込みや筋力トレーニング、そして体幹トレーニングと多岐にわたっています。そのすべてでしっかりと記録を取ることで、自分を追い込んだり、自分の成長を感じることができるようにしているとのことです。
最後には自身の苦い経験なども踏まえながら、“勝つことは当然の目標ではあるけれども、チームの目的としては、チームのメンバーがチームの一員であることが楽しい、安心感がある、一緒にバレーをしている時間が幸せ(やりがいがある)ことが最も望ましい。罰から逃れるためや褒められるためというような外部からの刺激ではなく、自分で自分のスイッチを入れることが大切だ。そしてそのためには、当然時間がかかる。指導というものは待たないとだめだ。”とおしゃっていました。途中あったVTRの中でも、木村選手が「自分で考えなきゃ強くなれないということを小川先生に教えてもらった」と述べていました。
生で拝見した小川先生は、話し方もとても穏やかでユーモアもあり、テレビで見た感じよりもっと温かく、服装がとてもおしゃれだったということが印象に残っています。本などで先生の考えを知りとても感銘を受けていたので、今回は本当に貴重な経験となりました。
榎原中の選手達は毎日一生懸命頑張っています。私も彼らと同じ榎原中学校男子バレーボール部の一員として、指導者として少しでもレベルアップして、彼らと一緒にチームを成長させていきたいと改めて感じました。小川先生、本当にありがとうございました。
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初心忘るべからず
先週末は土曜日は授業日で練習をし、日曜日は福島中のO先生に無理を言って、新チームを結成してまだフォーメーションも定まっていない中での練習試合をお願いしました。福島中には怪我人もいましたので、エースを前に固定して全9セット行いましたが、結果は9勝0敗でした。
この日のテーマは、裏ローテーに経験を積ませることと、エースに頼らないバレーをすることでした。当然すべてのセットを裏ローテでスタートしたのですが、朝からいまいち覇気がなく、それなりに練習している感じでした。途中集めて何度か話をしましたが、自分たちでは一生懸命やっているつもりらしく、その後もそれほど変化もなく、試合に臨みました。
最初の7セットは15点マッチで行ったのですが、1セット目は6-9、2セット目に至っては6-12からなんとか逆転勝ちと、危惧していたとおり最悪の出だしでした。逆転できたのもたまたまサーブがはしったからで、2セット目に至っては、相手の得点14点のうち、11点がサーブミスやスパイクミス、サーブキャッチミスなどの自分たちの完全なミスで与えた得点でした。つまり相手はコートの向こう側ではなく、コートのこちら側にいたのです。
今、懸命に県大会で対戦するチームの分析をし、なんとか持てる力で互角に勝負できる作戦を練っているところです。しかし、敵が相手ではなく自分たちにいる現在の状況では、何をやっても無駄になります。何度このような状況を打開するように自分たちで考えてプレーしなさいと伝えてきたか分かりません。しかし、キャプテンもエースも、チームの雰囲気をコントロールすることがいまだにできません。このようなことができないチームは、いくらバレーが上手くても、練習試合で勝てていても、本番では力を出せずに終わってしまいます。
こうして少し話をした次のセットからは15-2、15-7、15-6と取ることができました。しかし雰囲気がまた下がってきたので、3年生を外して試合をしたところ、15-9で勝利しました。その試合が終わった後に3年生に何が違うかと聞いてみると、雰囲気が違うという答えでした。しかしなぜ雰囲気が違うのかたずねると、声や喜び方などありきたりな答えを言うのみで、自分たちでも分かっていないようでした。しかしその答えこそがプラスエネルギーの源なのです。
そのプラスエネルギーの元となる一番大切なこととは、“バレーボールを楽しむ”という気持ちです。先ほどの試合で、今までサーブ以外は試合に出たことのない1年生が初めて試合に出場しました。その喜びとプレッシャーを感じながらバレーをすることの楽しさ、試合に出ることの喜びを感じ、その感情をただ表現しただけなのだと思います。
なんのためにバレーをしているのか、勝つためなのか、監督に怒られないためなのか。そうではなく、バレーボールが好きだから、楽しいから厳しい練習にも前向きに取り組むことができるのではないでしょうか。
“初心忘るべからず”。もう一度原点に戻って、どんな状況であれ、バレーボールを楽しむ気持ち、バレーボールを好きだという気持ちを忘れずに、残り18日間を過ごしてほしいと思います。
この日のテーマは、裏ローテーに経験を積ませることと、エースに頼らないバレーをすることでした。当然すべてのセットを裏ローテでスタートしたのですが、朝からいまいち覇気がなく、それなりに練習している感じでした。途中集めて何度か話をしましたが、自分たちでは一生懸命やっているつもりらしく、その後もそれほど変化もなく、試合に臨みました。
最初の7セットは15点マッチで行ったのですが、1セット目は6-9、2セット目に至っては6-12からなんとか逆転勝ちと、危惧していたとおり最悪の出だしでした。逆転できたのもたまたまサーブがはしったからで、2セット目に至っては、相手の得点14点のうち、11点がサーブミスやスパイクミス、サーブキャッチミスなどの自分たちの完全なミスで与えた得点でした。つまり相手はコートの向こう側ではなく、コートのこちら側にいたのです。
今、懸命に県大会で対戦するチームの分析をし、なんとか持てる力で互角に勝負できる作戦を練っているところです。しかし、敵が相手ではなく自分たちにいる現在の状況では、何をやっても無駄になります。何度このような状況を打開するように自分たちで考えてプレーしなさいと伝えてきたか分かりません。しかし、キャプテンもエースも、チームの雰囲気をコントロールすることがいまだにできません。このようなことができないチームは、いくらバレーが上手くても、練習試合で勝てていても、本番では力を出せずに終わってしまいます。
こうして少し話をした次のセットからは15-2、15-7、15-6と取ることができました。しかし雰囲気がまた下がってきたので、3年生を外して試合をしたところ、15-9で勝利しました。その試合が終わった後に3年生に何が違うかと聞いてみると、雰囲気が違うという答えでした。しかしなぜ雰囲気が違うのかたずねると、声や喜び方などありきたりな答えを言うのみで、自分たちでも分かっていないようでした。しかしその答えこそがプラスエネルギーの源なのです。
そのプラスエネルギーの元となる一番大切なこととは、“バレーボールを楽しむ”という気持ちです。先ほどの試合で、今までサーブ以外は試合に出たことのない1年生が初めて試合に出場しました。その喜びとプレッシャーを感じながらバレーをすることの楽しさ、試合に出ることの喜びを感じ、その感情をただ表現しただけなのだと思います。
なんのためにバレーをしているのか、勝つためなのか、監督に怒られないためなのか。そうではなく、バレーボールが好きだから、楽しいから厳しい練習にも前向きに取り組むことができるのではないでしょうか。
“初心忘るべからず”。もう一度原点に戻って、どんな状況であれ、バレーボールを楽しむ気持ち、バレーボールを好きだという気持ちを忘れずに、残り18日間を過ごしてほしいと思います。
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