2015年5月の記事一覧
思いやり(心を繋ぐ)
中体連地区大会まであと10日をきりましたが、先週から今週にかけて体調不良や怪我人が多く、まったく練習を計画通りに進めることができませんでした。そんな中、昨日は久しぶりに全員がそろい、週末の熊本遠征に向けての最終チェックをしました。
私は体育館にいると逐一修正をしてしまいます。その結果、自分たちで考えさせることができていないという反省から、最近は体育館の外からじっと眺めている時間が多くなっています。しかし、外から見ていると、相変わらず一生懸命に個人個人が頑張っているだけで、チームとしてみんなで協力してより良くしようとする姿勢が見えず、ただ練習のための練習になっています。
榎原中の問題点は、①試合の入り、②試合の終わり、③連続失点しているとき、④点差が離れて余裕があるときにあります。もちろん技術的な部分もありますが、精神的な面から言うと、①・②については、プレッシャーに負けたり、気合いが入りすぎて冷静になれていなかったりしている、③についてはあわててしまったりびびってしまったりしている、④は気持ちが緩んでしまっているということが考えられます。つまり集中力がないということです。私は常に心は熱く頭は冷静にと伝えていますが、それぞれが自分のことだけを考えているので、相手や自分達を含めた全体の状況を読む力というか意識が足りないのです。
ではどうすればこのような力や意識を身につけることができるかというと、結局大切なことは、人を思いやるということだと思います。レシーバーはセッターのために、セッターはスパイカーのために、スパイカーはブロッカーのために、ブロッカーはレシーバーのために、少しでも次の人ために、チームのためにいう気持ちが繋がっていれば、どんな状況であれボールは繋がってベストのプレーができると思います。たとえミスをしたとしても、その後のカバーや声などでチームのためにできることをやっていけば、チームとしての雰囲気は悪くならないはずです。一方で、何の意識もせずたまたまいいボールがつながったとしても、それは偶然であって、そのボールに気持ちがこもっていないため、チームに流れを引き寄せられない、または次に同じプレーができるかというとそうではないということです。
バレーボールは、サーブで25点決める圧倒的な個の力が無い限り、一人の力だけで試合に勝つことはできません。仲間を信じ、自分を信じ、お互いのことを思いやり、気持ちを繋げてプレーすることで、コートにいる6人の力が2倍3倍にもなるはずです。このようなプレーができたときに、本校バレーボール部の目的である“部活動を通して人間力を高める”ことができ、ひいては目標である“全中に出場して旭川動物園に行く”ということも達成できると信じています。
技術的な面は今日明日でどうにかできるようにはなりませんが、精神的な面は心がけ一つですぐにでも変えることができます。今日は明日の遠征に向けて早く練習をきりあげますが、しっかりとした心の準備をしてほしいと思います。
長所は短所、短所は長所
23・24日の2日間は榎原地区体育館にたくさんのチームに来ていただいて練習試合を行いました。
23日(土)は、三股中・沖水中・木花中・福島中の4校に来ていただきましたが、三股中はエース、沖水中は裏エース、木花中はセッター、福島中は裏エースを欠き、どのチームも万全の状態とは言えない中での練習試合となりました。榎原中もキャプテンが前日まで熱発というコンディションで、午後には両足が痙攣し離脱するという中、三股中に1勝3敗、沖水中に3勝1敗、木花中に2勝1敗という結果でした。
この日は、三股中に12-13から16-25で敗れ、沖水中には19-8から23-17、木花中には22-13から23-19まで詰め寄られるなど、相変わらず勝負所で我慢しきれない、だめ押しができない精神的な弱さや甘さが出ていました。また技術的な面では、ブロックがいまいち機能していなく、マークについているのに間が空いたり、基準がずれたり、跳ぶのが遅くてワンタッチや吸い込みで点を取られています。今、ブロックの練習を強化しているところですが、日々の練習で強烈に意識して取り組んでほしいと思います。
24日(日)は、姫城中・妻ヶ丘中・宮崎西中・佐土原中・吾田中の5校に来ていただきましたが、この日も宮崎西中と吾田中はエースを怪我で欠いている状態で、榎原中も前日に右手親指の付け根を痛め病院に行った④の選手なしでの一日となりました。この日は、姫城中に0勝2敗、妻ヶ丘中に2勝0敗、宮崎西中に2勝0敗、佐土原中に0勝2敗という結果でした。
この日は試合直前に④が離脱したため、急遽フォーメーションを変更して練習試合に臨みましたが、姫城中や宮崎西中とデュースで競り合うなど、逆に集中してやれていました。しかし、前日と同じように、姫城中に17-19から18-25、佐土原中には8-25!や18-15から22-25で敗れ、妻ヶ丘中には20-9から22-19に詰め寄られるなど相変わらず不安定なゲームを続けています。特に佐土原中には、現在6連敗中とまったくゲームを作らせてもらえません。原因は、佐土原中の思い切ったサーブやスパイクに押されて(びびって)いることと、通常なら決まるスパイクやサーブも粘り強くレシーブしてくるので、拾われ続けているうちに集中力が切れてしまうということが考えられます。このようなチームを崩すためには、クイックを入れて時間差を使ったり、横の幅を広く使った攻撃をしたり、あるいは軟打を織り交ぜたりすることでレシーバーを前後左右にゆさぶるなど、頭を使ってプレーする必要があります。しかし、強打を打てばレシーバーの正面、軟打を打てばレシーバーの守備範囲内、クイックを使う勇気もないと、どうやって点を取ろうとしているが見えてこない状況です。ミドルブロッカーの④がいなかったのでクイックやブロックが厳しかったということもありますが、他のチームとはそれほど問題なくゲームを作れていたので、ゲームの流れを読む力や相手や自分たちの状況を把握する力、つまり考えてバレーをする力が足りないのだと思います。
というように、まだまだ課題ばかりが目立つチームですが、キャプテンの①とエースの⑤がずいぶん3年生らしくなってきた部分と、セッターのトスが少しずつ安定してきたことがプラスかなと思います。また、病院に行った④は、幸い骨折ではなかったということで一安心しました。彼は秋の県大会1週間前に捻挫、JA共催杯の3週間前に骨折、そして今回夏の地区大会2週間前に怪我と、大事なところで怪我をしています。彼は本当にバレーに対して一生懸命で誰よりも真面目に練習に取り組みますが、このような追い込みの時期に入ると、気持ちが入りすぎて、できないことや無理なことまで頑張ってしまい、結果怪我をしてしまっています。長所は短所で短所は長所です。個人としてもチームとしても、しっかりと自分の特徴を把握し、そのことを意識して生活することで、短所を補い、長所を生かすことができると思います。彼のその一生懸命な姿が、今回チームメイトに伝わっていれば、彼もチームも大きく成長することができるきっかけとなるはずです。
今週末は熊本県山鹿市で開催される第18回中原旗招待中学生バレーボール大会に出場させていただきます。この大会に参加するために、後援会をはじめ多くの方々に多大な協力を頂いています。感謝の気持ちをコート内外で表現してくれることを期待しています。
PDCAサイクル
経営学やマネジメント理論の中に、PDCAサイクルという考え方があります。このPDCAサイクルというのは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善するという手法の一つです。
1. Plan (計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
2. Do (実施・実行):計画に沿って業務を行う。
3. Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する。
4. Act (処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする。
近年ではあらゆる業界でも使われていますが、部活動における日々の練習をこのPDCAサイクルに当てはめると、
1. Plan :練習でどのようなことに課題意識をもって取り組むかを計画する(目標を立てる)。
2. Do :計画に沿って(目標を意識して)練習に取り組む。
3. Check:計画通りにできたか(目標を意識して取り組めたか)、計画(目標)に無理はなかったかを振り返る。
4. Act :振り返ったことを、どのように改善するのかを考えて、次の練習に反映させる。
また、大会を目標としたPDCAサイクルであれば、
1. Plan(計画):目標設定・現状分析・課題の確認・練習メニューの選択や方法、対戦相手の分析など
2. Do(実行):日々の練習
3. Check(評価):バレー日記・練習試合・ミーティング
4. Act(実行):各評価を踏まえての公式戦
といった流れを立てることができます。榎原中バレー部では、このようなPDCAサイクルを、バレーノートやミーティングを活用して行おうとしています。しかし、現在のところ、その内容はただの感想や同じ事ばかりで、本当に深く練習を振り返ったり、強い目的意識をもって練習に取り組んだりすることができていません。個人やチームをより良くしていこうとするのであれば、現状をしっかりと把握するために考える時間が増えるはずです。その結果、ノートや話し合いの内容が濃くなり、ひいては練習の質も高まってくるはずです。
東進ハイスクールの林修先生が、「努力は裏切らない」という言葉は不正解であって、説明が足りないと言っています。林修先生いわく、「正しい場所、正しい方向で、十分な量の努力をしたら努力は裏切らない」のだそうです。私もまさにその通りだと思います。
今週末は、榎原地区体育館に宮崎地区・都北地区・南那珂地区の強豪に来ていただいての練習試合となります。充実した2日間になるように、日々の練習の質を高め、しっかりとした準備をして練習試合に臨んでほしいと思います。
第35回霧島盆地中学校バレーボール優勝大会
予選リーグ 榎原中 2(25-17、25-16)0 庄内中
準々決勝 榎原中 0(20-25、22-25)2 姫城中
結果は準々決勝で姫城中にストレートで敗れ、ベスト8という結果でした。姫城中は準決勝も勝ち上がり、決勝では、九州ナンバーワンと言われている三股中と1(25-22、24-26、12-15)2と互角に勝負するなど素晴らしいチームです。しかし、県のベスト4、そしてその先の九州・全国と進む道の中では絶対に倒さなければならない相手です。1週間前の練習試合では3勝2敗でしたが、公式戦では大きく力の差を感じる敗戦となりました。
今大会ベスト4に残ったチームのうち、姫城中と沖水中は、180cm近いいわゆるスーパーエースと、その裏エースがしっかりとオープントスを強く打ち抜きます。また、身長が平均的に高く、ブロックもしっかりと機能しています。その結果、少々レシーブやトスが乱れても流れを崩さず安定した試合展開をすることができます。
一方、三股中と三松中は、正確なレシーブとセッターの早いトス回しからのコンビ攻撃を得意とするチームです。レシーブをしっかりとセッターに入れて早い攻撃をすることで、相手のブロックをかいくぐることができます。また、強力な相手エースのスパイクにも、粘りのレシーブをすることで安定した試合展開をしています。
この4チームを見ても分かるように、夏を勝ち抜くためのポイントは、1つめはやはりブロックとハイセットだということです。スーパーエースを要していたり、エースをしっかりとレフトで使えるメンバーのそろったチームはやはり安定しています。2つめは、どんな状況でもコンビで攻めていくということです。レセプションはもちろんのこと、トランジションからもクイックを中心とした早いバレーを展開するだけの高いレシーブ力とセッターの力が必要になってきます。
私はいつも“強さとは安定だ”と言っています。安定して力を出すことができるチームが強く、そして勝つのだと思います。そのためにはこの代の榎原中バレー部がどういう方向で安定感を高めて行くのか。基本的には170cm超えの選手が1人もいない榎原中は、おのずと生き残る道が決まってきます。11名全員が約束事を「守」るためにいろいろなことに「気付き」、11名全員が殻を「破」るために「考えて」、そしてそれを「実行する」ことができたときに、初めて監督の手を「離」れて本当の意味でのチームになれるはずです。
今日からしっかりと修正して、週末の練習試合に備えてくれることを期待しています。
「守・破・離」
この「守・破・離」という言葉は、物事を習得する段階を3つにわけたもので、私の前任校男子バレーボール部の横断幕に書かれていた言葉です。もともとは江戸時代に川上不白が著した「不白筆記」で、茶道の修行段階の教えとして紹介されましたが、諸武芸の修行段階の説明にも使われています。
「守」とは、師匠の教えを性格かつ忠実に守り、物事の基本の作法・礼法・技法を身につける「学び」の段階をいいます。「破」とは、身につけた技や形をさらに洗練させ、自己の個性を想像する段階をいいます。「離」とは、「守」・「破」を前進させ、新しい独自の道を確立させる段階をいいます。先輩(師匠)から第1段階の「守」をいかに身につけるかで、「破」・「離」へと続く、その後の自己成長の大きさが決まっていきます。助言を喜んで受け入れていくことで、将来「離」に到達したとき、自己をいっそう高めていくことができるとのことです。
バレーボール部で考えていくと、秋の中体連県大会までが「守」、春のアシックスカップ九州大会までが「破」、そして夏の中体連に向けてが「離」となっていくことが理想です。顧問としては、せめて「守」を完璧にして、自分たちで考えて作り上げていく「破」の段階まで行かせたいのですが、榎原中男子バレー部は、まだ「守」が徹底できていない状態なので、「破」の壁に苦しんでいる状況です。しかし、私は彼らが必ずこの「破」の壁を乗り越えてくれると信じています。そして、将来「離」に達し、それぞれの形でバレーボールに関わりをもってくれると期待しています。
今週末は、土曜日が福島中学校と2校での練習試合を行い、日曜日は都城市で行われる霧島盆地優勝大会に出場させていただきます。チームの約束事である「守」を徹底し、少しでも壁を「破」れるきっかけとなる週末になることを期待しています。