部活動

部活動

自律

 先日“自立”ということについて書きましたが、いろいろと調べていると、“自立”と“自律”の2つの言葉があり、その違いが説明してありました。

“自立”というのは、他に依存しないで、自力でやっていける、自ら立つ状態のことで、技術的・経済的に自立しているということだそうです。バレーボールで言えば、基本的な技術や体力(“技”・“体”)がしっかりと身に付いていることが“自立”しているということになると思います。

また、“自律”とは、自らの律(規範・ルール)をもち、それに基づいて評価し、判断し、行動できるという自らを方向づけできる状態のことで、意識的に自律しているということだそうです。バレーボールで言えば、しっかりと目的や目標を明確にし、すべてのことを自分の成長ととらえて前向きに生活することができる精神力(“心”)がしっかりと身に付いていることが“自律”しているということになると思います。

 
“強いチーム”はすべてこの“自立”ができています。小学校の時からしっかりと鍛えられており、比較的早い段階から自分たちで工夫して試合や練習を組み立てることができます。バレーボールには、なかなか運動神経が優れている中学校で始めた選手はいませんので、結局小学校の頃の差が中学校でも縮まらずに最後を迎えることがほとんどです。しかし、最後につまずいたりしてしまうチームは、“自律”ができていない場合がほとんどです。

 私には、これまでに衝撃を受けたチームが2つあります。1つは7年前くらいに福岡合宿で対戦した福岡県の遠賀中学校です。当時まだバレーボール指導の経験が浅かった私は、高いレシーブ力を武器に、それぞれが自由に攻撃してくるプレーを目の当たりにして、とても同じ中学生とは思えず、ただただ感心していました。たった1セットだけでしたが、練習会終了後にお願いしてさらに2セットさせていただいたことを覚えています。そのチームは翌年全国大会で準優勝しました。
 もう1つは、同じ時期に天皇杯で試合を見た、宮崎県の社会人チームの柊クラブです。このチームも6人それぞれが自分の考えでプレーしており、まさにベストプレーがベストチームワークだということを感じさせてくれたチームでした。どんな状況にでもリラックスしており、すべてのプレーを簡単にこなしているという印象でした。少し当時を思い出してネットを検索していたらこのような記事がありましたので紹介します。(
http://miyazaki.mypl.net/mp/volleyball_miyazaki/?sid=7431

この両チームに共通していることは、どちらのチームも、決して大きな選手がそろっていたわけではありませんが、圧倒的な基本技術を基に、すべてのプレーを簡単にこなし、余裕をもって試合をしていたことです。結果、とても楽しんでバレーをしているように感じました。私も今では中学選抜や春高バレー、Vリーグなどより高いレベルのバレーを見て勉強していますが、未だにこの2チームを越える衝撃を受けたことはありません。それくらい自分の中で理想の2チームです。

 このようなチームになるためには、下の図にあるように、“自律”が“自立”を囲むような状態にならなければなりません。つまり、すべての基本はやはり“自律(心)”なのです。“自律”が“自立”を囲むような状態とは、試合中や練習中、空いている時間などを使って、試合時の攻撃、守備体系、狙い所や細かいポジション取りなど、戦術的なことを任せられる状態です。こちらから練習を与えるのではなく、自分たちで積極的に考え、バレーボールの面に関しては指導者と対等に話しができるようにならなくてはなりません。

 当然そのためには、指導者側の“我慢”が必要です。この3月は私にとって我慢の月になると思います。この7ヶ月間ずっと指導してきたことの成果を祈りながら、選手たちを信じて、見守ろうと思います。


鹿宮対県組み合わせ
http://www.kva-v.com/wp-content/uploads/a532f96db10bb978a6f1e7d84e9a408b1.pdf
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自立

 先日、アシックスカップ第33回九州中学校バレーボール選抜優勝大会の組み合わせが決定し、宮崎県3位の榎原中は、長崎県1位の東明・早岐中と対戦することになりました。各県の1位と対戦することは分かっていたので、どこと対戦しても厳しいとは思っていましたが、毎年レベルの高い長崎県の1位ということで、挑戦者として思いっきりぶつかるだけということを再確認しました。

 2年前にアシックスカップに参加したときは、予選で大分県1位の日出中学校に大会の雰囲気をつかむ前に負けてしまい、敗者復活戦で沖縄県1位の首里中学校にフルセットの末何とか勝って決勝トーナメントに進みました。しかし、トーナメント1回戦の相手は優勝候補である、福岡県1位の北九州中央中学校でした。持てる力をすべて振り絞らなければ勝利が見えない相手に対し、1セット目は接戦でしたが、2セット目はエースの足がつるなど予選の消耗が大きかったことが響いて大差で敗れてしまいました。

 この経験を元にすると、やはり厳しいとはいえ、初戦に勝つことが上位に進出するための鍵になります。そして強豪相手に勝利する可能性が一番高いのは初戦だと思います。そのためには、相手がどんなチームか分からない以上、選手が自分たちで対戦相手を分析し、それをしっかりと実行することができることが重要です。つまり自立したチームになっていなければなりません。

 自立とは、「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。」と辞書には書いてあります。今現在の榎原中は“守・破・離”(守・破・離についてはhttp://cms.miyazaki-c.ed.jp/4225/htdocs/index.php?key=jot4wxwyp-133#_133を参照)の段階のうち、先の練習試合で少し“離”の部分が見えましたが、相変わらずようやく“破”の部分が出てきているような状態です。自立しているチームというのは、この“離”の段階にあるチームのことなので、自立にはまだまだ遠い状態です。しかし、九州大会という素晴らしい機会を頂いたことで、心構え次第では一気に“破”の殻を破って“離”に到達するかもしれません。

 自分の心身の充実や周りの環境などすべての要素に恵まれたとき、人は時に思いも寄らない成長を遂げることがあります。例年であれば各県の2位までしか九州大会には参加することはできませんが、今回は宮崎県開催ということで、3位だった榎原中も参加することができます。すべてのことには意味があるはずです。この恵まれた環境に感謝をし、目の前にあるチャンスをしっかりとつかんで、自分たちが人として大きく成長するきっかけにしてほしいと思います。

 第33回九州中学校バレーボール選抜優勝大会組み合わせ
 http://mvajhs.main.jp/wp-content/uploads/2016/01/27_asicscup.pdf

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根心

 2月も今日で終わり、明日からいよいよ3月に突入します。1月末から取り組んできた“技”と“体”の基本練習も、先日の週末で一応終了し、 今月は再度“心”を高めて行くような練習メニューにしていきます。タイトルの“根心”とは、心の底、本心、本音という意味の私が作った造語です。渾身の力を出して、心の根っこからバレーに打ち込んでほしいという思いを込めています。

 言うまでも無く、すべての“技”や“体”を使うのは“心”です。その心の中には、“プレッシャーに負けない心”や、“逃げずに攻める心”、“冷静に状況を判断する心”、“最後まであきらめない心”、“最後まで気を抜かずに集中する心”、“他の人のことを思いやる心”、“自分を犠牲にする心”などたくさんあります。その中でも特に大事にしたい心が、“バレーボールを楽しむ心”です。

“根心”からバレーボールを楽しむということは、つらい練習やきつい練習、単調な練習や自主トレーニング、厳しいプレッシャーや苦手なことなどのすべてを“バレーボールのために楽しむ心をもっている”ということです。この“楽しむ心”が根っこにあれば、すべてのことに対して、受け身ではなく前向きに取り組むことができ、自然とバレーボールの技術はもちろんのこと、人間力も高まっていくはずです。

 具体的には、基礎基本と平行して、その基礎基本を使った様々な種類の練習や、ゲーム形式の練習を中心に練習を組み立てていこうとしています。そういった、いつもとは違った練習やゲームの中で、いかに基礎基本を意識できるか、そしてバレーボールを楽しむことができるかをテーマにやっていきたいと思います。このやるべきことをしっかりとやることと、楽しむことの両立をきちんとすることは難しいことだとは思いますが、このバランスが実際の試合の中で大切になってきます。まだまだ信用できない生徒もいますが、こちらがやらせるのではなく、あえて信じてまかせることで、8名全員の成長を期待したいところです。


 3月といえば別れの季節です。このチームは夏の中総体まで続きますが、私は今年榎原中5年目となり、異動対象者ですので、この3月が一つの区切りとなります。つまり、どのような状況になっても、しっかりと自分たちで自立して目標に向かって取り組むことができるようにしておかなければなりません。
 “夢追う者に奇跡あり。”これは前任の顧問であるK先生が榎原中に残している言葉です。夢を追わなければ、夢は叶いませんし、奇跡は起きません。自分を信じて、仲間を信じて、すべてのことに前向きに取り組み、絶対にあきらめない心をもって毎日を過ごしてほしいと思います。

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散々

 先の鹿児島遠征でまずまずの内容で、少しは光明が見えてきた矢先ではありましたが、月曜日の学校生活は散々でした。九州大会用の写真を撮るためのユニフォームを忘れていたり、課題の提出をしていなかったり、課題のやり直しが終わらず17時30分を過ぎてもミーティングを始めることができなかったりという状況でした。その日はあまりに情けなくて、結局予定していたミーティングもせず、副顧問のK先生にあとをお願いして帰ることにしました。

 翌日、昨日のK先生の話が伝わっていたのか、朝全員で集まっていました。そこで私の部活動に対する考えを再度伝えました。それは、部活動はバレーボールクラブではなく、あくまで学校生活があってこその活動なので、バレーボールの技術を教えることがメインではなく、それ以上に礼儀面や人間関係作り、そしてそこで得たものを普段の生活の中で生かせるようにすることを最も大切にしているということ。生活面と部活動面で経験したことや学んだことをお互いに生かしながら、その両輪をバランスよく回すことができれば、結果的には目標に向かってまっすぐ進むことができるということ。部員全員の学校生活がしっかりできないようであれば、指導者の指導力不足であり、それはつまり私には指導する資格がないということを伝えました。

しかし、この日もまた1名忘れ物をしているということでした。言葉やバレーノートの中では反省をしていると言っていますが、言われていることの本当の意味を理解していないからこのようなことが起きます。そしてそれは彼らにしっかりと伝えることができていない私の責任です。この日は8名の中のたった1名でしたが、8名全員が榎原中男子バレーボール部の一員である以上、全員でしっかりとやるべきことをやらなければなりません。結局この日も練習指導はK先生にお任せして、私は練習終了までずっと体育館の外にいました。


 現在、“技”と“体”が少しずつついてきていますが、その“技”と“体”を使う“心”がすべての基本です。自分たちが掲げた“心”の文字を忘れずに、自分の弱さに負けないように、当たり前のことを当たり前にできるように強く意識しなければなりません。来週の鹿宮対県大会や九州大会には、宮崎県代表として大会に臨みます。“強い”だけではなく、“良い”チームを目指して、日々の練習に取り組んでほしいと思います。

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光明

 この週末は、2日間とも鹿児島県での練習試合に参加させていただきました。土曜日は有明体育館で、高原中・宇都中・重富栗野中・大崎中・末吉宇都中・吉野中と11セット、日曜日は宇都中体育館で、宇都中・花岡学園・第一鹿屋中・(鹿児島)南中と9セット試合をさせていただきました。

 この
鹿児島遠征では、3週間ぶりの実践、テスト休み明け、エース温存、裏ローテースタートなど、なかなか厳しい条件の中、なんとか踏ん張り、全勝で終えることができました。正直これは出来過ぎな感じではあります。しかし、力を出し切ればこのくらいはできるということも確かです。
 
もちろん、この20セットの中には、内容が良くないセットもありました。しかし、それ以上に内容が素晴らしい、榎原中が目指すバレーをすることができたセットが数セットありました。それはどんな内容かというと、チームの約束事を強く意識して、8名全員が自分の力を出し切ることができていたということです。その理由は、チームの中心である2年生がコート内外で1年生を引っ張ってくれたことにあります。
 
①はゲームキャプテンとして、いつも通り自ら身体を張ってプレーすることができていました。③は副キャプテンとして、レシーブの中心となって、自分がすべて取るという強い意識でプレーすることができていました。⑤は主将としてエースとして、まだコンディションは万全ではありませんが、一時期と比べてプレーがかなり安定してきており、随所にエースらしいプレーをすることができていました。

 
2月は、いわゆるフォーメーション練習はまったくせず、すべて基本練習、形を作ることと身体を鍛えることのみをやっています。その半ばでのこの鹿児島遠征のテーマは、練習で意識している形を試合の中で意識していくことと、試合の中でコミュニケーションをとっていろいろと修正していくことでした。この2つの点に関しては、合格点を与えて良いと思います。何回かスタッフの思いとコート内の思いがシンクロした場面がありましたし、こちらの想像を超えたプレーも何度かありました。まさにチームが“守”から“破”に変わろうとしている、そんな瞬間でした。

 
また、土曜日に諸事情で遅れていたJA杯の反省会をしていただきました。たくさんの方々に支えられて自分たちの大好きなバレーボールをすることができている、そして自分の大好きなバレーボールをすることで、たくさんの方々を笑顔にすることができていることを忘れずに、一日一日を大切に過ごしてほしいと思います。

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