校長より
9/9 鎮魂歌
「今日の授業」では、1年生の国語の時間の様子を紹介しました。
実際に戦争を体験した方の話が20年以上も教科書に載り続けるということは、それだけ私たちに様々なことを投げかけ、考えさせるものであるからだと思います。
以下にあらすじを記載しますが、気になる方はお子様の教科書をご覧になってください。
あらすじ
弟のヒロユキは太平洋戦争の真最中、僕が小学4年生のときに生まれた。
父は戦争に行き、毎日のように空襲があった。
食べ物は十分ない中、母は僕たちに食べさせるために自分はあまり食べなかった。そのせいで、ヒロユキのためのお乳が出なくなった。
配給のミルク缶1つがヒロユキの大切な食べ物だった。
そんな大切なミルクを、甘いものが欲しい僕は盗み飲みしてしまう。
そんな作者に母は怒るでもなく、『ミルクはヒロユキのごはんだから、ヒロユキはそれしか食べられないのだから』と言う。
空襲がひどくなったため疎開しようと思い、引っ越しの相談をするために田舎の親戚を訪ねた。
母と僕と弟を見た親戚の人が口にしたのは「うちに食べ物はない」と言う言葉だった。
くるりと後ろを向いて帰った母の顔は悲しくも、子供達を必死で守ろうとする強く美しい顔だった。
ようやく疎開先が決まり、石釜という山あいの村に引っ越した。そこは桃源郷のようで僕は胸をはずませた。
しかし疎開者に配給はなく、着物と米と交換するしかなかった。
着物もなくなると、ヒロユキは病気になり、しばらく入院していたが、ヒロユキは栄養失調で死んでしまった。
ヒロユキのために小さな棺が用意されたが、棺が小さすぎて入らなかった。
母は、「大きくなっていたんだね」と言って初めて泣いた。
ヒロシマに原爆が落とされたのはその九日後のことだ。さらにその三日後には、ナガサキに-。
そして、六日後の一九四五年八月十五日、戦争は終わった。
米倉斉加年さんのあとがき
”戦争ではたくさんの人が死にます。そして老人、女、子どもと弱い人間から飢えて死にます。私はそのことをわすれません。…そのことを私たちはわすれてはならないと思います。そのことをわすれて、私たちの平和は守られないでしょう”
9/6 達成感
今日のものづくり体験は大変すばらしい内容でした。
簡易的ではありましたが、畳を作る経験はなかなかできません。
生徒達も楽しく一生懸命に作業に取り組めて本当に良かったです。
また、技能士の方々の教え方が素晴らしく、全員がびっくりするような素晴らしい出来のミニ畳を完成させていました。みんないい顔をしていて達成感を味わっているようでした。
技能士の方の話によると、畳づくりの体験は何年も前からやってきているということで、作りやすくするために様々な工夫を積み重ねているということでした。
完成後は畳の裏の処理跡が見えないようにするために、裏面全体に木工用ボンドを塗り、紙を貼り付けていたそうです。しかし、慣れないときれいに晴れないため、今は畳の紹介を兼ねた全面シールを貼るようにしているとのことでした。
技能士の協会の皆さんも、できるだけ子供たちに楽しく、そして誰でも完成できるような工夫をされていて素晴らしいと思いました。
授業の最後では、畳にまつわる話をいくつかしていただきましたが、内容も興味深く、別途講話で依頼したいくらいでした。
畳工業組合の皆様、今日は本当にありがとうございました。
※下はミニ畳制作用の説明図です。
9/5 自律
今日の朝の生徒集会で、生徒会役員が朝のボランティア活動の今後のルールについて説明をしてくれました。
6月の生徒総会までは、学校がある日は雨の日以外ほぼ毎日朝のボランティア活動を行ってきました。朝8時40分からの10分間ですが、除草や落ち葉を掃きを毎日続けるのは大変だったと思います。テストがある日も同様に取り組んできました。
テスト勉強がしたいのでは・・・と思いつつも、数年前から生徒会が中心となって始めたことですので、こちらからは特段声を掛けずにいました。ようやく今回、定期テストはテストのある週、課題テスト等は当日のみ、3年生は12月から受験終了までは休みとすることが確認されました。
生徒総会で要望を受け、生徒会で試行的にテスト休みを設け、その結果をアンケートに取るという取り組みをした結果です。アンケートの結果では、テスト勉強ができてよかったと好評だったようです。
このように、現状に問題があればそれを議題にし、協議しながら自分たちで検証し、その結果を受けてよりよい形に変えていくという流れができたことは素晴らしいことだと思います。
9/4 協働
先日「すきメンマ」のニュースがありましたが、その件について「すきむらんど」代表の青野さんが来校されました。今回の件のお礼とのことでした。
3年生を中心に「小林の未来予想図」というテーマで今後の須木について学習を進めていく予定ですが、すきむらんど様の協力もいただきながら、よりよい提案をつくっていけたらと思います。
ボランティア精神
先日の台風で、学校の駐車場にも大量の落ち葉や枝が散らばっていました。
30日のうちに大きな物は片付けましたが、落ち葉は濡れていたため乾くのを待ってやるしかないな・・・と考えていました。
ところが、日曜日の夕方学校に寄ってみると、なんと駐車場がきれいになっているではありませんか。
おそらく31日に部活動で登校したソフトテニス部の生徒がきれいにしてくれたのではないかと思い、昨日、部顧問に聞いてみました。
すると、予想通り土曜日に清掃をしましたとのことでした。
久しぶりの貴重な部活動の時間だったのに、清掃に割いてくれた顧問と部員の皆さんに感動しました。
夕方部活動の様子を見に行った際に、部員の皆さんに集まってもらいました。生徒達は「何だ?」とキョトンとしていましたが、土曜日の作業のお礼を伝えると、口々に笑顔で「どういたしまして!」と言ってくれました。
須木中の先生や生徒達は素晴らしいなあ!と改めて感じました。
9/2 想定
皆様は台風の被害は大丈夫だったでしょうか。学校の建物には大きな被害はなく、数か所の雨漏り程度で済みました。また、生徒や保護者、職員にも特に被害はなく、安心しました。
今回の台風は特に大型で強かったことや、一時的には小林市を直撃しそうな進路予想であったこともあり、久しぶりに数日分の常温保存の食料品や水の準備を行いました。
その他にも、バスタブに水を溜めたり、モバイルバッテリー、LEDランタン、着替えなどを入れた持ち出しリュックなども準備をしていました。
さて、今日の地震の避難訓練の指導の中で、『災害時の「備え」チェックリスト』を使った説明がありました。
チェックリストを確認してみると、自分の場合は品物はあるけれど持ち出し袋に入れていないものがいくつもありました。家に被害が出ず、そのまま使える前提で考えていたためです。
まさに「正常性バイアス」的な感覚になっていたのかも知れないと反省させられました。
避難訓練の中で生徒に対して、「今日の避難時の条件は揺れしか起きていない、最も条件の良い場合だったことを忘れないように。実際の避難では、建物が壊れていたり、通路が通れない場合がある。その時々でどうすれば良いかを判断しなければならない。日頃から最悪の場合を想定し、防災を意識して過ごすように」という内容を伝えました。
常に最悪の事態を想定して備える。
このことを再認識した日でした。
8/27 事前の備えを
大変強い台風が近づいています。事前の準備と避難所などの確認を行い、早めの避難をお願いします。
停電や断水の恐れがあります。バスタブに水をためておく、当面の食料や飲料水の準備、電池で駆動できるランプの準備、スマホ充電用の外部バッテリーの充電などの確認をお願いします。
台風が近づくにつれ、東~南西方向からの風が大変強くなります。雨戸のない窓ガラスは、飛来物で割れる危険がありますので、布テープ(紙テープではない)等でしっかりとガラス面を補強しておくことをお勧めします。特に、谷間にご自宅がある場合は、風が集中するため危険度が高まります。
進路予想については、以下のアメリカのサイトも参考になります。
https://www.metoc.navy.mil/jtwc/jtwc.html
上記サイトの右側の『TC Warning Graphic』をクリックすると、進路予想図が出てきます。(※ 表示されている時刻表記は協定世界時のため、日本の時間に直すには9時間加える必要があります。)
8/26 始動
本日から生徒が登校し、学校が始まりました。
何と言っても一番うれしいことは、夏休み期間中に生徒が事故や事件などに遭わず、元気に過ごしてくれたことでした。
これから冬休みまでの4か月間は、様々な行事が予定されています。
9月はものづくり体験や農業体験がありますが、これらの体験をとおして生徒達がどのように成長するかが楽しみです。
8/9 母親の思い
今日の集会では、平和学習を行いました。
先の戦争では民間人の方々も多数亡くなっています。
生徒達も写真や映像などで目にする機会も多いとは思います。
その亡くなった方一人一人はどんな思いだったのか・・・・。
今日の集会では、東京大空襲で亡くなった赤ちゃんと母親の姿をとおして生徒達に考えてもらおうと思い以下の資料を準備しました。
以下、原文の要約です。(須田卓雄さんという方が、1970年12月29日に朝日新聞に自らの体験をもとに発表されたものです。)
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昭和二十年三月十日の東京大空襲から三日目か四日目のこと、私は永代橋から深川木場方面で死体の片付け作業に従事していた。
異臭や無惨な遺体にも慣れていたが、ある遺体に違和感を覚えた。
その人は赤ちゃんを抱えていて、さらに、その下には大きな穴が掘られていた。
母と思われる人の十本の指には血と泥がこびりつき、爪は一つもなかった。
指で固い地面を掘り、赤ちゃんを入れ、その上におおいかぶさって火を防ぎ、わが子の命を守ろうとしたのだろう。
赤ちゃんの着物はすこしも焼けていなかった。
小さなかわいいきれいな両手が母の乳房の一つをつかんでいた。
だが、その赤ちゃんもすでに息をしていなかった。
私たちは涙で顔を汚しながら、その女性の顔を丁寧に拭きとると、若い顔がそこに現れた。
ひどい火傷を負いながらも、息の出来ない煙に巻かれながらも、苦痛の表情は見られなかった。
これは、いったいなぜだろう。美しい顔であった。
人間の愛を表現する顔であったのか。
そして、誰かが「花があったらなあ」と言った。
あたりは、はるか彼方まで、焼け野原が続いていた。
私たちは十九才の学徒兵だった。
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7/25 胸に刻む
今日は小中合同研修を行いました。
これは、夏季休業中に毎年行っているものです。
今年は内容未定のまま7月になろうとしていました。
どうしたものか・・・と思っていたところ、研究主任より「南部教育事務所の方に来ていただいて、ひなたの学びについて研修したい」との相談があったため、二つ返事でOKを出しました。
本校では、これまでも紹介してきましたが、校内の研究として生徒に「自分の勉強の仕方」を見つけ出し、身に付けさせる取り組みを行っています。
自分が「わかる」「できる」と感じ、自信をもつことが学びに向かう力を伸ばすと考えています。
今のところ朝学習の時間を中心に試行錯誤していますが、今後は授業中での「個別最適な学び」につなげたいと思っています。
しかし、実際に授業で生かすためには、教師が「ひなたの学び」を理解し、授業で実践していることが重要です。
そういった意味で、今日の研修は大変重要な研修でした。
実際、齊藤指導主事には、事前にお渡しした質問に対して具体的に丁寧に回答していただきました。
また、「なぜ『ひなたの学び』なのか?」の説明も具体的で大変わかりやすい内容でした。
おかげさまでこれまでキーワードとしてばらばらに頭の中にあったものが1つにまとまった感じです。
ここまでわかりやすく説明していただいたのですから、今度は我々が実践という形で生徒たちに返していかなければならないと強く感じました。
齊藤指導主事がまとめで話された中で、特に私の心に残ったものを挙げます。(実際に言われた内容と多少文言が違う点はご容赦ください)
・専門でない方の言葉がヒントになる。(グループ協議について)
・「教えあい」は一方通行ではない。
・生徒が発表した内容を他の生徒に説明させることで生徒同士をつなぐことができる。
・教えない教師が最高の教師である。
・学校で学んだことをすべて忘れて、残ったものが教育
・今日の授業の取り組みは「ポン」と出たものではなく、何日も考え抜いて作り出したものだ。(公開授業後の指導教諭の話)
特に最後の言葉は心に響きました。
今日の研修に向けて齊藤指導主事に準備していただいた内容がまさにこの通りだと思います。
素晴らしい演奏、素晴らしい作品、素晴らしいプレーの裏には必ず想像を超えた努力の積み重ねがあるのと同じです。
私たちも同じ授業のプロとして、この言葉を深く胸に刻んでおく必要があると感じました。
最後に、齊藤指導主事、本日は本当にありがとうございました。
私自身大変勉強になりました。
7/19 前半終了
本日で、1学期前半が終わりました。
4月からの4か月はあっという間でしたが、生徒達はどの行事や授業など、いずれも全力で取り組み、しっかりとやり遂げてくれたことが何よりうれしかったことです。
その裏には、先生方の細やかな計画と丁寧な指導や助言があったことは言うまでもありません。
先生方の、それぞれ生徒の持つ個性や持ち味を理解し、大切にしながら、生徒に寄り添って取り組む姿勢には頭が下がります。
須木中の夏休み期間中の登校日は8月9日だけです。この日は須木地区の花火大会の前日準備となっています。
須木地区を代表する大きな行事について、準備と事後の清掃ボランティアという形で自分たちがその一翼を担い、実際に無くてはならない存在になっていることは、とても誇らしいことです。
このような行事へのかかわりが、須木に対する自分の存在感を感じ、郷土愛を育て、人間性を高めてくれているのだろうと思います。
7/18 絵に込めた思い
先週、すきむらんど温泉 かじかの湯の駐車場に一枚の絵が設置されました。
中学生が須木小学校に在学中に描いた絵です。
須木の特産品の作物や動物、自然、吊り橋や滝、そこで楽しむ人々が生き生きと描かれていました。
子ども達の須木愛にあふれる素晴らしい作品だと思います。
近くに行かれた際は、是非実物をご覧になってください。
(駐車場の一番奥です)
7/17 玄関
須木中の玄関は、訪れる人の数よりも虫の方が多いのが難点です。
特に夜間は、玄関のひさしに電灯がついているため、外の虫も、校舎内にいた虫もたくさん集まってきます。
それを狙うクモの糞や、窓から出られず力尽きた虫などなどが、傘立ての奥やすのこの下にたまってしまいます。
清掃の時間に担当の生徒が一生懸命に掃除をしてくれています。しかし、一人で管理棟の1階の廊下全体も担当しているため、広すぎて大がかりな清掃をするには時間がまったく足りない状況でした。
そこで、今日は天気も良いこともあり、教頭先生が、あっと言う間にすのこや傘立てを移動し、隅に溜まったゴミを掃き、タイルも水拭きをしてくださり、ピカピカになりました。
古い玄関なので新品には及びませんが、古いものでも手を掛け整えてあげることで凜とした良さが伝わってくるものだなと感じたところです。
7/16 時代への対応
今日の薬物乱用教室では、薬の正しい飲み方や、違法薬物でない市販薬の怖さなどを教えていただきました。
最近は、薬局などで買うことができる市販薬のオーバードーズによる救急搬送が非常に多くなってきているそうです。
違法薬物について、生徒達はこれまでに学んでおり危険性を知っていますが、市販薬の危険性についてはそこまで考えてはいなかったようです。
講話の中で薬剤師さん、どんな薬でも「主作用」と「副作用」があるということを強調されていました。
また、薬の用量や飲むタイミングについても、
・薬効がしっかりとあるように計算されているため、量を飲みすぎると危険性が増すだけで速く効果がでたり、よく聞いたりするわけではないこと
・指定量より少ない服用では効果が出ないこと
など、指定された量と時間をしっかり守ることの大切さを知ることができました。
これまでは覚醒剤などの違法薬物の使用禁止についての内容が多かったですが、近年の社会状況の変化に応じて市販薬の使用方法や危険性などを含めたものに講演内容を変えてきているとのことでした。
SNSが生徒達に浸透している現状を考えると、学校でも生徒を取り巻く危険なものやことに対して、しっかりと情報収集をして対応していく必要があると感じました。
7/12 シンプルに
本日の3年生の福祉体験が始まってすぐに、教頭先生がスピーカー付きのポータブルアンプを職員室に持ってきました。(下図のような機器です)
確かに電源ボタンを押してもランプがつかず、作動していません。
体験活動の際にワイヤレスマイクを使用する予定でしたが、代わりの機器がないため、仕方なくマイクなしで授業を進めていただくことになってしまいました。講師の先生方には申し訳ないことをしてしまいました。
機器の故障は当然あることですが、タイミングがいつなのかわからないのが困ります。
素人なりに、ヒューズ切れ、コンデンサ、電源スイッチの故障とかだろう・・・と考え、分解してみることにしました。
カバーを外し、テスターで基板等の気になる箇所を何カ所かテストしたのですが、問題ありません。
どうも部品や基板が原因ではなさそうですが、他に思い当たる場所が浮かびません。
これは修理か買い換えか・・・。その前にその費用をどうするか。(新品は二桁万円します)
仕方がないので、とりあえず元の状態に組み直しました。
組み立て直しながら、ふと「コンセントに刺すプラグかも」と頭に浮かんできました。
コンセントにプラグを差し、電源ボタンを押します。
反応しません。
次に、電源ボタンを押した状態でプラグの根元のコードを左右に曲げてみます。
すると、どうでしょう。ある角度で曲げたままにしておけば電源ランプがつくではありませんか。
今回は、ただの電源プラグの根元の断線でした。
このときすでに分解を始めてから1時間以上が過ぎています。
最初から電源プラグを確認しておけば良かった・・・・・・・・。
パソコンのトラブルでコールセンターにかかってくる相談でも、動かない原因がコンセントにプラグを差していなかっただけ、ということがよくあるそうです。
問題には、まずはシンプルに考えて取り組むことが大切だということを思い出しました。
ということで、プラグを付け替えることにしました。
その作業時間は5分・・・・。
7/11 働くこと
今日から2年生が職場体験を行っています。
一人ずつ別々の事業所にお願いすることになりました。
どの事業所様も快くお引き受けくださり、感謝しかありません。
慣れない場所での活動を考えると心配をしてしまいますが、素直で一生懸命な須木中の生徒達はしっかりやってくれると信じています。
世の中の「もの」やサービスは、それが実現するまでに必ず多くの人が仕事としてかかわっています。
今回の体験では、利用者としては見えなかった部分を知り、そこで働く方々との交流をとおして、仕事に対する姿勢、仕事の大変さや面白さ、やりがいなどに気づいてほしいです。
「一隅を照らす」という言葉がありますが、伝教大師・最澄の「径寸十枚、是れ国宝にあらず。一隅を照らす、是れ即ち国宝なり」からきています。この文章の意味は、
金銀財宝が国の宝なのではく、世の中の一隅で暮らす人々が、その場所で精一杯努力して光りを放つこと、それこそが国の宝である。
となります。
中学生の段階では、将来のことはまだ決まっていないかもしれません。
しかし、十数年後には社会人として仕事に就いて働いていると思います。
それが何の仕事であっても、その仕事を通じて、毎日何か一つ、どこか一隅を照らすことを心掛け、努力する人であってほしいと思います。
7/10 命を守る
高知県で小学生が水泳の授業中に亡くなるという痛ましい事後がありました。
宮崎県では、すでに5月15日付で県のスポーツ振興課から「水泳等の事故防止について」の通知が出されています。
水泳指導について8項目、プールの管理について5項目、学校外での遊泳について4項目の留意点が示されています。
水泳指導については、概略ですが以下のような対応が示されています。
(1)健康状態の確認 等
(2)発達段階や水泳能力に応じた指導の工夫 等
(3)バディシステムの採用、非常時の合図の徹底 等
(4)救命用具の準備
(5)心肺蘇生法等の職員研修の実施、危機管理体制の整備 等
(6)指導者の責任分担の明確化 等
(7)落雷など気象条件に応じた判断 等
(8)見学生への直射日光を避ける配慮
どの項目も重要ですが、授業が始まってから特に重要になってくる部分は(3)と(6)ではないかと思っています。
例えば、授業中に生徒がふらふらしたり、倒れたりした場合、先生や周りの生徒がほぼ間違いなくすぐに気づきます。
しかし、プールの中では水中が非常に見にくい場合があります。
プールに限らず、水際に立って上から見ていると、自分の真下付近は水中を含めてある程度見えますが、離れていくほど水面の反射光と光の屈折で水中が見えにくくなります。
陸上で生徒を見ているときと同じ感覚だと見落としてしまう可能性が高まるわけです。
そう考えると、プールの指導に当たっては、指導者同士がプール全体を見渡すことができ、水中にも死角がないように監視場所を分担をする。
監視者と指導者の分担や切替を明確にし、一人の教師がそれぞれの判断で立場を変えない。
その上で、事故につながる生徒のイレギュラーな動きをさせない、見逃さないようにすることが重要だと思います。
7/9 はんだ付け
2年生が技術の時間にはんだ付けを練習していました。
慣れない手つきでしたが、電子工作の第一歩を踏み出した記念すべき日です。
ぜひ、電子工作の楽しさを知ってほしいと思います。
理科の電気の学習では、豆電球や抵抗や電池を繋いで回路を作ります。
ただし、ミノムシクリップのついた導線で器具を繋ぐため、生徒がはんだで部品を固定するという内容は出てきません。
電池や豆電球や抵抗をつなぐために、下図のような導線を使った記憶はありませんか?
この導線の両端のミノムシクリップ(右)やバナナプラグ(左)は、線にはんだで固定してあります。
単純な作りですが、導線の両端の被膜のビニールをはいで、銅線の束を取り出し、クリップにはんだ付けする・・・という、結構面倒な作業をしなければなりません。
作る数が多くなると結構骨が折れます。
そのため、新しい学校に赴任した時に前任者がたくさん作ってくれているととても助かります。
逆に数が少なかったり、錆びたり断線したりして使えないものが多いときは自分で作り直していました。
はんだの扱いに慣れると、小型の家電などの、ちょっとした修理にも役立つこともあるので便利だなと思います。
7/8 早期発見
2校時に3年生の道徳の授業を見に行きました。
題材は教科書にある「卒業文集最後の二行」でした。
以下はあらすじですーーーーーーーー
小学生のころ、クラスに身なりの汚いT子さんがいた。
母を亡くし、二人の弟の世話をしながら、魚の行商をしている父親と貧しい生活をしていた。
小学校6年生のとき、その女の子が私の席の隣になった。
いつも私や周りから「きたない」「くさい」「風呂に入れ」「近寄るな」といじめられていたが、T子さんは泣きもせず、先生にも言わずじっと耐えていた。
彼女の成績は上位だったが、私の方が少し上であった。
国語の漢字のテストのと時に、私はどうしても二つ分からなかった。
ふと隣を見るとT子さんは正解を書いている。
私はT子さんの答案をカンニングした。
テストの結果は、T子さんは一つ間違えて98点、私はただ一人100点満点だった。
T子さんは「さすがイチノヘさんね。おめでとう」と素直に私に言った。
授業が終わると周りの悪童が、T子さんが私の答案をカンニングしていい点数をとったのだろうと騒ぎ出した。
はじめは黙っていた私も、つい調子に乗って「俺の答を見たからだ。見たに決まっている。」と責めてしまった。
その時、彼女は涙とともに「私は見ていない、着てるものは汚いかもしれないが、心は汚くない」と言った。
私はT子さんの初めての涙と言葉に衝撃を受け言葉を失った。
とうとう謝らずじまいで卒業式を迎えた。
T子さんの卒業文集の最後の二行に書かれていた「今一番欲しいのは母ではなく、本当の友達ときれいな服です」という言葉が心に刺さり、涙が止まらなかった。
三十余年が過ぎた今でも、T子さんへの罪業を思い出すたびに忍び泣いてしまう。
私に大いなる悔いを与えてくれた、あの二行を読まなかったら、今の私はどうなっていたか分からない。
(作 一戸冬彦「心に残るとっておきの話 第2集」潮文社)
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T子さんの心情を考えると、何度読んでも胸が痛くなる話です。
現在のT子さんが幸せに、穏やかに暮らしていることを願ってやみません。
今回の教材は、公正,公平な社会を実現するために,いじめを憎み,不公正によって誰かが傷つく状況を正そうとする態度が大切であることに気付かせる内容です。
また、学級内でいじめが起きていないからこそ,いじめを未然に防ぐ意味も込めて,いじめという卑劣な行為を無くすためにはどうしたらよいか、目にしたときにどうすればよいか等を考えさせる機会となりました。
3年生が「公正,公平,社会正義」という道徳的価値についての考えをより一層深めてくれることを期待しています。
教師の視点で見た場合、T子さんの服装や家庭の状況を考えると、いじめやからかい等が起こることを十分予測できたはずです。
教員をはじめ、もっと周りの大人がいじめの予防といじめに気付く努力をすべきだったのではないでしょうか。
早く気付くことができていれば、これほどつらい1年間にならなかったのではないかと悔やまれます。
早期発見、早期対応の重要性を改めて感じました。
7/5 将来の夢
今朝の新聞に,小学6年生の「将来就きたい職業」トップ10が載っていました。各順位の職業は次のようになっています。
小学生にとっては,実際にその職業の方と触れ合ったり,メディアで目に触れることの多いものが上位に来ている気がします。
別の団体が,高校生に同様の調査をした結果は以下の通りです。
小学生と違って、より具体的な職業名になってきています。
さらに別な団体の調査結果ですが、30代から60代に「今、子どもの頃になりたかった職業に就けているか?」という質問をしたところ、「就けた」と答えた大人の割合は、わずか6.5%だったそうです。
逆に考えると、20人に1人程度は子どもの頃の夢が叶った人がいるということです。
子どもの頃の夢を実現された方は、自分の頑張りもあったのでしょうが、それ意外にも様々な要因、例えば、まわりのサポートや素晴らしい出会いや経験があったのだろうと思います。
自分が今いる生徒達に対して、色々な意味で少なからず影響を与えてしまう存在であることを考えると気が引き締まります。