活動報告
高鍋町立高鍋東中学校で対話型キャリア教育プログラム「ひなた場」が開催されました
近年、対話に関連する新書が多く出版され、企業における組織開発分野でも「対話」だけでなく、オープンダイアログ、ナラティブなど対話を意味する言葉がたくさん聞かれるようになりました。
雇用形態の多様化や、立場や背景の異なる人と共創する機会が増え、絶対解だけでなく、人の数だけ正解も正義もあるという前提で、最適解・納得解を合意形成をしながら共に創っていこうとする社会的な流れがあるように思います。
宮崎のキャリア教育においても、外部講師による講話型のプログラムも多く実施されていますが、年々対話型プログラムの実施数が増えています。
今年度、高鍋町内にある県立高鍋高校では「対話でぶつける日」が、
高鍋西中学校では「ひなた場」が開催され、いずれも対話を軸としたキャリア教育プログラムでした。
そんな中、12月7日(木)高鍋東中学校でも、1年生約120名向けに対話型キャリア教育プログラム「ひなた場」が開催され、46名の地域の大人が講師や先輩として集まりました。
ひなた場とは?
ひなた場は、中学校段階からのキャリア形成支援の取り組みとして、全県下の子どもたちが、宮崎で暮らし、働く意義を理解した上で、自分自身の進路や将来像を描くことができるようにすることを目的としたプログラムです。
従来から、社会人講話のような取り組みはありますが、一度に出会えるロールモデル(大人)の数が限られ、中高生とのマッチングも難しく、深く共感・理解・イメージするところに届いていません。
そこで「ひなた場」では、「対話」を軸に子どもたちと大人をつなげます。互いの人生を語り合うことを通して、憧れのロールモデル(大人)を見つけたり、気軽に相談できる少し年上の地域の先輩との関係をつくったり、自分自身の将来を深く考え、描いていく、そんな「きっかけ」を届けています。そのきっかけを届けてくれるのは、ナナメの関係にあたる地域の大人の皆さん。(ひなた場では、先生や保護者をタテの関係、友人をヨコの関係と表現しています。)
「入試のスタイルが変化し、進路も多様化してきました。子どもたちは、自分で情報を得て選んでいく力を身につけていく必要があります。」そう語るのは、1年生学年主任の先生。
そのためにも、子どもたちがなるべく早くに多様な生き方に触れ、自分の現状を知り、これからの生き方について考えられる機会を作りたいと考えられていたそうです。
ひなた場では、地域の大人との対話の前に、生徒はこれまで生きてきた過去を感情の動きと共にグラフ化した「人生グラフ」を作成します。自分の足跡や現状の確認ができる機会です。
また、ひなた場当日は、3名の大人の人生ストーリーを聞き、これから自分はどんな大人になりたいかを考える機会でもあります。
当日は、たくさんの地域の大人にご協力いただき、体育館、武道場、多目的室の3部屋を使っての開催となり、生徒たちが前のめりになって話を聞く姿や、生徒自身が考えながら話している姿がありました。
実施後、学年主任の先生と、講師・先輩を探してくださった高鍋町キャリア教育支援センターの森コーディネーターと振り返りを行いました。
学年主任の先生より
「目標ややりたいことを最短ルートで実現することが王道のように思えることもありますが、リアルな社会はまっすぐな人生というわけでもないですよね。失敗談を話してくださることで、生徒たちは回り道の多様さに触れられ、回り道をしたからこそ得られたものがあるなど、いろんな生き方があることにも気づけます。世の中には、こんな人になりたい!もあれば、あんなふうになりたくない、と感じる人との出会いもあるでしょう。そういったモヤモヤも、そう感じる自分はどんな人間なんだろう?と内省する機会になります。多くの人生の先輩方に関わってもらえて、本当に良かったです。3年生のO先生と、高鍋町キャリア教育支援センターの森さんが地域の方とつなげてくださったからこそ実現できたと思っています。」
高鍋町キャリア教育支援センター・森コーディネーターより
「高鍋町にこんなに子どもたちのことを一緒に考えてくれる素敵な大人がたくさんいるんだと再確認できました。高鍋いい町だなぁと改めて感じました。こんな積み重ねが、子どもたちの心の宝物になったら嬉しいですね。」
来年度も実施する方向でご検討されているようです。
引き続き、良い形で高鍋町キャリア教育支援センターと連携できればと思います。
<コーディネーター 福島>
西都市立三財中学校9年生が校内で探究活動の発表を行い、下級生へ楽しさ、やりがいを伝えました
毎年8月に西都市内中学校3年生を対象に合同で開催される、探究的な学びを学校を超えて共有する「さいと学アワード」。
(今年度のさいと学アワードについては、こちらから詳細を読むことができます)
西都市内6中学校では、各中学校で春から夏にかけて継続してきた探究活動について発表し、校内選考が行われ、生徒数に応じた数のチームが最終発表に出場することができます。
2022年からアワードは開催され、2年連続で最優秀賞に選ばれたのが三財中学校です。その三財中学校の探究活動の取り組みには、大きな特徴が2つあります。
1. 地域で年に一度開催される「へそまつり」というお祭りで、考えたアイディアを実践する場があること。
2. 「へそまつり」での実践後に、校内で再度、発表の舞台があること。
アワードに出場できるできないに関係なく、地域社会の中で実践の場があり、さらにブラッシュアップしたものを下級生に伝える場面が設定されています。(アワードで活動が終わらない仕掛けになっている)
今年の9年生は、4チームに分かれ活動していました。
高齢者にとって住みやすい西都とは、交通網が整備されているまちではないだろうか?と仮説を立て、高齢者にインタビューしに行ったところ「今の交通に不満はない。だけど、もっと子どもたちと交流したい」という声が聞こえてきたことを受けて、へそまつりでは、多世代が一緒に遊べるブースを出したチーム。
へそまつりの活性化には、広報の仕方を改善すべきではないかと考えたチームは、毎年へそまつりの看板を置いてある箇所を変更することを提案し、ポスターを改良し、さらには市内の防災無線を活用し配信を行いました。
そもそもへそまつりの活性化と言っても、毎年どんな世代の人がどれくらい来場しているのか調査していないことに課題を感じたチームは、へそまつりの出入り口に調査員を立たせて、年代や性別、来場目的を調査しました。
8月のアワードで最優秀賞を取った「ゴミに価値を」というテーマで活動していたチームは、通学路のゴミが拾っても拾ってもなくならないことから「ゴミに価値を感じる人が増えれば捨てる人は減るのではないか」と考え、一般家庭でもゴミに価値を感じてもらうために、ゴミの変化が見えて悪臭が出にくいコンポストはどうすればできるのかを実験し(生ゴミをポリバケツにいれ、毎日学校でかき混ぜ続けた)その実験から導いた簡易コンポストキットをへそまつりで限定20個配布しました。
これらの探究をとおして、何が自分たちにとって学びであったのかをまとめ、11月24日、6年生から8年生(中学校2年生)に4つのチームが発表を行いました。
全てのチームが、アワード前の校内選考時以降に大きな変化を遂げていました。
自分の言葉で何をやってきたのかを語ることができ、質疑応答もチーム内で話し合いながら対応していました。
これから高校生になる9年生。高校生活での探究も楽しんでほしいです。
延岡市立 岡富中学校3年生「ひなた場」を開催
11月14日(火)に、岡富中学校3年生(106名)で「ひなた場」が開催されました。
岡富中学校では、コロナ禍下で何回も延期をくり返しながらも、令和3年3月に第1回目を実施して以来、今回で3回目になります。
第1回目では2年生を対象としていましたが、第2回目以降は3年生を対象にしています。高校選択と高校受検(験)を控えた時期なのですが、先生方の深慮と熱い思いで、生徒たちにとっては将来の進路選択を深く考える貴重な機会になりました。
班は6人ずつですが、対話は大人と1対1で実施しました。
まだいくつか工夫の余地がありますが、都市部の中規模以上の学校でも開催できる見込みが立ってきました。地域の大人との接点が少ない都市部の学校でこそ「ひなた場」を実施する意義は大きいと思われます。
(トータルコーディネーター 水永)
講師(22名)と生徒たちとの対面式 体育館で6人ずつに分かれて対話を開始
紙芝居講師の話を聞く生徒たち 10月19日には講師に集まってもらい事前説明会が行われた
延岡市立 上南方小学校6年生「課題学習」の発表と対話
上南方小学校6年生(20人)は、1年間を通して次のような「課題学習」に取り組みました。
1) 1学期には、「延岡の魅力は何か」について調べ学習に取り組みました。
2) 9月19日(火)に、水永が次のような講話を行いました。
1. 延岡の産業のはじまり 100年前にここ延岡に旭化成がやってきた理由
2. 働くすがた 様々な職業や働き方がある
3. 働くということはどういうことだろう 働く意味、どんな自分になりたいのか
3) 9月~10月には「食」「観光」「人」のテーマについて「延岡の課題は何か」を考えました。
4) 10月には鹿児島に修学旅行に行き、「働く人の姿」を見て、鹿児島の町を良く知りました。
5) 10月~11月には、各自で「延岡の課題」を一つ選んで、その解決策を考えました。
そして、11月12日(日)の「イチイガシ発表会」で、「観光」・「イベント」・「工業」・「農林水産業」の4つのテーマに分かれて発表しました。
この場には、4人の地域の方々に参加してもらい、子供たちの発表(提案)を聞いて、アドバイスや対話をしていただきました。
この日は参観日にもなっていて、保護者の方々にも子供たちの様子を見ていただくことができました。
(トータルコーディネーター 水永)
発表をした後、講師の方からコメントをもらい対話をする子供たち
高鍋町立高鍋西中学校で対話型キャリア教育プログラム「ひなた場」が開催されました
高鍋町キャリア教育支援センターのコーディネーター・森様ともに準備を進めてきた対話型キャリア教育プログラム「ひなた場」が、11月10日、高鍋町立高鍋西中学校で初めて開催されました。対象は中学3年生約80名。
ひなた場は、中学校段階からのキャリア形成支援の取り組みとして、全県下の子どもたちが、宮崎で暮らし、働く意義を理解した上で、自分自身の進路や将来像を描くことができるようにすることを目的としたプログラムです。
従来から、社会人講話のような取り組みはありますが、一度に出会えるロールモデル(大人)の数が限られ、中高生とのマッチングも難しく、深く共感・理解・イメージするところに届いていません。
そこで「ひなた場」では、「対話」を軸に子どもたちと大人をつなげます。互いの人生を語り合うことを通して、憧れのロールモデル(大人)を見つけたり、気軽に相談できる少し年上の地域の先輩との関係をつくったり、自分自身の将来を深く考え、描いていく、そんな「きっかけ」を届けています。そのきっかけを届けてくれるのは、ナナメの関係にあたる地域の大人の皆さん。(ひなた場では、先生や保護者をタテの関係、友人をヨコの関係と表現しています。)
「小学校時代を含め、なかなか学校外の人と対話する機会も、講話で話を聞く機会も限られていた。」と話すのは学年主任の先生。
「だからこそ、ひなた場がどうなってしまうのかまだ予測がつかない」ともおっしゃっていました。期待と不安の両方がにじむ言葉。それでもやろうと踏み切ってくださったことが嬉しく、いい意味で期待を裏切りたい・・・と臨んだ当日。
高鍋町で働く大人を中心に、川南町、西都市、新富町、宮崎市から24名の講師にお集まりいただき、生徒たちが目の前の大人のリアルな声を前のめりで聞く姿が見られました。また、実施後のアンケートでは、ひなた場が役に立つと思うと回答した生徒が100%でした。
感想の一部を抜粋します。
「人生の先輩と自分の人生を話すことができ、自分の選択肢の1つになった。とても心に残った」
「自分がどんな人になりたいか、明確になった」
「良かった時だけでなく、失敗した時の話を聞けた。
何があっても立て直すことはできると言ってもらえた」
「こんな大人になりたい、という人に出会えた」
ひなた場で子どもたち自ら様々な気づきを得ていることが感想にも表れていました。
ひなた場の終盤
「みんな、お世話になった人生の先輩のところに挨拶しにいってきなー!」と生徒たちに声をかけた学年主任の先生。
対話してくれた班の先輩や、紙芝居の講師のところへ、嬉しそうに駆け寄っていった生徒を見て、こんなひなた場の終わり方もいいなぁと感じました。
(コーディネーター 福島)
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