学校通信
着任にあたって
本校は、昭和36年4月に宮崎県立日向工業高等学校として創立され、宮崎県立富島高等学校の校舎の一部を借用して発足しました。今年で学校創立61年目を迎える歴史と伝統のある学校であり、これまで多くの技術者を輩出するとともに、部活動においてもソフトボール部をはじめ全国でめざましい活躍をしてきました。
発足当時は、機械化、電気科、工業化学科の3学科を備えておりましたが、昭和39年に建築科を新設し、現在は機械科、電気科、建築科の3学科が設置されています。
近年は、資格取得や各種検定の合格実績のほか、生き抜く力を身に付けた、社会に貢献できる人材を育成する工業系の専門高校として県内で高い評価を受けており、県内就職率73%を誇るなど就職先の充実ぶりにも表れています。
本校の校訓である「自発・創造」には、「この学舎に集う若者よ。時流に流されることなく自発的に行動し、豊かな創造性を発揮しながら、たくましく生きてほしい」という願いが込められています。この校訓のもと、日向工業高校生が自信と誇りを持って、日向(ヒムカ)を動かす人となることを心から願っています。
このように日向工業高等学校は、地域と保護者、企業等に支えられながら60年の歴史を刻んでまいりました。教職員が一丸となってスクラムを組み、「信頼される学校づくり」に邁進してまいりますので、今後とも本校発展のため、より一層のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
宮崎県立日向工業高等学校
校長 若林 繁幸
「地元企業に期待すること」(3)
就職先を決める際、「漠然とした理由」で県外企業を決めるとは?一体どういう事なのかアンケート結果が出た後、私なりに色々考えてみた。
そこで、保護者や関係者とこの話をする中で浮かんで来たのが「県外の会社の方が良い」という「条件(中身)」に関して……だ。
給与水準、福利厚生、休日の多さ・確実さなどがすぐ浮かぶ。ただ、見逃してはならない事がもう一つある。「県外(都会)でしか経験できないこと」がボンヤリだが……確かにある。
ということだ、例えば、たくさんの人との出会いもあるだろう。自分の生き方を変えるほどの出会いの機会は田舎より多いだろう。
同じ業種・職種でも、田舎では扱う機会のない大きなプロジェクトや特殊な仕事をとおして、労働者として、又人として成長する機会(可能性)が都会にはある……。
堅い表現を使えば「都会の方がキャリア形成を図りやすい」、簡単に言えば「都会の方がなりたい自分になれそうな気がする」ということだ。
保護者も生徒もうまく言えないから「漠然とした良さを感じる」としか言えないのでは?ないかという結論だ。
皆さんも色んな意見、考えがあるのでこれはあくまで私の私見として受け取っていただければと思います。
「地元企業に期待すること」(2)
アンケート結果から工業高校生徒・保護者が地元企業に求める「条件整備」について、簡単にまとめると次の要点と順番になる。
(1) 生徒・保護者は、余り地元の企業を知らない。
特に企業自体は小さいが、生産している製品が全国的に高いシェアーを誇る有望な企業、財務状況が良く、堅実な経営をしている企業などが知られていない。
(2) 保護者は、子供(生徒)の考えを尊重している。
大学に進学予定の家庭も含め、保護者は、「将来は地元就職をしてほしい」考えをもっているが、最終的には子供の意思に任せている。
(3) ……そして、最終的に子供の考えに押され、県外を選ぶ生徒・保護者が、
最終的に県外就職を選ぶ理由が、驚くなかれ「なんとなく……都会の企業が良さそう……だ、」
という「漠然とした理由」だというから驚いてしまう。
以上が、アンケート結果から分かったことである。次回は、この「漠然とした理由」について考えてみたい。
「地元企業に期待すること」(1)
「企業説明会」は、ここ数年、地元就職者を増やす目的で高校生やその保護者を対象に、地元企業が学校や地域の会場を借りて行われている。
本校でも10月27日に、1・2年生、生徒・保護者を集めて地元企業、約20社の説明会を行う。
私は、これらの企業説明会を見ていて気づいたことがある。それは、高校が、中学校でやっている「高校説明会」と本質は同じだということだ。
すなわち高校が「地域の学校に対する認識を変えさせることが必要である」は、企業にとっては「地域の企業に対する認識を変えさせることが必要である」に置き換えられ、またその為には、地元企業も高校生が地元に就職したいと思う、そんな「条件整備が必要」だとなる……ということだ。
このブログの最初に扱ったテーマ「地元就職率UPを考える」のシリーズ(6)で最後に触れた、あの問い「では、どんな規準で高校生やその保護者は県外就職?地元就職?を決めているのだろうか? なぜ地元就職率は、低いのだろうか?」
この問いの答えを求めて、またあのアンケート結果に戻って考えてみたい。
そこに、地元企業に求められる「条件整備」があるように、私には思える……の、だが。
「説明会を考えてみた」(10)
これまで、○高校説明会の意義(受検者増を目的に高校を宣伝する説明会)について、私なりの考えを述べてきた。
まず、受検者を増やす為には「地域の学校に対する認識を変えさせることが必要である」事。
ただ、それは「非常に困難であること(創られた学校のイメージは簡単に変わらない)」
その認識を変えるには、顧客である生徒・保護者のニーズに応えること。要するに「条件整備が必要」であること、そして、その整備すべき条件の中身についても述べてきた。
「~じゃ、日向工業は具体的にどう取り組んでいるのか?!」という、お叱りの声が聞こえて来そうですので、本校の取組は今月末~来月10月位に、まとめて述べることとして…。
次回は、これまで触れてきた「高校説明会を考える」を基に、「○企業説明会」について、私の所感を述べてみたい。
このブログで、これまでだらだら書いてきた「地元就職率UP」と、この「○○説明会」を考える…が、なぜか、不思議な一致を見る…やっと「大きなまとめ」である。
… つづく …
「説明会を考えてみた」(9)
一方、大変失礼を承知の上で申しあげたいのが、「普通科高校の難しさ」である。
どうしても、与えられた「人・もの・金」の中で学校の独自性を打ち出すには、公立の普通科高校には、どうも限界があるのではないかと、私は感じている。
どの普通科高校も「こんな学習の質や提供するサービスがあります…」ではなく、入学して勉強・部活「がんばれ!がんばれ!」的な精神論が学校説明の中心となりやすく、最後の締めは「医学部○○人、国立大学○○人合格」という結果を学校の魅力「宣伝材料」として、説明することになりやすいのではないか?(偏った見方かもしれない)
ここ10年ほど私立高校は、「提供する教育の質やサービス」を武器に、攻勢に出ている。
その反面、県内公立普通科高校が苦戦しているように見えるのは、私だけだろうか…
「説明会を考えてみた」(8)
理由 その3「伝えたい魅力(材用)が乏しい」である。
別の表現を使えば、「他の学校と違う特徴が余りない(差が無い)」こと
と言ってもよい。これは、校種に関係なく農業・工業・商業・普通科高校ど
の学校も言えることだが、普通科高校に比べると、専門高校では、例えば
「野菜を栽培する、自動車やモーターをつくる、何が売れるかマーケティング
する、食事の介助を学ぶ…」とか、それでも中学生や保護者に分かり易い
学習内容を紹介できるので、それなりに「伝えたい魅力(材用)はある」、
「たとえ話は、しやすい。」と言える。
「説明会を考えてみた」(7)
中学校説明会で、学校の魅力を紹介しない、又はできない理由にはいくつかある。
○理由 その1:高校側の準備不足
これまで、高校説明会で見かけた一番多い例は「自分の学校がよく分かっていない」
担当者が説明しているケースである。
各学校とも多忙の中で、担当者を決める。担当になった先生は時間の無い中「とにかく準備」して、説明会に行く。自分自身よく分かっていない事を他人に、しかも中学生やその保護者に説明できる訳が無いのだが、この準備不足が多い。
特に公立高校にこの傾向が強い。(担当が若手教員・中堅主任・管理職に関係はない)
○理由 その2:中学側の課題 設定時間の不足と会の設定に工夫が足りない
通常中学校が設定する高校説明会で、各校に与えられる説明時間は15分~20分程度である。中学校も厳しい時間設定だと分かっているようだが、さすがにこの短い時間では学校の魅力を伝えることは、できない。中学側も公立、私立と多くの高校から説明会をお願いされて困っているのが分かる。
私は、何度か中学校担当者に要望したことがあるのだが、以下の工夫が望まれる。
現在行われている、各高校の宣伝を目的とする説明会の前に中2、又は中3の1学期までに高校の「校種の違いを知る(キャリア教育として)」学習の場を設定して欲しいのだ。…つづく
「説明会を考えてみた」(6)
ところが、これまで参加した中学校説明会で、その学校の魅力、言い換えれば他校よりも整備された条件(違い)を紹介しない、又はできない高校担当者がたくさんいるのである。
具体的な項目は挙げないが、どの高校担当者も同じ事柄を挙げて説明しているのが実態なのだ…○○大学何人合格、○○就職者がいます。…合格率100%、校訓は…、○○部優勝…
まるで判で押したように、どの高校も同ような事を説明している…。のだ、
これでは、聞いている中学生が可哀想だ。
どうして、こんな事になってしまったのだろうか?
「説明会」を考えてみた(5)
この2校は、前々回取り上げた中学生・保護者が高校に期待すること、言い換えれば「学校に対する地域のイメージを変える条件整備」の整備に挑戦し、ある一定の成果を挙げたケースと言える。具体的には
小林工業では、②部活動 ③進路実現 ⑤進路に応じた選択科目を選べる
日南振徳では、⑦学習の質や提供するサービス である。
私は、普通科高校での勤務経験がないので進学校(普通科高校)の実態を語ることはできないが、今ある戦力「人・もの・金」のまま条件整備に取り組むなら、進学を主な目的とする普通科高校よりも農業・工業・商業・家庭・福祉など専門教育を主とする専門高の方が「学校に対する地域のイメージを変える条件整備」をし易いのではないかと常々感じている…。