インフルエンザA型が増えておりましたので、ご心配をおかけいたしましたが、今週になって落ち着いてきました。3年生の県立高校一般入試も近づいてきましたので、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
保護者のみなさまへは、保健調査票の提出をお願いしておりました。大変お忙しいところではございますが、5日(月)が締め切りとなっております。まだ提出をされてない方は、よろしくお願いいたします。
読書感想文の紹介の最終回です。
深く考え実行する勇気 3年 中武 心花
私は「あん」という本を読みました。
なぜ、この本を選んだのかというと、以前テレビでどら焼き屋を舞台にした話だと知って、どんな話だろうと興味をもったからです。
この本は、どら焼き屋「どら春」で働く千太郎がある一人の女性と出会う所から始まります。その女性の名は吉井徳江、76歳のおばあさんです。吉井さんは、ガラス戸に貼ってある求人の紙を指さし、こう言います。「本当に年齢不問なの?」
私は、まさかこんなおばあさんが働くのか、と思いました。どら焼きの小豆を運んだり、それを煮たりと、体に負担のかかる仕事だから、できるわけがないと。千太郎も私と同じ考えなのか、吉井さんを断ります。
しかし、ある日吉井さんは、またどら春を訪れます。手にはタッパーの入った手提げ袋を持っています。吉井さんはもう一度働きたいと頼みますが、断られます。その帰り際、千太郎にタッパーを渡します。その中身は吉井さんの作ったあんでした。食べると、今までに味わったことのないおいしさでした。タッパーを渡す時、吉井さんはこう言いました。「50年以上作り続けてきた」と。私は、吉井さんも、どら焼き屋をやっていたのかと考えました。
このあんを食べた千太郎は心が変わり、吉井さんを二日に一度あんだけを作り、接客をしないという条件で雇うということにしたのです。接客をしないという条件には、吉井さんの指が関係しています。吉井さんの指は、不気味に曲がっているため、お客さんに不信感を抱かせないようにという理由でした。私は、吉井さんの指が曲がっていることに対して、なぜ?という気持ちにはなりませんでしたが、後に、この指がどら春に多大な影響を及ぼします。
吉井さんがどら春のあんを作るようになると、お客さんがどんどん増えていきました。すると、吉井さんも徐々に客の前に姿を見せるようになり、その内、ワカナちゃんという女の子と仲良くするようになります。いろんな話をし、ワカナちゃんは遂に吉井さんの指について聞いてしまいます。昔の病気のせいだという答えを聞いてから、以降ワカナちゃんは店に来なくなりました。
どら春は、なぜかある時期から客が激減します。吉井さんは、体力が限界だと言い、どら春をやめます。千太郎が落ち込んでいると、その店のオーナーが「吉井さん、昔はハンセン病という病気だったんじゃないの。だから指があんな風に・・・。」
私は、正直ハンセン病って何?と思いました。本には、指や鼻が落ちたり、麻痺したりする、とありました。ここで私の気持ちは二つに分かれました。この病について、もっと詳しく知りたいという思いと、でもそういう画像は見たくないという思いです。今ではハンセン病はうつる心配のない病気だと知られていますが、でもきっと、どら春に来ていた人も、私も、人を見た目だけで判断し、その病について調べもしないから、ただ嫌だとしか思わないのです。それは、逃げているだけだと思いました。
それから、千太郎はどら焼きにあらゆる工夫をします。しかし、客足は戻りません。それは、人に一度持った印象は何も行動を起こさない限り何も変わらないからです。「あのおばあさん、不気味だから、もうあそこには行かない」お客さんの思いは、そこで終わっていました。もし、そこで「どんな病気なのか、少し調べてみよう」とする人がいれば、また違う印象をもつはずです。
このことは、普段の人間関係でもあることではないかと思います。子どものいじめが問題視される今、そこで生きる私たちには、まさに「知って、深く考え、実行する」この勇気が必要なのではないかと考えました。まわりの目を気にするのは、目を向けられる方だけでなく、仲間外れにされるという恐怖をもつ、目を向ける方も同じです。こうなった時に、真実を見極めることが大切だと思います。本を読んで改めて、みんなが偏見のために苦しんでいる人に手をさしのべる勇気のある人に、そして、私もそうなれるといいと思いました。
吉井さんは、最後、千太郎とワカナちゃんに手紙を残し亡くなります。その手紙には、吉井さんから二人への愛がいっぱいでした。
私がこの本を読んで思ったことは、口で言うばかりではなく、行動を起こさないと意味がありません。だから、私は日頃から深く考え、真実を見極めることを大切にして、誰かに手を差しのべる人でありたいです。